中小企業に最適な税理士とは?選び方のポイントを解説

中小企業に最適な税理士とは?選び方のポイントを解説
最終更新日:
2024/09/27
この記事の監修者
税理士紹介のパイオニア
株式会社ビスカス 代表取締役 八木美代子
 
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中小企業の経営にとって、事業で少しでも多くの利益を上げることが最重要の課題であることは言うまでもないでしょう。ただ同時に、適切な会計管理や節税の重要性を無視するわけにはいきません。そこに“穴”があると、せっかく稼いだ利益が流れ出してしまい、基礎体力の乏しい中小企業にとって大きな痛手になりかねないからです。そうした会社のお金の管理をサポートしてくれる力強い味方が、専門知識を持った「税理士」です。今回は中小企業に合った税理士の選び方について解説します。

この記事のアドバイザー

専門家

徳永税理士事務所 所長
徳永 圭

大学で財務会計ゼミに入ったことがきっかけとなり税理士資格を取得。総合不動産会社、不動産証券化(SPC)特化型事務所、総合会計事務所を経て令和へ年号が変わるとともに開業。これまでの職歴から不動産周りの税務会計、資産税(相続)に強みがあります。

徳永税理士事務所

中小企業に税理士のサポートは必要?

「うちは会社といっても家族経営で小規模だし、確定申告も自分でやってるから別に税理士のサポートは不要かな」と考える経営者もいることでしょう。確かに確定申告は会計ソフトを使って自身が電子申告で行い、経営的にも安定しているのであれば、ことさらに税理士の必要性は感じないかもしれません。しかし、税理士の役割は会計処理や納税関連の代理だけではありません。中小企業の経営に詳しい税理士であれば、その専門知識と情報を使い、利益の上げ方、適切な節税方法、他社と比較検討しての経営アドバイスなどを、経営者とは違う角度からサポートすることもできるのです。昨今は事業のIT化が進んだり、インボイス制度が導入されたりで、会社の経営をしながらこれらの対応も着実に行おうとすると、時間が足りず、どちらも中途半端になりかねません。税理士のサポートがあればこのような問題も解決できます。中小企業にとって、税理士のサポートは「絶対必要」とまでは言えなくても、有用な場合が多いのではないでしょうか。

中小企業経営者が税理士に頼めること。そのメリットは?

ここまで述べたことを踏まえたうえで、中小企業経営者が税理士に依頼できることには、次のようなものがあります。

税務署への確定申告や会計処理

税務申告にミスは許されません。意図的ではなくても“申告漏れ”があれば、「加算税」などのペナルティで、より多くの税金を支払うことになる可能性があります。税理士に税務書類の作成や申告を頼めば、そうしたリスクを軽減することができるでしょう。税理士が申告書を作成していても税務調査が行われることはありますが、その際にも税理士の立ち会いが認められています。

会社が確定申告を行う際には、財務諸表などの決算書類も併せて提出しなくてはなりません。税理士には、これらの書類の作成や会計帳簿の記帳((帳簿付け))も併せて依頼できます。そうすることで経営者は本業に集中することができ、会社の規模などによっては、社内で人を雇うよりもコストダウンが図れます。

節税対策の実行

今述べたように「過少申告」は問題ですが、反対に適切な節税が行われずに税負担が膨らむことも、経営の圧迫要因になります。随時更新される中小企業税制などに通じた税理士に依頼すれば、それらも活用した有効な節税策を実行してくれるはずです。

経営に対するアドバイス

正確な税務申告や有効な節税のためには、税理士に「会社の実情」を理解してもらう必要があります。そういう立場にある税理士からは、数字に基づく経営のアドバイスを受けることも可能でしょう。というのも最近は、税務関連オンリーではなく、コンサルタント的な機能を重視する会計事務所も増えているためです。ただし、そういった経営のアドバイスが得意でない税理士もいますので、税理士選びの際には注意が必要です。

資金調達のサポート

金融機関から融資を受ける際には、原則として「事業計画書」などの提出を求められます。経験のある税理士ならば、貸し手が納得できる説得力のある計画書作りをサポートしてくれます。中には、金融機関の担当者とパイプを持つ税理士もいますので、そういった“繋がり”を活用することもできるでしょう。中小企業向けには様々な補助金や助成金も用意されていますが、それに気づかない経営者も数多くいます。中小企業税制に詳しい税理士に依頼すれば、自社に適した制度の活用を提案してくれるでしょう。

