税理士への依頼の仕方 顧問契約とスポット契約はどう違う?

税理士への依頼の仕方 顧問契約とスポット契約はどう違う?
最終更新日:
2025/01/07
 
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税理士への依頼の仕方には、「顧問契約」と「スポット契約」があります。ただし、その判断を誤ると、望むサポートが受けられなかったり、コストがかかり過ぎて経営を圧迫したり…といった問題も起こり得ます。今回は、顧問契約とスポット契約でそれぞれどんな仕事を税理士に依頼できるのか、報酬相場も併せて解説します。

そもそも税理士とは?

税理士にしか頼めない仕事がある

国家資格である税理士には、「独占業務」といって「税理士にしかできない仕事」があります。以下の3つです。

  • 税務代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

例えば「申告書の作成」であれば、自力でやることもできますが、誰かに頼む際には税理士でなければならない、ということです。

税のプロである税理士からは、正しい納税や節税についてのアドバイスを受けることもできます。また近年は、そうした税務関連以外のコンサルタント業務などに対応する税理士も増えています。金融機関からの融資や、補助金、助成金などの申請についての相談に乗ってもらえる場合もあります。

スポットでも依頼可能

事業に関連して税理士と契約する、というと、継続的な顧問契約を思い浮かべるかもしれません。しかし、顧客が必要とすることだけを行う「スポット契約」に対応する税理士も多くいます。
それぞれの契約形態で依頼できる業務内容やメリット・デメリットについて、まずはスポット契約から説明しましょう。

税理士にスポットで仕事を依頼する

スポット契約で頼めること

これまで税理士に依頼したことがないと、スポット契約といっても何ができるかピンとこないかもしれません。
スポット契約で頼める業務を以下に例示しましょう。

・新事業の展開時に必要な税務アドバイスを受ける

事業展開には大きくお金が動くことが多いものです。税理士は依頼者個々の事情や経営状況に応じ、経費の取り扱いや節税、申告における注意点などをアドバイスしてくれる心強い存在です。また、税務ではありませんが事業展開で融資が必要な場合、地域密着かつ経営を専門とする税理士に依頼すると、地元の金融機関の情報に詳しく審査に通りやすくなるコツなどもアドバイスしてもらえることが多いです。

なお、税務相談は税理士の独占業務であるため、税理士以外が行うことは法律上認められていません。正確な情報を得るために、依頼者側も注意しましょう。

・補助金・助成金の申請で専門的な助言が必要な場合

新事業を興す際に利用可能な補助金(原則申請後審査を経て受給)や助成金(原則一定の条件を満たせば受給可能)はいろいろなものがありますが、条件や申請方法などはそれぞれ違うので、慣れないと確認に手間がかかります。

税理士はこれら補助金・助成金についても、依頼者に対しどの制度が使えそうか、どのように申請すればよいかなどのアドバイスをしてくれます。ただし、補助金・助成金に詳しい税理士を選ぶことが大切です。

・突然の税務調査に対しての立ち会い

経営者自身で経営と経理を行い、きちんと確定申告をしたつもりでも、税務署が申告内容に疑問を持つと、税務調査の対象になってしまう場合があります。ましてや事業展開の忙しさでうっかり申告を忘れてしまった場合、調査の確率はさらに高くなるでしょう。

いずれの場合も経営者だけで税務調査に対応するのは知識的にも心理的にも厳しいものがありますが、調査時の立ち合いを税理士に依頼することで、その負担を和らげられます。調査に関する対応方法の助言を受けることもできます。

・自身で処理した確定申告に不安がある場合の確認依頼

申告書類は自身で作成したものの、漏れや不備があってやり直しを命じられたり、万一税務調査に入られたりすることのないよう、申告前に税理士に書類のチェックのみを依頼できます。

新事業で初めて確定申告する場合、別事業を起ち上げた場合など、お金の動きが激しくかつ高額になることが多いため、これまでの申告で問題がなかった方も念のため税理士に確認依頼することをお勧めします。

