人材派遣業をサポートできる税理士の条件とは?人材派遣業の特徴や注意点を解説

人材派遣業をサポートできる税理士の条件とは?人材派遣業の特徴や注意点を解説
最終更新日:
2022/04/20
 
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新規参入が続いた一方で、収益率の伸び悩みも指摘される人材派遣業。国(厚生労働省)の許可事業である点も含めて、その設立や事業の安定的な拡大のためには、財務面などをしっかりサポートしてくれる税理士の存在が欠かせません。ただ、すべての税理士が業界に詳しいわけではないのも事実です。今回は、人材派遣業に詳しい税理士を選ぶ際のポイントを解説します。

人材派遣業とは?

「人材派遣業」とは、ニーズに見合った人材が欲しい企業と、スキルを生かした仕事に就きたい人をつなぐビジネスです。派遣社員は、派遣会社と雇用を結び、派遣先企業で働きます。そのため、給与は派遣会社が支払いますが、業務の指示は派遣先企業から受けることになります。なお、人材派遣業は大きく「一般派遣」「特定派遣」「紹介予定派遣」の3つに分けられます。

日本では1997年に規制が緩和され、それ以降大小さまざまな人材派遣会社が誕生しています。ただ、物やサービスではなく、「人」そのものを提供する事業だけに、いろいろな面で他の業種との違いがあります。

人材派遣業では「資格」と「許可」が必要

「派遣元責任者」の資格が要る

人材派遣業を行うためには「派遣元責任者」という資格を取得する必要があります。全国主要都市で開かれる「派遣元責任者講習」を受講すれば取得できるのですが、有効期限は3年間で、それ以降は再取得しなくてはなりません。そのまま運営を続ければ摘発の対象になります。

許可が必要

資格を得たのち、都道府県労働局に許可を申請します。一般の事業と異なり、以下の資産要件・事務所の要件などを満たさないと、許可は下りません。

〈資産要件〉

  • 基準資産額(資産の総額から負債の総額を控除した額):2,000万円以上
  • 現金預金額:1,500万円以上
  • 基準資産額が負債総額の1/7以上

〈事務所の要件〉

  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で規制する風俗営業や性風俗特殊営業等が密集するなど事業の運営に好ましくない位置にないこと
  • 労働者派遣事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あること

人材派遣業の特徴とは?

派遣社員の給与は「売上原価」

会計上、クライアントに派遣するスタッフは、派遣会社にとって「商品」です。そのため、その「人件費」(給与や社会保険料など)は、「売上原価」に計上されます。人件費だからといって「販売費及び一般管理費(販管費)」ではないのです。
一方、派遣会社にも、社内で事務や営業をはじめとする業務に就く社員がいます。こうした人たちの人件費はどうなるのでしょうか?それは、一般の企業と同じく「販管費」です。つまり、人材派遣業の場合、同じ人件費でも、雇用形態によって計上の仕方が2種類あることになります。

先に出ていくお金が多い

他の事業でも、物やサービスの提供からその対価の回収までにはタイムラグがありますが、人材派遣業の場合はよりシビアだと言えるでしょう。
クライアントから対価を回収できるのは、早くて派遣の1ヵ月後、契約によっては派遣社員の業務終了後になります。会社の設立から考えれば、それ以前に、次のような出費が避けられません。

  • 会社設立費用(法人設立登記など)
  • オフィスの契約料
  • オフィスの賃貸料
  • 通信費、光熱費など
  • 社内スタッフ、派遣スタッフの人件費

例えば、さきほど触れた“事務所の要件”を満たすためには、それなりの家賃が必要になるでしょう。資格を取得し、国の許可も得て事業を始めても、スムーズに派遣スタッフが集まる保証はありません。
人材派遣業は、1つ想定が狂うと、出鼻をくじかれるリスクもある業種なのです。

派遣スタッフを揃えないと始まらない

人材派遣業にとって、派遣スタッフは、人件費が売上原価にカウントされる「商品」である…という説明を思い出してください。
事業を軌道に乗せるためには、クライアントの要望に応えられるスキルを持った人材を円滑に確保することが不可欠で、そのための宣伝費をかけたり、他社にひけを取らない待遇を用意したり…といったコストも見込まなければなりません。これらも、対価の回収前から必要になります。
当然のことながら、さきほどの「3.オフィスの賃貸料」以降も含めた費用は、売上が立つようになっても継続的に発生します。他の業種にも増して、事業開始前により周到な事業計画・資金繰り計画が必要になるのです。

人材派遣業が依頼すべき税理士とは?

業界を熟知している税理士を選ぶ

こうした会社の財務などを、税務のプロではない経営者が担うのは、かなりハードルが高いでしょう。見方を変えると、資金繰りや税務はその道のプロである税理士に任せて、経営者は本業に専念するのが成功のカギと言えます。
ただし、サポートを頼む税理士が、今まで述べてきたような“人材派遣業ならではの設立要件や会計”に十分通じているのかどうかには、注意が必要です。例えば、行き過ぎた節税の結果、会社がさきほどの資産要件を逸脱してしまい、許可の更新が認められず廃業に追い込まれてしまった…といった事態が起こらないとも限らないからです。
人材派遣業に詳しい税理士ならば、難しい資金繰りのアドバイスがもらえるだけでなく、許可事業特有のリスクにも適切に対応してくれるはずです。

人材派遣業に詳しい税理士はどうやって探せばいい?

とはいえ、人材派遣業に詳しい税理士を探すのも容易ではありません。ホームページに「人材派遣に強い」とうたう事務所もありますが、会社を設立したいエリアには見当たらないこともあるでしょう。
そんなときには、実績のある税理士紹介会社を利用してみてはいかがでしょうか。頼りになる先生を効率的に見つけることができるかもしれません。

人材派遣業に詳しい税理士をお探しの方へ

人材派遣業には、「先行投資」が大きく対価の回収にタイムラグがある、といった大変さがあります。事業を安定的に伸ばしていくためには、業界を熟知した税理士にサポートを依頼する必要があるでしょう。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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