経営者個人の相続、事業承継

上場大企業と違い、自社株を社長が持つ中小企業では、会社の利益・資産と経営者のそれは密接不可分と言っても過言ではありません。税理士には、経営者個人の所得税の申告や、資産の管理なども任せることができます。経営者が特に考える必要があるのは「相続対策」です。次期経営者に自社株をうまく引き継げなければ、事業の承継は難しくなってしまいます。相続の実績のある税理士に相談し、早めに準備をスタートさせるべきでしょう。

税理士に依頼する場合の注意点

一方で、税理士に依頼する場合は以下のデメリット・注意点があります。

コストがかかる

税理士に業務を頼めば、当然ですが税理士報酬が発生します。依頼する業務の内容や量によって、金額は変わってきます。また、同じ依頼内容でも、事務所によって差の生じることもあるのです。報酬が高いわりに節税効果はたいしたことがなかった…というのでは、あまり意味がありません。税理士に依頼する場合には、その費用対効果を検討するとともに、複数の事務所の比較をしてみることが大事です。

費用の相場は、例えば主に税務関係の業務委託と相談対応の顧問契約であれば以下の表のとおりです。

年商 月額費用
~1,000万円 1万円~2万5,000円
~3,000万円 1万5,000円~3万5,000円
~5,000万円 2万5,000円~4万5,000円
~1億円 3万円~6万円
1億円以上 6万円~10万円

また、主に経営方針や資金調達などのアドバイスや指導を依頼する、いわゆるコンサルティング業務の場合の費用は、着手金+成果報酬型となることが多いです。例えば融資・助成金など資金調達業務であれば、着手金は数万~20万円、成果報酬は得られた調達額の2~5%程が相場と言われています。

※税理士は自由報酬制ですので、金額はあくまでも目安となります。

法人税や経営を知らない税理士だと満足は得られない

税理士にも得意分野があります。中には「相続税には強いけれど、法人税の申告は一度もやったことがない」というような税理士もいるのです。そういう税理士に依頼した場合、法人税の節税などは難しいと考えるべきでしょう。

また、先ほど「経営のアドバイスがもらえる」と言いましたが、会社経営や業界事情に不慣れなのにも関わらず、やたらと経営に口出ししてくるようなタイプの税理士は考えものです。場合によってはミスリードされてしまう危険性さえありますので、十分な実績のある税理士を選ぶように注意しましょう。

中小企業に最適な税理士を選ぶチェックポイント

以上を踏まえて、中小企業経営者が税理士を選ぶ際のポイントをまとめました。

中小企業の税制に詳しく、経験があるか

法人税に通じているのはもちろん、「中小企業向けの税制に詳しく、常に最新の情報を提供してくれる税理士かどうか」は必要条件といえます。多くの企業をサポートしてきた経験があれば、より安心できるでしょう。

中小企業の経営に詳しく、適切なアドバイスがもらえるか

税務申告や会計業務にとどまらず、経営に対する相談に乗ってもらいたい場合には、その実力を備えた税理士を選ぶ必要があります。会社経営は付け焼刃で理解できるものではありません。中小企業に対するコンサルティングなどにそれなりの経験と実績を持っているかどうかは、見極めの指標になります。

業界知識があるか

「会社のお金」に深く関与する税理士が、自社の業界や事業環境をどれだけ理解しているのかは非常に重要です。業種によっては、独特の商習慣があったり、あるいは様々な規制に縛られたりしていることもありますので、それらを熟知した専門家を選ぶ必要があります。

融資に強いか

中小企業に資金繰りの悩みはつきものです。スムーズに金融機関からの融資が受けられるようサポートしてくれる税理士ならば、いざという時にも心強い味方になってもらえます。

対応が早いか

中小企業経営者からよく聞かれる不満の1つが、「電話やメールへの返事が遅い」「月次決算などの書類の作成に時間がかかる」というものです。時間がかかる場合には、「いつまでに返答します」といった誠実な対応・姿勢を心掛ける税理士を選びましょう。

親身になって対応してくれるか

中小・零細企業の場合には、一時的な資金のショートといった“些細なこと”が命取りになることもあります。言われたことをこなすだけではなく、日頃から会社の状況に目を配り、先回りしてアドバイスをくれるような税理士が理想です。

また、どんなに正しい指摘をもらえても、例えば「上から目線」で語るような相手だと、話をすること自体がストレスになってしまいます。それでは逆に経営にマイナスになりかねません。お金を払って仕事を頼むのですから、腹を割って話すことができる、相性の合う相手を選ぶべきでしょう。