スポット契約のメリット

スポット契約の最大のメリットは、顧問契約に比べてコスト(報酬)が安くて済むことです。起業したてで資金に余裕がなく、事業規模もまだ大きくない段階などでは、依頼内容を絞って税理士を使うのもいいでしょう。
また、スポット契約では、“オプションのサービス”が付加されていないことが多いため、本当に必要なことに限定した仕事を依頼できるのも利点といえます。

スポット契約のデメリット

例えば、申告書の作成のみをスポット契約で依頼する場合、記帳(会計処理)は自分で行うことになります。専門知識の不足などから、その処理に間違いがあると、結果的に間違った申告書ができ上るリスクがあります。税理士が、決算期に1年分の会計処理を全てチェックするのには無理もあることは、念頭に置いておきましょう。

また、節税対策を実施するには、1年や場合によっては何年にもわたる積み重ねが必要になるケースもあります。決算期のみに対応するのでは、いくら税のプロといえども限界はあります。

実際には、法人を設立したら(個人事業主が「法人成り」したら)、顧問税理士を雇う、つまり税理士と顧問契約を結ぶのが普通です。というのも、法人は個人事業に比べ売上規模が大きく、取引関係なども複雑化している上に、決算申告の際に膨大な書類の作成が必要になるためです。

税理士と顧問契約を結ぶ

顧問契約した税理士に頼めること

顧問契約の場合にも、提供されるサービスは会計事務所や契約の中身によって異なり、取捨選択することもできます。一般的には、次のようなことを依頼することが可能です。

  • 申告書類、決算書類の作成
  • 記帳代行(記帳内容の随時チェック)
  • 効果的な節税対策の実行
  • 資金調達のサポート
  • 経営アドバイス
  • 税務調査(※)への立会い(スポットで依頼することもできます)
※税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。税務署が行う任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

顧問契約のメリット

顧問契約をすれば、専門知識が必要な会計・税務関連の業務について、必要であれば全てを任せることができ、経営者は本業に集中することができます。経営面で疑問や不安が生じたときには、電話やメール、定期的な面談などを通じて質問などをすることができ、自社の事業を把握するプロから、経営に関するさまざまなアドバイスを受けることも可能です。

顧問契約のデメリット

スポット契約と裏腹ですが、幅広くいろいろな仕事を頼む以上、それなりのコストを覚悟しなくてはなりません。資金的に余裕がない場合には、月々発生する顧問料が経営の重荷になるかもしれません。

また、顧問契約さえすれば、どんな税理士であっても満足のいくサービスを得られるとは限りません。業務を税務関連に限っている会計事務所もあります。
また、どれだけ有能な税理士であっても、自身と相性が合わないために適切なサービスを受けられないこともあります(例えば、質問や相談がしづらい等)。税理士を選ぶ際には、次に説明するコストとともに、自分のニーズを満たしてくれる相手かどうかをしっかり検討する必要があるでしょう。

税理士に支払う報酬の相場は?

最後に、気になるコストについてみてみましょう。
税理士の報酬は、

  • 依頼主の売上高や業種
  • 面談の回数、頻度
  • 記帳代行の有無
  • 求めるサポート内容

などによって変わってきます。そのため、以下の金額は、あくまでも「相場の目安」と考えてください。

個人事業主が確定申告のみをスポットで依頼する場合

年商・年間売上高 料金の目安
年商500万円未満 70,000~80,000円/年
年商500万円~1,000万円未満 100,000円~/年
年商1,000万円~3,000万円未満 150,000円~/年

個人事業主が顧問契約を結ぶ場合

年商・年間売上高 訪問回数 料金の目安
年商500万円以上
1,000万円未満
3-4カ月に1回 10,000円~/月 + 確定申告料
年商1,000万円以上
3,000万円未満
2カ月に1回 20,000円~/月 + 確定申告料
3-4カ月に1回 15,000円~/月 + 確定申告料
年商3,000万円以上
5,000万円未満
毎月1回 25,000円~/月 + 確定申告料
2カ月に1回 20,000円~/月 + 確定申告料
3-4カ月に1回 15,000円~/月 + 確定申告料
年商5,000万円以上
1億円未満
毎月1回 30,000円~/月 + 確定申告料
2カ月に1回 25,000円~/月 + 確定申告料
3-4カ月に1回 20,000円~/月 + 確定申告料
年商1億円以上 要相談 30,000円~/月 + 確定申告料

