YouTuberが知っておきたい税理士費用と確定申告のポイントを徹底解説

YouTuberが知っておきたい税理士費用と確定申告のポイントを徹底解説
最終更新日:
2025/03/25
この記事の監修者
髙谷公認会計士・税理士事務所
代表 髙谷 武司(税理士・公認会計士)
 
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YouTubeから収益を得ているクリエイターにとって避けて通れない確定申告。いくら稼げば申告が必要なのか、経費にできるものは何か、税理士に依頼するとどのくらいの費用がかかるのか、多くの疑問をお持ちではないでしょうか。本記事では確定申告の基礎知識から税理士費用の相場まで、YouTuber活動を続けるうえで知っておくべき税務情報を徹底解説します。

YouTuberに税理士は必要?税務の基本知識を押さえよう

YouTubeを通じて得る収入にも、一般の給与所得と同様に税金がかかります。チャンネル登録者数や再生回数が増え、広告収入が発生し始めると、確定申告の必要性が出てきます。「まだ収入は少ないから大丈夫だろう」と思っていても、一定の金額を超えると申告義務が生じるため、基本的な税務知識を押さえておくことは非常に重要です。

広告収入や案件報酬は課税対象!確定申告が必要な基準

YouTubeの収入源となる広告収入や企業案件の報酬は、すべて課税対象となります。確定申告が必要になる基準は、主に以下のような状況によって異なります。

  • 専業YouTuberの場合: 年間の所得(収入から経費を引いた利益)が48万円を超える場合は確定申告が必要です。所得が48万円以下でも、自治体のルールによっては住民税の申告が必要になる場合があります。会社員であれば会社が給与支払報告書を提出しているため不要なこともありますが、念のためお住まいの市区町村に確認しましょう。
  • 副業YouTuberの場合: 本業がある会社員などが副業でYouTubeを行っている場合、年間の副業収入が20万円を超えると確定申告が必要です。

また、確定申告は毎年決められた期間(翌年2月16日~3月15日)に行う必要があります。収入が増えてきたら、早めに確定申告の準備を始めることをおすすめします。
一つ重要なポイントとして、YouTuberとしての収入は「事業所得」か「雑所得」のどちらかに分類されます。専業で本格的に活動している場合は「事業所得」として申告できる可能性が高く、事業所得として認められれば青色申告などの節税メリットを受けられます。一方、副業程度の小規模な活動の場合は「雑所得」として扱われることが多いです。実際に事業所得として認められるかは、継続的に活動しているか、営利性や独立性があるかどうかで判断されます。最終的には税務署の判断も関わるため、迷う場合は税理士に相談しましょう。

青色申告と白色申告の違い|YouTuberが活用すべきはどっち?

個人事業主として確定申告を行う際、「青色申告」と「白色申告」という2つの申告方法があります。YouTuberにとっては、断然「青色申告」がおすすめです。その理由は以下の通りです。

  • 青色申告特別控除: 複式簿記で帳簿をつけ、e-Taxで申告すれば最大65万円の所得控除を受けられます。これだけで約13万円の節税効果があります。簡易的な方法でも最大10万円の控除が可能です。
  • 赤字の繰越控除: 赤字が出た年でも、その赤字を3年間繰り越して翌年以降の黒字と相殺できます。機材投資が多い初期段階では特に有利です。
  • 家族への給与支払い: 家族を従業員として雇用し、給与を支払うことで所得分散が可能になります。

青色申告の最大のデメリットは、白色申告よりも帳簿付けが複雑になることです。しかし、現在は使いやすい会計ソフトも多く、税理士に依頼することでこの手間を大幅に軽減できます。青色申告を選択するには「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する必要があります。開業届と一緒に提出することをおすすめします。

経費にできるもの・できないもの|動画制作にかかる費用の考え方

YouTuber活動で使用する費用は、適切に経費計上することで税負担を軽減できます。しかし、何でも経費にできるわけではありません。基本原則として「収入を得るために必要な支出」が経費になります。

経費として認められるものの例:

  • 機材費: カメラ、照明機材、マイク、パソコン、録音機器などの購入費やレンタル料
  • ソフトウェア費: 動画編集ソフト、サムネイル作成ツールの利用料
  • 撮影に使う道具・衣装: 企画で使用する小道具や衣装(プライベート用途と明確に区別できるもの)
  • 通信費: 動画アップロードに必要なインターネット回線料金、業務用スマホの通信費
  • 施設利用費: スタジオレンタル料、撮影場所としての自宅家賃の一部(業務使用分)
  • 交通費・旅費: ロケハン、取材、コラボレーション撮影のための移動費
  • 外注費: 動画編集、サムネイル作成などを外部に依頼した場合の費用

