医療業に詳しい税理士とは?税理士に依頼するメリットを解説
- 最終更新日:
- 2024/07/08
そもそも税理士の仕事とは?
税理士にしかできないこと
最初に、あらためて税理士に頼めること、頼むべき理由についてみておきましょう。
税理士には、次の3つの「独占業務(税理士事務所や税理士法人でなければ認められない業務)」があります。
- 税務書類の作成:申告書などを納税者に代わって作成すること。
- 税務代理:納税者に代わって税務署に税務申告を行ったり、税務調査(※)に立ち会ったりすること。
- 税務相談:節税を含めた税金の計算や書類の作成などに関して、納税者の相談に応じること。
例えば税務署への申告は、納税者本人が行うこともできますが、誰かに代行してもらうときには、税理士でなくてはならないわけです。
もちろん、税理士はこれらの仕事しかやらないわけではありません。近年は特に、「数字に強い」「会計を通じて事業を把握できる」という特質を生かして、経営に対するアドバイスやコンサルタント的な業務を強化する税理士も多くなっています。
税理士にも“得意分野”がある
上記の理由のため、税理士は、「正確な申告・納税をしてもらいたい」「節税をお願いしたい」「会社の経理や会計まわりも頼みたい」「経営に対するアドバイスが欲しい」などの理由で選ばれています。
ただし、税理士は全ての税制や業界に通じているというわけではないのも事実です。例えば、法人税に通じた税理士でも、社長が亡くなった後の事業承継や相続税の相談には満足のいく対応ができない、といったことが起こり得るのです。
クリニック・歯科医院・病院などの医療関連事業は専門性が高く、申告・納税一つとってみても、正確に行うためには業務の流れなどに精通していることが求められます。顧問契約などの依頼にあたっては、次のような点をチェックするようにしましょう。
医療業に強い税理士を選ぶ7つのポイント
医療業をサポートした経験、実績はあるか
最もわかりやすいのが、「医療業の税務などを担当した経験があるかどうか」です。逆に言えば、そうした経験のない税理士に顧問を依頼したりするのは、どんなに報酬が安くても避けるべきです。先述のように、医療業は極めて専門性が高く“特殊”な業界だからにほかなりません。
医療業に専門特化しているか
通常、税理士は、10数件~20件程度の担当を持っており、製造業やサービス業などのクライアントとともに医療業も数件担当している、というケースもあります。ただ、そうした「医療関係も担当顧問先の業種の中の一つです」といったスタンスについても、専門性という視点からはクエスチョンマークが付きます。
的確な節税や経営支援も含めたレベルの高いサポートを求めるのであれば、税理士事務所自体が医療業に専門特化しているのがベストです。個々の税理士や担当者が多くの同業者をカバーしていれば、共通する問題点などについて、迅速なアドバイスも期待できるでしょう。
節税に対する意識をしっかり持っているか
地域の患者のニーズに応えるためには、将来にわたって安定的な経営を維持していくことが不可欠です。医療機関の経営にとって、どれだけ節税して手元に資金を残せるのかが重要な意味を持つことは、いうまでもありません。規模にもよりますが、年間数十万円~数百万円の節税効果が見込める場合もあります。
繰り返し述べているように、そのためには「医療業界の知識」が必要不可欠です。同時に、そもそも顧客の決算に際して“節税の意識”を持ったプロかどうかも問われます。中には、申告の「安全性」、すなわち税務署と争いになったりしないことを優先するあまり、節税に消極的な税理士もいるのです。税理士に対して節税を求めるのならば、そうした点をよく見極める必要があるでしょう。
いざというときに納税者の味方になってくれるか
正しい申告をしたつもりでいても、税務署の税務調査が入ることもあります。顧問税理士は、税務署と対応し、調査の際も同席が許されるのですが、この時に「税務署寄り」の対応では意味がありません。そうした「緊急時」も含めて、納税者の側に立って、その利益を最優先に考え、行動してくれる税理士を選びましょう。
医療法人の設立に詳しいか
事業承継をしやすい、社会的信用度がアップする、などのメリットがあることから、個人経営のお医者さんが医療法人の設立を目指すことも増えました。ただ、設立には都道府県知事の認可が必要で、その流れも自治体ごとに違いがあります。医療法人設立に詳しい税理士に相談すれば、ミスなく手続きを進めてくれるはずです。
MS法人の設立に詳しいか
法令上、医療機関でなくてはできない業務以外の、例えば病院運営にかかわる保険請求業務、会計業務、医薬品や医療機器、器具の仕入や管理、販売業務、人材派遣などを行うのが、MS(メディカル・サービス)法人です。
