IT業界に強い税理士の特徴や選び方とは?税理士3名の知識・経験をもとに解説

IT業界に強い税理士の特徴や選び方とは?税理士3名の知識・経験をもとに解説
最終更新日:
2024/08/27
 
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IT業界の企業にとって、税務対策は非常に重要です。しかし、一般的な税理士ではIT特有の課題に対応しきれないことも多いです。そこで、今回はIT業界に強い税理士の特徴について、専門家の意見を交えながら解説します。

専門家のご紹介

専門家

なかがわまみ税理士事務所 代表税理士
中川麻未

京都大学卒業後、上場会社の経理を経て税理士資格を取得し大阪市にて開業。クラウド会計導入支援、個人・中小事業主への節税提案を得意としている。セミナー等で、副業やクラウド会計などの情報を定期的に発信している。

なかがわまみ税理士事務所

専門家

アカウントエージェント株式会社 代表取締役社長
藤沼会計事務所 代表社員
公認会計士・税理士 藤沼寛夫

2013年に公認会計士試験に合格後、上場企業の会計監査、上場準備会社のIPO支援、中小企業のM&Aおよび資金調達支援に従事。2019年に藤沼会計事務所を開業し、2020年にアカウントエージェント株式会社を設立。現在は会計監査、M&Aアドバイザリー、ファクタリング支援を中心にサービスを提供している。

アカウントエージェント株式会社
ファクタリングに強い藤沼会計事務所

専門家

梶本公認会計士・税理士事務所 所長
梶本卓哉

早稲田大学卒業後、関東信越国税局採用。税務大学校を首席卒業(金時計)し、税務署法人課税部門にて法人税、消費税等の税務調査に従事。複雑困難事案の事績により署長顕彰。税務署勤務中に公認会計士試験に合格し、大手監査法人に入所。製造業や不動産業をはじめ様々な業種の上場会社監査やIPO監査に従事。その後、中央官庁勤務を経て、大手証券会社の投資銀行部門で多数のIPOの実現に関与。2023年公認会計士・税理士事務所開設。主に法人の税務顧問を務める。

梶本公認会計士・税理士事務所

税理士に聞く - IT業界における税務上の課題と解決方法とは?

質問: IT業界のクライアントと仕事をする中で、税務上の課題とその解決方法について教えてください。

専門家

中川麻未先生

これまでIT企業に勤務していたエンジニアの方が、独立してフリーランスになった場合、当初想定していたよりも多くの税金を払うことになった事例が印象に残っています
当然、独立したら所得税を払うことは想定されていたのですが、それ以外にも下記の税金を払うことになり、独立前より手取りが減ってしまったケースです。
①消費税
エンジニアの取引先は大手法人であることが多く、客先からインボイスを取得するよう要請されるケースが多いです。消費税にはいくつか計算方法がありますが、エンジニアの場合は経費や投資が多くないので、消費税負担が重くなりがちです。2割特例や簡易課税制度などをうまく活用して消費税負担を抑えることが大切です。
②個人事業税
あまり知られていませんが、特定の事業を行う個人事業主は、お住いの自治体に事業税を納税する必要があります。悩ましいのは、エンジニアが課税対象か否か、自治体によって判断が異なるのが実態です。開業初年度には県税事務所から事業内容や契約の問い合わせがあることが多く、自治体によっては、エンジニアであっても請負契約を締結していれば「請負業」として課税するケースもあるようです。
ちなみに、確定申告書の別表に「事業税」の非課税所得を記載する欄があり、自分の事業が個人事業税の対象業種でない場合には、金額を記載することができます。
③社会保険
税金ではありませんが、サラリーマン時代には社会保険は労使折半されていましたが、独立すると、国民健康保険・国民年金に加入し全額自己負担になります。特に退職前年の所得が大きいと、開業初年度の社会保険の負担は大きくなるので、手元十分な資金を残しておくのがよいでしょう。

専門家

藤沼寛夫先生

IT業界のお客様は多種多様で、大手法人様から個人事業主・フリーランスのお客様まで幅広いです。
私が特に税務上での課題と感じることが多かったのは、個人事業主様のケースでした
IT関連の税制は多く改正がなされ、最近ではデジタル課税の国際ルールの導入が真新しいです。
法人のお客様であれば、税務部門担当者が在籍し、多少専門的なお話であってもご理解を頂けるケースが多いです。
しかし、個人事業主様の場合はそうもいかず、事業主様にITに関する税務の知識を根気強くお伝えしなければなりません。
私はITに関する税務だけでなく、元々ITそのものに関する知識があったため、まずは実務面でのお話から徐々に税に関連付けてお伝えすることで、分かりやすく解説することを心がけています。

専門家

梶本卓哉先生

IT業界に固有の課題ではないですが、IT業界のクライアントほど中小企業でもDX化が進んでおり、海外の事業者が提供するサービスを利用しているケースが多いのが印象に残っています。
最近でいうと、米国OpenAI社のChatGPTが有名ですね。このような国外事業者が行う消費者向け電気通信役務の提供については、消費税の仕入税額控除の取扱いが複雑となっています。具体的には、国内事業者の役務の提供と異なりインボイスの保存がない場合の一定割合(80%、50%)のみなし控除の経過措置の適用がない一方、小規模事業者の少額特例(課税仕入れ1万円未満)の経過措置は適用されます。特に後者の取扱いが国税庁から公式に明示されたのがインボイス制度開始後である令和6年1月であるなど、納税者が有利な取扱いを選択するには常に最新の情報を追いかける必要がありました。

