農業の税務に詳しい税理士に依頼するときの費用相場や税金のポイントを解説
- 最終更新日:
- 2024/07/10
- この記事の監修者
- 税理士紹介のパイオニア
株式会社ビスカス 代表取締役 八木美代子
税理士費用はいくらが相場か?
個人経営の場合の費用相場
個人経営の場合、確定申告にかかる税理士費用の相場は年間売上高に応じて変わってきます。また、同じ年間売上高でも取引量や取引内容によって費用が高くなるケースもあります。農業の確定申告では、栽培中の農産物の在庫計上や牛や豚などの育成費用の算出、一般的な個人事業と異なる勘定科目を使用するなど、会計処理が煩雑になりがちです。結果として、費用相場が通常の相場より高くなることがありますので、確定申告を依頼する際には事前に費用総額を確認しておきましょう。
なお、消費税の課税事業者の場合、所得税の確定申告とは別に消費税の確定申告も必要になりますので、更に費用が上乗せになる点にも注意してください。
個人経営の費用相場の目安は下記のリンクを参照してください。
法人経営の場合の費用相場
法人経営の場合も個人経営と同様に、確定申告にかかる税理士費用の相場は年間売上高に応じて変わってきます。法人と個人を比較した場合、法人税の確定申告書の他にも勘定科目内訳書や事業概況報告書、地方税の確定申告書など、書類作成の手間が増える分、同じ年間売上高でも個人経営より費用が高く設定されるケースが多いようです。
また、消費税に関しても個人経営と同じく課税事業者の場合、法人税の確定申告とは別に消費税の確定申告も必要になりますので、更に費用が上乗せになります。
法人経営の費用相場の目安は下記のリンクを参照してください。
農業経営者に課税される税金は?
農業には、そもそもどんな税金がかかるのでしょうか?
実は、農業経営に対する課税の仕組みは、個人経営と法人経営で違います。
個人経営の場合
個人農家に課税されるメインの税は「所得税」です。この点は、他の業種の個人事業主と変わりありません。
当然のことながら、農業以外に事業を営んでいれば、その所得と合算した金額に所得税がかかります。所得税は、所得が増えるほど税率も高くなる累進課税になっています。
多くの業種に課税される「個人事業税」は、農業に関しては非課税となっていますが、畜産業は課税対象ですから注意しましょう。
では、農業と畜産業を併せて営んでいたら?その場合には、経営形態によっては非課税となる場合もありますから、専門家の判断を仰ぐ必要があります。
法人経営の場合
公益法人を除く普通法人(株式会社、合同会社)と協同組合等は、すべての所得が「法人税」の課税対象です。税率は、中小法人(資本金1億円以下)が23.2%、協同組合等が19%ですが、ともに年800万円以下の部分の所得については、15%の軽減税率が適用されます。
農業経営には、農業経営基盤強化準備金などの税制面の優遇措置が設けられていますが、それを受けられるのは、市町村の農業委員会が認めた「農地所有適格法人」のみ。法人形態要件、事業要件、議決権要件、役員要件という4つの要件をすべて満たす必要があり、申請に当たっては、やはり専門家のフォローが必要になるでしょう。
農業経営の会計・税務の特殊性とは?
農業と他業種の違いには、次のような点があります。
勘定科目
農業簿記(農業を営む人が利用する会計の手法)には、一般的な簿記では使わない、次のような専用勘定科目があります。
- 種苗費:種子や苗などの購入費用。
- 素畜費:子牛や子豚の購入費用や引取運賃など。
- 飼料費:飼料や飼料添加物の購入費用。
- 小作料:小作地の使用料。
- 土地改良費:農地の区画整理などにかかった費用。
棚卸
一般的な簿記は、物品の売買などを前提にしているため、棚卸の際には「商品」などの勘定科目を利用します。
一方、農業においては、生産資材や収穫前後の農産物などさまざまな種類の在庫が発生するため、それらを次の4つに分類して棚卸を行います。
- 農作物:販売目的で生産したもので、収穫済みの農産物のうち未販売で在庫となっているものなど。
- 仕掛品:生産のために栽培中・未収穫の農産物や、販売目的で飼育途中の動物など。
- 原材料:生産目的に使われる種子、肥料、飼料、農薬、冷凍精液など。
- 貯蔵品:生産・販売以外の目的で貯蔵される物品。物品燃料、包装材料、収入印紙など。
「生物資産」の管理
成熟した果樹・搾乳牛・繁殖豚など生産活動を行っている状態の果樹や家畜は「生物」という勘定科目を用いて、固定資産として減価償却(※)の会計処理を行います。生産活動を開始するまでに要した育成費用を積み上げた金額を、固定資産の取得価額として計算します。
農家・農業経営者はどんな税理士に頼めばいい?
