クラウド会計の導入、税理士は必要?顧問料は安くなる?【税理士監修】
- 最終更新日:
- 2024/10/23
- この記事の監修者
- 佐藤大貴税理士事務所 所長 佐藤大貴(税理士)
クラウド会計で税理士は不要になるのか?
クラウド会計ソフトの導入により、経理業務の多くが自動化されますが、これだけで税理士が完全に不要になるわけではありません。
クラウド会計ソフトの記帳機能
クラウド会計ソフトは以下のような優れた機能を持っています:
- 取引の自動入力
- 銀行口座との連携
- 領収書のスキャンと自動仕訳
- リアルタイムでの財務状況の把握
これらの機能により、日々の記帳作業が大幅に簡略化され、時間の節約につながります。しかし、すべての経理業務が完全に自動化されるわけではありません。
決算対応のリスクと限界
クラウド会計ソフトには、以下のような限界があります:
- 複雑な仕訳の処理
- 特殊な税務処理への対応
- 法改正に伴う税制変更への即時対応
特に決算期には、これらの限界が顕著になります。誤った仕訳や設定が原因で、税務調査で指摘をされるリスクが高まる可能性があります。
税理士の専門知識の重要性
税理士は以下のような専門知識を持っています:
- 最新の税法に関する深い理解
- 複雑な会計処理への対応能力
- 税務調査対策のノウハウ
これらの専門知識により、クラウド会計ソフトだけでは対応しきれない部分をカバーし、より正確で安全な経理業務を実現します。
クラウド会計導入でも税理士が必要な3つの理由
クラウド会計ソフトを導入しても、税理士の役割は依然として重要です。以下に、その主な理由を3つ挙げます。
税務調査リスクの低減
税務調査は企業にとって大きな負担となります。税理士は以下の点で税務調査リスクを低減します:
- 帳簿の正確性チェック
- 税法に準拠した適切な処理の確認
- 過去の税務調査事例に基づくアドバイス
税理士のサポートにより、税務調査への備えを万全にすることができます。
効果的な節税対策の提案
クラウド会計ソフトは数字の処理に長けていますが、節税対策の提案はできません。税理士は以下のような節税策を提案します:
- 事業形態に応じた最適な節税方法
- 各種控除の適用
- 税制改正に伴う新たな節税機会の活用
これにより、合法的かつ効果的な節税が可能になり、事業の収益性向上につながります。
クラウド会計ソフトの最適活用サポート
税理士は単なる税務の専門家ではありません。クラウド会計ソフトの活用においても、以下のようなサポートを提供します:
- 初期設定の最適化
- 複雑な仕訳の設定方法指導
- ソフトの機能を最大限に活用するためのアドバイス
このサポートにより、クラウド会計ソフトの導入効果を最大化し、業務効率の大幅な向上が期待できます。
佐藤 大貴
監修税理士からのワンポイントアドバイス
クラウド会計は、上記のように銀行口座やクレジットカードとの連携や仕訳の自動化等、会計処理をおこなうには便利です。自動化を進めていけば、税理士は不要となるかもしれません。しかしながら、複雑な仕訳(固定資産の取得や有価証券の評価等)の会計処理や税務申告の処理が正しいかまでは担保することができません。あくまでクラウド会計ソフトは、ユーザーの作業を補助するものとなります。しかしながら、プロである税理士の視点が入ることにより、処理の正しさを確認でき、かつ、節税案(最適な役員報酬額や社宅、雇用促進税制の別表作成等)という付加価値を出すことができます。結果、税理士報酬以上の節税をすることができるということもあります。クラウド会計に税理士をプラスすることにより、シナジー効果を発揮できるといえるでしょう
税理士顧問料は安くなるのか?
クラウド会計ソフトの導入により、税理士顧問料が変動する可能性があります。ここでは、その影響と顧問料を抑えるポイントについて解説します。
顧問料の変動要素
税理士顧問料に影響を与える主な要素は以下の通りです:
- 事業の規模
- 依頼する業務内容
- 取引の複雑さ
- 相談の頻度
クラウド会計ソフトの導入により、特に「依頼する業務内容」が変化する可能性が高くなります。
クラウド会計導入による顧問料への影響
クラウド会計ソフトの導入により、以下のような変化が起こる可能性があります:
- 記帳代行業務の削減
- 月次レポート作成の自動化
- リアルタイムでの財務状況把握による相談頻度の変化
これらの変化により、税理士に依頼する業務量が減少し、結果として顧問料が下がる可能性があります。ただし、その程度は事業者の状況によって大きく異なります。
顧問料を抑えるためのポイント
税理士顧問料を効果的に抑えるためには、以下のポイントが重要です:
- クラウド会計ソフトの機能を最大限に活用する
- 日常的な記帳や簡単な経理処理は自社で行う
- 税理士との役割分担を明確にし、効率的な業務フローを構築する
- 定期的に税理士との契約内容を見直し、必要なサービスのみを利用する
これらのポイントを実践することで、税理士の専門性を活かしつつ、コストを最適化することが可能になります。
どんな場合に税理士契約を考えるべきか?
クラウド会計ソフトを導入しても、状況によっては税理士との契約が必要になる場合があります。ここでは、税理士契約を検討すべき具体的なケースを紹介します。
事業規模の拡大時
事業規模が拡大すると、以下のような変化が起こります:
- 取引量の増加
- 経理業務の複雑化
- 税務リスクの増大
このような状況では、クラウド会計ソフトだけでは対応しきれない問題が発生する可能性が高くなります。税理士のサポートにより、これらの課題に適切に対処することができます。
新規事業や海外展開時
新規事業の立ち上げや海外展開を行う際には、以下のような専門知識が必要になります:
- 新たな事業形態に適した会計処理
- 国際税務の知識
- 海外での会計基準の違いへの対応
税理士は、これらの専門的なアドバイスを提供し、新たなビジネスチャレンジをサポートします。
税務調査への対応が必要な場合
税務調査は企業にとって大きな負担となります。以下のような場合、税理士のサポートが特に重要になります:
- 過去の申告内容に不安がある
- 業績が急激に変動している
- 特殊な取引や会計処理がある
税理士は、税務調査への適切な対応方法を指導し、調査のスムーズな進行と最適な結果の獲得をサポートします。
まとめ:クラウド会計と税理士の最適な関係
クラウド会計ソフトの導入は、経理業務の効率化に大きく貢献します。しかし、税理士の専門知識やアドバイスの重要性は変わりません。以下のポイントを押さえることで、クラウド会計と税理士の最適な関係を構築できます:
- クラウド会計ソフトを活用し、日常の経理業務を効率化する
- 複雑な税務処理や戦略的な財務判断は税理士に相談する
- 事業の成長段階に応じて、税理士との関係性を柔軟に調整する
このバランスを取ることで、コスト効率の良い経理体制を築きつつ、専門家のサポートによる安全性と戦略性を確保することができます。クラウド会計時代においても、税理士との適切な協力関係を築くことが、事業の健全な成長と発展につながるのです。
- この記事の監修者
- 佐藤大貴税理士事務所 所長 佐藤大貴(税理士)
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