医療機関がMS法人を設立すると、所得の分散などにより大きな節税効果を生むことができますが、“行き過ぎる”と税務署に租税回避行為を指摘され、申告内容が否認される可能性がある、といったリスクもあります。MS法人設立を考える場合には、やはり知識と経験のある税理士などの専門家のサポートが必要です。
相性は合うか
医療業に限りませんが、税理士に正しい税務申告をしてもらうためには、事業の内情を洗いざらい明らかにしなくてはなりません。そういう相手だけに、「税理士と相性が合うかどうか」は、税理士を選ぶ際の大事なポイントです。
この点でも、医療業のサポートに経験を持っている税理士というのは、アドバンテージになるかもしれません。税理士から見ても、医師という専門性の高い相手は、やや「異質」な存在でしょう。そういうクライアントと多く接してきた税理士ならば、適切な距離感を体得している可能性があります。
医療業に詳しい税理士の選び方
自分に合った税理士を選ぶには、次のような方法があります。
インターネットで探す
インターネットを活用して、医療業に詳しい税理士や医療業専門の税理士事務所を探すことができます。手軽でコストもかかりませんが、具体的なサービスの中身や報酬については、実際に話してみないとわからないこともあります。
同業者などに紹介してもらう
これも、よく使われる探し方です。実際に仕事を任せている人のお墨付きであれば、医療業に適した税理士に巡り合える確率は高まるでしょう。半面、自分には相性の合わない相手だったとしても、知っている人の紹介だけに依頼を断りにくい、というデメリットもあります。
税理士紹介会社を使う
税理士紹介会社に、「医療業に詳しい税理士を紹介してください」とリクエストすれば、効率的に該当する人を探してくれます。無料で複数の税理士を紹介してもらえるのが普通です。
ただし、紹介会社によって、ただ事務所をピックアップするだけだったり、担当のコーディネーターが面接まで同席してくれたり、といったサービスの違いはあります。税理士紹介に実績のある会社に頼むのがいいでしょう。
医療業に詳しい税理士の料金の相場
税理士顧問料の相場は様々な条件(年商、訪問回数、業務形態、記帳状況など)によって異なります。
また、医療法人か個人医院かでも料金相場は若干異なります。
税理士によって料金設定が異なるため、まずは一度問い合わせて確認するのがおすすめです。
医療法人の場合の料金相場
年商 | 訪問回数 | 金額 |
---|---|---|
年商1000万円以上 5000万円以下の場合 |
2ヶ月に1回 | 25,000円~/月 |
3-4ヶ月に1回 | 20,000円~/月 | |
決算のみ | 250,000円~ | |
年商5000万円以上 1億円未満の場合 |
毎月1回 | 35,000円~/月 |
2ヶ月に1回 | 30,000円~/月 | |
3-4ヶ月に1回 | 25,000円~/月 | |
年商1億以上 3億円未満の場合 |
応相談 | 40,000~60,000円/月 |
年商3億以上 5億円未満の場合 |
応相談 | 50,000円~/月 |
年商10億以上の場合 | 応相談 | 80,000円~/月 |
個人医院の場合の料金相場
年商 | 訪問回数 | 金額 |
---|---|---|
年商1000万円以上 3000万円以下の場合 |
3-4ヶ月に1回 | 15,000円~/月 |
決算のみ | 150,000円~ | |
年商3000万円以上 1億円未満の場合 |
毎月1回 | 30,000円~/月 |
2ヶ月に1回 | 25,000円~/月 | |
3-4ヶ月に1回 | 20,000円~/月 | |
年商1億以上 3億円未満の場合 |
応相談 | 30,000~50,000円/月 |
年商3億以上 5億円未満の場合 |
応相談 | 35,000円~/月 |
年商10億以上の場合 | 応相談 | 50,000円~/月 |
記帳代行の料金相場
仕訳数 | 料金 |
---|---|
~200枚 | 15,000円 |
201~300枚 | 20,000円 |
301~400枚 | 25,000円 |
401~500枚 | 30,000円 |
501枚~ | 35,000円 |
決算時報酬・給与計算・年末調整
- 決算時報酬:月額顧問料の4~6ヶ月分が目安
- 給与計算:事務所により設定が異なります。
- 年末調整:事務所により設定が異なります。
まとめ
医療業に携わる人が税理士に依頼する場合には、専門性を理解するだけの経験や実績を持っているかどうかが、1つの基準になるでしょう。税理士紹介会社に頼めば、迅速かつ効率的に選ぶことが可能です。
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