サービス内容、料金が明確である

税理士事務所は、他との差別化を図るために、税務申告以外の例えば経営コンサルティングなどのサービスを提供するケースが増えました。そうしたものが、基本プランの料金に含まれる場合もあれば、オプションになっていることもあります。いずれにしても、料金体系が分かりやすく、自社に必要なサービスを選択できる税理士を選ぶのがいいでしょう。

中小企業に最適な税理士の探し方

税理士は、ネットで事務所のホームページなどを検索し、比較することで選ぶことが可能です。知り合いや同業者などの紹介や、口コミを参考にすることもできるでしょう。また、実績のある税理士紹介会社を利用するという方法もあります。地域や業種、依頼したい中身などを伝えれば、第三者の視点からニーズに見合った税理士を無料で探してもらえますから、効率的に最適の税理士に出会える確率が高まります。

中小企業の税理士選定で注意すべきことは?

監修者

徳永 圭

税理士からのワンポイントアドバイス

税理士に依頼するに当たって最初に検討すべき事項は2点です。

①予算はいくらを想定しているか?

②どのような目的で税理士に依頼するか?の2点です。
ニーズは個々人で異なり、ある人にとっては「良い税理士」であっても、読者の皆様にとって「良い税理士」とは限りません。例えば、グレーゾーンの取り扱いを巡り税務署と見解の相違が発生するリスクを負っても良いと考えているにもかかわらず顧問税理士がその処理を認めないならば求めていた税理士とは異なるでしょう。逆のパターンもしかりで、税務署とは一切揉めたくないというお客様もいます。本当に価値観はひとそれぞれなのです。
よって、皆様は必ず契約前に税理士と直接話をする機会を設けご自身のニーズを税理士に打ち明けて頂き、対応できる税理士を選ぶと良いでしょう。
複数の候補者で迷ったならば、最後は「相性」になるかと思います。税理士とお客様の関係においても日常生活の中での人付き合い(人間関係)と何ら変わるものではないからです。

よくある質問

税理士の選び方のポイントは何ですか?

税理士を選ぶ際は、中小企業の税制に詳しいこと、経営に対するアドバイスができること、業界知識があること、融資に強いこと、対応が早く親身になってくれること、サービス内容と料金が明確であることが重要です。

税理士に依頼するメリットは何ですか?

税理士に依頼することで、税務申告や会計処理のミスを防ぎ、節税対策を実行でき、経営に対する適切なアドバイスを受けられます。また、資金調達のサポートや経営者個人の相続・事業承継の助言も期待できます。

税理士に依頼する際の注意点は何ですか?

税理士に依頼する際の注意点として、コストがかかること、法人税や経営に詳しくない税理士だと満足できない可能性があることが挙げられます。費用対効果を検討し、複数の事務所を比較することが大切です。

中小企業に最適な税理士を探す方法は?

税理士は、ネットで事務所のホームページを検索し、比較することで選ぶことが可能です。また、知り合いや同業者からの紹介や、税理士紹介会社を利用することも効果的です。

税理士に依頼する業務の費用相場はどれくらいですか?

税理士に依頼する業務の費用相場は、例えば税務関係の業務委託では年間20万~50万円、相談対応の顧問契約では月額2万~5万円程度です。経営コンサルティング業務の場合は、着手金と成果報酬型となり、融資・助成金の資金調達業務では、着手金数万~20万円、成果報酬は調達額の2~5%が相場です。

この記事の監修者
税理士紹介のパイオニア
株式会社ビスカス 代表取締役 八木美代子
早稲田大学卒業後、リクルート入社。1995年に株式会社ビスカスを設立。税理士を無料でご紹介するビジネスモデルを日本で初めて立ち上げ、これまでに35万件以上のマッチングを実現。経営者向けの情報発信も精力的に行っており、WEBメディア「マネーイズム」内では、政財界のトップや業界トップの経営者から時代を勝ち抜くヒントを学ぶ対談「ビジネスリーダーに会いに行く!」を連載中。また、YouTubeチャンネルでは、お金に関する疑問を分かりやすく配信している。

株式会社ビスカス公式HPはこちら
対談記事「ビジネスリーダーに会いに行く!」はこちら
YouTubeチャンネル「恵比寿の八木社長 3分でわかる税金」はこちら
この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
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