法人が顧問契約を結ぶ場合

年商・年間売上高 訪問回数 料金の目安
年商1,000万円未満 4-6カ月に1回 10,000円~/月 + 決算申告料
決算のみ 100,000円~/年
年商1,000万円以上
3,000万円未満
2カ月に1回 20,000円~/月 + 決算申告料
3-4カ月に1回 15,000円~/月 + 決算申告料
決算のみ 150,000円~/年
年商3,000万円以上
5,000万円未満
毎月1回 25,000円~/月 + 決算申告料
2カ月に1回 20,000円~/月 + 決算申告料
3-4カ月に1回 15,000円~/月 + 決算申告料
年商5,000万円以上
1億円未満
毎月1回 30,000円~/月 + 決算申告料
2カ月に1回 25,000円~/月 + 決算申告料
3-4カ月に1回 20,000円~/月 + 決算申告料
年商1億円以上3億円未満 要相談 30,000~50,000円/月 + 決算申告料
年商3億円以上5億円未満 要相談 35,000円~/月 + 決算申告料
年商5億円以上10億円未満 要相談 45,000円~/月 + 決算申告料
年商10億円以上 要相談 50,000円~/月 + 決算申告料
決算申告業務対応のみでご依頼の場合、年額での支払いとなります。

その他のコスト

記帳代行を税理士に依頼した場合の料金

仕訳数 料金の目安
~200枚 15,000円
201~300枚 20,000円
301~400枚 25,000円
401~500枚 30,000円
501枚~ 35,000円

決算申告料金

月額顧問料の4~6カ月分が相場です。

給与計算

事務所により設定が異なります。

年末調整

事務所により設定が異なります。

※上記の相場表は、小売業・卸売業、飲食・外食産業、美容業、製造業、貿易業、土木建設・建設業(一人親方など)、不動産業、フランチャイズ(コンビニなど)、ECサイト・ネットショップ、IT・WEBサービス関連、 医療業(病院、クリニックなど)、介護・福祉業、芸能・スポーツ業、教育(学習塾など)、サービス業、農水産・畜産、金融・保険、自営業・個人事業主、その他法人(一般社団法人・公益法人・NPO法人・宗教法人など)に対応。

まとめ

顧問契約とスポット契約の違い、メリット・デメリットを理解していただけたでしょうか。法人はもちろん、個人事業主でも、資金に問題がなければ節税や事業に対するアドバイスなどのメリットを享受できる顧問契約を結ぶのがベターといえそうです。
ただし、契約の際には、ニーズに合致した税理士・会計事務所かどうかをよく検討する必要があるでしょう。実績のある税理士紹介会社を使えば、間違いのない税理士を効率よく探すことができます。

よくある質問

税理士への依頼方法にはどのような種類がありますか?

税理士への依頼には、継続的なサポートを受ける「顧問契約」と、特定の業務だけを依頼する「スポット契約」があります。

顧問契約のメリットは何ですか?

顧問契約のメリットは、会計・税務の全般的なサポートが受けられ、経営に専念できる点です。また、税務調査への対応や節税対策のアドバイスも受けられます。

スポット契約のメリットは何ですか?

スポット契約のメリットは、必要な業務だけを依頼でき、コストを抑えられる点です。個別の申告書作成や相談など、特定の業務に限定した依頼が可能です。

税理士の報酬相場はどのくらいですか?

税理士の報酬相場は業務内容や契約形態によりますが、個人事業主の確定申告は年70,000円~150,000円、法人の顧問料は月10,000円~30,000円程度です。

税理士選びのポイントは何ですか?

税理士選びのポイントは、業界知識、対応の速さ、報酬の透明性、相性などです。信頼できる税理士紹介サービスを利用することも有効です。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
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