歯科医院に強い税理士とは?選び方のポイントを解説

歯科医院に強い税理士とは?選び方のポイントを解説
最終更新日:
2024/09/11
 
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歯科医院を経営していくうえで、税理士は必要不可欠の存在といってもいいでしょう。ただし、そのメリットを最大化させるためには、「いい税理士」を選んで、ニーズに合った「付き合い方」をする必要があります。今回は歯科医院経営に役立つ税理士の選び方を中心に解説します。

歯科医院に強い税理士ができることは?

最初に税の専門家である税理士ができること、歯科医院が頼めることをみておきましょう。

税務代理

歯科医院が税理士に依頼する機会が多いのは、税務代理です。税務代理とは、本来は納税者が行う税務申告書や申請書の書類提出など、税務に関する事項を税理士が納税者に代わって行うことをいいます。
税務申告書や申請書の提出のほか、各種税の課税期間の確認や減免の申請など、税務代理業務の幅は広いです。

税務書類の作成

確定申告書や各種届出書など、税務に関する書類作成を納税者に代わって行います。本来、税務書類は納税者自らが作成するものですが、税金の計算が複雑であったり、そもそもどのような書類を作成するのかがわかりにくかったりします。そこで、専門的知識のある税理士に依頼します。
特に歯科医院の場合、税務計算に使える特例があるなど、知らないと損をすることも多いので、税務書類の作成は税理士に依頼したほうが良いでしょう。

税務相談

税務についての相談に乗るのも税理士の仕事です。税務相談では、納税額の計算についての相談はもちろんのこと、役員報酬の決め方や資産運用の方法、固定資産などを活用した節税、さらにはそれらの施策が税法に違反していないかなど、医者では判断が難しいことを相談できます。
税理士によっては、事業承継や相続、M&Aなどの相談に乗ってくれる人もいます。

税金の計算・申告をしてもらえる

実は、上記に挙げた「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」は、国家資格である税理士の独占業務(税理士以外が携わることを禁じられている業務)です。

これに基づき、税金を計算したり、納税者本人に代わって申告書を作成し税務署への申告を行ったりすることもできます。

記帳代行を依頼できる

「記帳」とは、事業を運営するときに発生した売上や経費などの取引内容を帳簿に記入することです。通帳コピーや領収書、請求書といった資料を元に、通常は会計ソフトに入力していくわけですが、こうした煩わしい作業も税理士に頼むことができます。

経営の相談などに乗ってもらえる

上記はいわば税理士の”本業”ですが、最近は、それ以外に経営面でのアドバイスなどに力を入れる事務所が増えています。歯科医院に強い税理士であれば、数字のプロという特徴も生かした相談に乗ってくれることもあります。

歯科医院が税理士に依頼するメリット・デメリットは?

そうした点を踏まえて、歯科医院が税理士に依頼するメリットを挙げれば、次のようになるでしょう。

【メリット1】税務関連の業務を税理士に依頼することで、本業に集中できる

事業を進めるうえで、毎年の申告をはじめとする税務処理を怠ることはできません。記帳や申告は、自分や家族ですることも可能ではありますが、書類の作成には手間がかかり、簿記などの多少の専門知識も必要になります。ミスがあれば税務署から申告漏れを指摘される可能性がありますし、税務調査(※)のリスクも高まるでしょう。
ちなみに、通常の歯科矯正のように自由診療のウェイトが高い歯科医院は、税務署に目を付けられやすいとも言われています。

きちんとした税理士に税務処理を依頼すれば、そうした不安は解消されます(ただし、税理士に依頼しても、税務調査になることはあります)。煩雑な作業を税理士に依頼することで、そこに費やす時間やエネルギーを本業に振り向けることができます。

※税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。税務署が行う任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

【メリット2】節税が期待できる

歯科医院に限らず、税理士に税務処理を依頼する多くの人が期待するのは、この”節税効果”です。所得税(個人)も法人税(法人)も、売上から経費などを差し引いた課税所得に税率を掛けて計算するため、経費処理の仕方などによって納める税金の額が大きく違ってきます。税の専門家に依頼することで、適正な節税が期待できるでしょう。