IT業界における税務の落とし穴と回避策

IT業界のフリーランスや個人事業主にとって、税務上の課題は避けて通れません。中川麻未先生は、独立後に予想以上の税金負担に直面する事例を挙げ、消費税や個人事業税、社会保険の負担が大きくなることを指摘しています。これに対して、2割特例や簡易課税制度の活用、事業税の非課税所得の申告などが効果的な解決策となります。
藤沼寛夫先生は、個人事業主が最新の税制改正やデジタル課税に対応するためには、税務知識の習得が不可欠であることを強調しています。特に、専門的な知識を持たない事業主には、実務と税務を関連付けた分かりやすい説明が必要です
梶本卓哉先生は、DX化が進む中で国外事業者のサービス利用に伴う消費税の取扱いが複雑化している点を指摘し、最新情報の追跡が重要であると述べています。
IT業界のフリーランスや個人事業主は、これらの課題に対する理解と適切な対応策を講じることで、税務上の問題を効果的に乗り越えることができます。

税理士に聞く - IT業界が税理士を選ぶ上でのアドバイスとは?

質問: IT企業が税理士を選ぶ上での注意点やアドバイスを教えてください。

専門家

中川麻未先生

ITに関するビジネスをされている場合は、特にリモートワークが進み、場所に縛られない「ノマドワーカー」といわれる働き方をされる人も増えてきました。
税理士を選ぶ際も、自分と同じ感覚・アンテナを持っている税理士を選ぶとよいでしょう
例えば、
・必ずしも対面でなく、WEB会議やチャットツールで問題なくコミュニケーションが取れるか?
・クラウド会計を得意とする税理士か?
・事務所はペーパーレス化を進めているか?
・紙ベースの申告ではなく、e-Taxで電子申告を行っているか?
などを事前にヒアリングするとよいかもしれません。

専門家

藤沼寛夫先生

IT企業以外にも言える話ですが、その分野に強い税理士を選ぶべきです。
税理士である以上、一般的な税務の知識は当然兼ね備えています。
しかし、例えば業種ごとに必要となる税の知識は異なりますし、実務上の取り扱いも多かれ少なかれ異なります。
税理士にも得意不得意がありますから、「IT業界に強い」「IT業界を専門とする」税理士を選んだ方が良いです
選ぶ際の注意点は、所長の経歴・実務経験を見ることです。近年では特定の業種に特化していることをHP等で謳っている税理士事務所が多いですが、単にブランディングのために専門性をアピールしている税理士事務所もあります。
しかし、実際に経歴を見てみると全く関係のない職歴であったり、そもそも税理士登録をして間もないケースがあります。
税務においては特に「経験」が重要ですので、その事務所の所長・職員がどのような経験を経てきたのか、もしっかりと確認しておくべきです。

専門家

梶本卓哉先生

先ほどの消費税の仕入税額控除の例でも分かるとおり、IT業界を取り巻く税制改正は頻繁に行われています。
税理士であれば税制改正については一通り情報収集をしているはずですが、全ての税理士が細かい取扱いまで常に最新の情報を追いかけているとは限りません。そのため、税理士を選ぶ際には、自社に適用されそうな制度について質問してみるのがよいでしょう
その際、IT企業自身が制度の細部まで把握しておくことまでは必要ありませんが、きちんと情報収集をしている税理士かどうかを見極める上でも、IT企業自身もある程度の情報収集は欠かせないといえるでしょう。
また、その場限りのいい加減な回答をする税理士よりも、正確なところは調べた上で回答するといった慎重な姿勢の税理士の方が後々間違いが起きにくいと思います。

実際に依頼する際のチェックポイント

IT業界における税理士選びは、企業の財務健全性に直結する重要なステップです。中川麻未先生、藤沼寛夫先生、梶本卓哉先生のアドバイスを参考に、以下のポイントを押さえて税理士を選びましょう。

1. コミュニケーションとデジタル対応

リモートワークが普及する中、WEB会議やチャットツールでの対応が可能な税理士を選ぶことが重要です。また、クラウド会計ソフトの利用に精通し、ペーパーレス化を進め、電子申告(e-Tax)に対応している税理士を選びましょう。これにより、場所に縛られず、効率的でスムーズなやり取りが可能になります。

2. 業界特化の専門知識

IT業界特有の税務知識を持つ税理士を選ぶことが重要です。税理士の経歴や実務経験を確認し、IT業界に精通しているかを見極めましょう。業界特化の専門性を持つ税理士は、業界特有の課題やニーズに対応でき、より的確なアドバイスを提供してくれます。

3. 最新の税制改正への対応力

税制改正は頻繁に行われるため、常に最新の情報を追いかけ、適切に対応できる税理士を選びましょう。適用される制度について質問し、きちんと情報収集をしているかを確認することが大切です。慎重に情報を調べた上で正確な回答を提供する税理士は、信頼性が高く、後々のトラブルを防ぐことができます。
これらのポイントを踏まえた税理士選びが、IT企業の健全な財務管理と成長に大きく寄与するでしょう。

IT業界に強い税理士の探し方

IT業界に強い税理士を探す際には、専門家の意見を参考にするのが効果的です。
当社(ビスカス)では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて企業の税金に関する疑問や経営の不安をスマートに解決するサービスを提供しています。ビスカスPalでは、電子サインや収納代行、顧客管理機能を備えており、累積29万件以上の紹介データベースを活用して事務所運営や企業運営に役立つ分析データを提供しています。これにより、IT業界に特化した税理士を効率的に紹介することが可能です。
さらに詳しい情報やおすすめの税理士については、こちらのリンクから専用ページをご覧ください。
IT業界に強い税理士を探すための専用ページはこちら

まとめ

IT業界に強い税理士を選ぶことで、税務対策の質が大きく向上します。
今回紹介した特徴やポイントを参考に、自社に最適な税理士を見つけてください。専門家の意見を取り入れることで、より具体的で信頼性の高い情報を得ることができます。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
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