自らのニーズで考える
事業規模などにもよりますが、経理や税務を経営者自らがすべて行うのはかなりハードルが高いということがお分かりいただけたと思います。
では、税理士にサポートを依頼する場合には、どのような基準で選ぶべきなのでしょうか?
農業経営には、それに付随するさまざまなニーズが発生することもあるでしょう。経営に関わる税務に加えて、そうした部分にも強みを持つ税理士を選べば心強いはずです。
税理士選びのポイント
農業経営のサポートに実績がある
当然のことながら、説明したような農業簿記や税制、関連する法律、制度に精通していて、多くの実績を持つ税理士かどうかは、前提条件として非常に重要です。
相続に詳しい
代々農業を生業にしているような場合には「農地の相続あるいは譲渡をどうするか」という問題から逃れられません。この分野も、税理士の知識や経験のあるなしによって、納税額などに大きな差が出ます。
不動産に詳しい
農業の傍ら、不動産収入を得ているような場合には、不動産に強い税理士のサポートを受けるべきでしょう。これは、相続対策としても大きな意味を持ちます。
法人化に強い
個人から法人になること(法人化)には、対外信用力の向上、人材の確保・育成、経営承継の円滑化、節税(所得税から法人税へ)といったメリットがありますが、いざ法人を設立する際にもやはり税理士などの支援が必要です。
農業経営のアドバイスをもらうには
節税対策から一歩踏み込んで、経営に対するアドバイスが欲しい、という場合もあるでしょう。そんなときに頼りになるのが、「農業経営アドバイザリー」の資格を持った専門家です。日本政策金融公庫が認定するもので、有資格者には、労務やマーケティングなどの農業経営全般についての相談に乗ってもらえます。もちろん、税理士にもこの資格を持つ人がいます。
よくある質問
税理士費用の相場はどのように決まるのですか?
税理士費用の相場は、年間売上高、取引量、取引内容によって異なります。特に農業など特殊な会計処理が必要な場合は費用が高くなることがあります。詳細については、個別の相談が必要です。
個人経営の確定申告にかかる費用の目安は?
個人経営の場合、年間売上高によって税理士費用が変動します。取引量や取引内容によっても費用が増加することがありますので、具体的な費用については事前に確認することをお勧めします。
法人経営の確定申告にかかる費用の目安は?
法人経営の場合、確定申告にかかる税理士費用は年間売上高や書類作成の手間によって決まります。法人税の確定申告書の他に、勘定科目内訳書や事業概況報告書などが必要なため、個人経営よりも高くなる傾向があります。
消費税の課税事業者になると費用はどうなりますか?
消費税の課税事業者になると、所得税の確定申告とは別に消費税の確定申告も必要になります。そのため、追加の費用が発生する点に注意が必要です。
農業の確定申告には特別な費用がかかりますか?
はい、農業の確定申告では、栽培中の農産物の在庫計上や育成費用の算出など、通常の個人事業と異なる会計処理が必要なため、費用が高くなることがあります。事前に税理士と詳細を確認することが重要です。
農業に詳しい税理士をお探しの方へ
農業経営には、頼りになる税理士のサポートが必要です。実績のある税理士紹介会社を使えば、ニーズに合った税理士をスムーズに見つけることができるはずです。
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