【メリット3】経営に寄り添うコンサルティングが受けられる

歯科医院業界での経験がある税理士ならば、税務以外のさまざまなアドバイスをもらい、経営に役立てることが可能です。例えば、人材の採用や患者の居心地がよく働きやすい院内環境整備のノウハウなど、ニーズに沿ったコンサルが受けられます。

【メリット4】融資などをサポートしてもらえる

金融機関から融資を受けるためには「事業計画書」の作成が必要です。歯科医院経営に詳しい税理士であれば、説得力のある数字に裏打ちされた計画書の作成をサポートしてくれるでしょう。歯科医院の開業融資に積極的な金融機関や担当者と太いパイプを持つ税理士もいます。

【メリット5】開業に際してのアドバイスが受けられる

開業前から税理士のアドバイスを受けることにも、大きなメリットがあります。歯科医院は、「コンビニ店よりも数が多い」と言われ、どこにどのような業態(例えば、一般歯科か小児歯科に特化するか)で開業するのかといったことが、経営に影響することも理由の1つです。

歯科医院に強い税理士ならば、マーケット調査に基づく立地の選定や、開業に向けたスタッフの確保、開業後の経営戦略の立案などの力になってくれることもあるでしょう。

【メリット6】法人化のアドバイスが受けられる

また、個人経営だった医院がある程度の規模になって法人化を検討するときにも、税理士のサポートは大いに力になります。節税効果が期待でき、社会的信用の向上という点でも意味のある法人化ですが、社会保険への加入義務が生じる・会計処理が複雑化する、といった注意点もあります。医療法人は一般企業と色々な点で違いがある、という別の問題もあります。

歯科医院業界に詳しい税理士ならば、法人化のタイミングや、法人化後の経営についての相談に乗ってくれます。

デメリットもある

一方、税理士にこれらの業務を依頼する場合には、そのデメリットも認識しておく必要があります。
主なデメリットは、

  • コスト(報酬)が発生する
  • 歯科医院の経営に詳しくない税理士に依頼すると、期待した効果が得られないばかりでなく、ミスリードされるリスクがある

の2点です。

歯科医院が税理士に業務を依頼する場合の報酬相場

次に、歯科医院が税理士に業務を依頼する場合の報酬相場を見ていきましょう。
税理士の報酬は、依頼者が個人事業主なのか法人なのかで金額が異なります。ここでは、歯科医院が法人のケースで報酬相場を見ていきます。

顧問税理士の場合の顧問料

継続的な顧問契約を結ぶ場合、顧問先の1年間の売上と税理士の訪問回数によって税理士費用が変わります。継続的な顧問契約を結ぶ場合の税理士費用の目安は、以下のようになります。

年商・年間売上高 訪問回数 料金の目安
年商1,000万円未満 4-6ヶ月に1回 10,000円~/月 + 決算料
決算のみ 100,000円~/年
年商1,000万円以上
3,000万円未満
2ヶ月に1回 20,000円~/月 + 決算料
3-4ヶ月に1回 15,000円~/月 + 決算料
決算のみ 150,000円~/年
年商3,000万円以上
5,000万円未満
毎月1回 25,000円~/月 + 決算料
2ヶ月に1回 20,000円~/月 + 決算料
3-4ヶ月に1回 15,000円~/月 + 決算料
年商5,000万円以上
1億円未満
毎月1回 30,000円~/月 + 決算料
2ヶ月に1回 25,000円~/月 + 決算料
3-4ヶ月に1回 20,000円~/月 + 決算料
年商1億円以上3億円未満 要相談 30,000円~~50,000円/月 + 決算料
年商3億円以上5億円未満 要相談 35,000円~/月 + 決算料
年商5億円以上10億円未満 要相談 45,000円~/月 + 決算料
年商10億円以上 要相談 50,000円~/月 + 決算料

上記の金額は、あくまで目安です。税理士によって、あるいは作業量によって報酬が異なることがあります。

記帳代行

記帳代行だけを、税理士に依頼することも可能です。この場合は、仕訳数に応じて報酬金額が異なります。記帳代行の相場は、以下のようになります。

仕訳数 料金の目安
~200枚 15,000円
201枚~300枚 20,000円
301枚~400枚 25,000円
401枚~500枚 30,000円
501枚~ 35,000円

上記の金額は、あくまで目安です。税理士によって、または仕訳の特殊性などによって報酬が異なることがあります。

決算料

決算では、税務申告書の作成だけでなく、棚卸や減価償却などの決算特有の仕訳をしたり、決算書(財務諸表)を作成したりします。
決算を税理士に依頼する場合、料金は消費税の申告があるかどうかなどで異なりますが、消費税の申告がある場合はおおむね月額顧問料の4~6カ月分程度になります。顧問契約をしていない場合は、顧問契約をしている場合よりも決算料は高くなります。

税理士を選ぶポイント、依頼の仕方

歯科医院を担当したことがある/歯科医院を得意としている税理士を選ぶ

今述べたように、税理士に業務を依頼すれば、それに見合った報酬を支払う必要があります。だからといって「安いから」という基準で税理士を選んだりすると、十分な節税効果が得られなかったり、欲しいアドバイスがもらえなかったり…ということになりかねません。

ここで押さえておきたいのは、医師に内科医や外科医や歯科医がいるように、税理士にも得意分野・専門分野があるということです。例えば、所得税や法人税に強いものの歯科医院の税務・医療の税務があまり得意ではない税理士、あるいは歯科医院の税務をやった経験がない税理士にコスト優先で仕事を頼んだりする場合には、一定のリスクを覚悟すべきでしょう。税理士に依頼する前に、こういった点を確認するのもおすすめです。
歯科医院を得意としている税理士であれば、実際に歯科医院を担当した経験や実績があると想定されます。税理士事務所(税理士法人)自体が、歯科医院のサポートに特化している場合もあります。

先述のように、医療法人は一般企業とは仕組みなどが違います。また、歯科には他の医療分野とは異なるところもあります。そうしたことを理解して、適切なアドバイスなどが可能なのはやはり”その道のプロ”ということになるでしょう。

自分に必要なサービスは何かを明確にする

もう1つ大事なことは、自分に必要なサービスは何なのかを明確にしたうえで、それを確実に提供してくれる税理士を選ぶことです。
ひとくちに歯科医院といっても、規模も置かれた状況(個人事業か法人か等)もそれぞれ異なるはず。経営上の心配ごとがなかったり、他に優秀なコンサルが付いていたりする場合には、税理士に頼むのは税務処理で足ります。このように、依頼する業務を明確化することは、コスト削減のポイントでもあります。

税理士はどうやって選ぶ?

歯科医院に強い税理士の選び方として最も一般的なのは、インターネットで各事務所のホームページを検索し比較する方法でしょう。同業者や知人に紹介してもらう、というやり方もあります。ただ、前者は「ネット上の情報が不正確な場合がある」、後者については「いったん依頼すると断りにくい」、といったデメリットもあります。

税理士選びの際には、実績のある税理士紹介会社を利用する、という方法もあります。希望を伝えれば、それに見合った税理士を無料で紹介してもらえて、複数事務所の比較検討も可能です。

まとめ

歯科医院の経営には、業界に強い税理士=歯科医院の担当に経験と実績を持つ専門の税理士が力になります。税理士選びには、早く確実にニーズに見合った専門家を探せる税理士紹介会社を活用するのも1つの方法です。

よくある質問

歯科医院に強い税理士とは何ですか?

歯科医院に強い税理士とは、歯科業界に特化した知識と経験を持ち、税務処理や経営相談を含む幅広いサポートを提供できる税理士のことです。

歯科医院が税理士に依頼するメリットは何ですか?

税務処理の専門知識を活用して節税対策ができること、融資のサポートや経営アドバイスを受けられることが主なメリットです。

歯科医院が税理士に依頼するデメリットはありますか?

税理士報酬が発生する点と、歯科業界に詳しくない税理士に依頼するとミスリードされるリスクがあります。

歯科医院に強い税理士の選び方は?

歯科医院の経営に詳しい税理士を選ぶことが重要です。過去の実績や専門分野を確認し、信頼できる税理士を選びましょう。

歯科医院が税理士を依頼する際の注意点は何ですか?

必要なサービスを明確にし、歯科業界に特化した税理士を選ぶことが重要です。また、報酬体系や契約内容を事前に確認しましょう。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
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