経費として認められないものの例:

  • プライベート用途の購入品(明確に業務用と区別できないもの)
  • 家族の生活費や私的な飲食費
  • 業務との関連性が薄い高級品の購入費(高級時計、ブランド品など)

また、自宅やマイカーなど私的利用と業務利用が混在するものは、業務で使用した割合(按分)のみ経費計上できます。例えば、自宅の一室を撮影専用スペースとして使用している場合、その部屋の広さが自宅全体の20%なら、家賃や光熱費の20%を経費にできる可能性があります。
経費計上の際は領収書をきちんと保管し、使用目的を記録しておくことが重要です。不明確な経費計上は税務調査で指摘されるリスクがあるため、判断に迷うケースでは税理士に相談することをおすすめします。

どこまでが経費として認められる?

監修者

髙谷 武司

監修税理士からのワンポイントアドバイス

本文にもあるように、基本原則として「収入を得るために必要な支出」が経費になります。
しかし、ここでよくある勘違いが、YouTubeの動画撮影のために支払った費用はすべて、経費にできるというものです。もちろん、撮影機材など明確に費用と分かるものもあります。しかし、動画の企画で高級時計を購入した場合はどうでしょうか?もし、撮影後に私用とする場合、基本的には経費として認められません。また、プライベートの旅行の最中に動画を撮影した場合はどうでしょうか?この場合も、その旅行費用は経費になりません。このように、第三者が見た場合でも、その費用が明確に事業のためと判断できるかが、ひとつのポイントとなるでしょう。

YouTuberが税理士を活用するメリットと費用相場

YouTuber活動が本格化してくると、税務処理の複雑さも増していきます。ここでは税理士に依頼するメリットと、実際の費用相場について解説します。

税理士に依頼するメリット|手間削減・節税ノウハウ・トラブル防止

税理士に依頼することで得られる主なメリットは以下の通りです。

 

1.時間と手間の大幅削減

確定申告書類の作成や日々の帳簿付けは時間のかかる作業です。税理士に任せることで、その時間を動画制作という本来の仕事に充てられます。特に多忙なYouTuberにとって、経理作業の外部化は大きなメリットになります。

2.ミスや漏れの防止

税金に関する知識が不足していると、控除の見逃しや申告ミスが生じる可能性があります。税理士という専門家のチェックが入ることで、こうしたリスクを最小限に抑えられます。適切な申告を行うことで、後から追徴課税されるような事態も防げます。

3.専門的な節税アドバイス

税理士は税法の専門家として、合法的に税負担を減らす方法を提案してくれます。例えば、経費の計上方法や青色申告の活用法、法人化のタイミングなど、個別の状況に応じた最適な節税策を教えてもらえます。YouTuber特有の経費判断にも対応できる税理士なら、迷いなく経費計上できます。

4.税務調査への対応

万が一、税務署から調査が入った場合も、税理士が窓口となって適切に対応してくれます。プロのサポートがあれば、調査への不安も軽減されます。

5.長期的な財務戦略のサポート

優秀な税理士は単なる申告代行だけでなく、事業の成長に合わせた財務戦略も提案してくれます。事業規模が拡大した際の法人化の検討や、資産形成のアドバイスなど、長期的な視点でのサポートも期待できます。

 

チャンネル登録者が少なく収入も限られている初期段階では自分で対応することも可能ですが、収益が増え始め、税務処理が複雑になってきたら早めに税理士への依頼を検討するとよいでしょう。

気になる税理士費用の相場|スポット契約と顧問契約の違い

税理士に依頼する場合の費用相場は、契約形態や業務内容によって異なります。主な契約形態には以下の2種類があります。

1. スポット契約(確定申告だけ依頼)

確定申告時期だけ税理士に依頼する形態です。

年に1回、決められた時期に申告書類の作成を依頼します。

  • 費用相場: 約5万~15万円
  • メリット: 費用を抑えられる、必要な時だけ依頼できる
  • デメリット: 年間を通じたアドバイスが受けられない、確定申告直前では割増料金になることも

2. 顧問契約(継続的に依頼)

年間を通じて税理士と契約を結び、定期的に経理サポートを受ける形態です。

  • 費用相場: 月額1万~4万円程度(年間12万~50万円)
  • メリット: 税務以外の経営相談もできる、急な質問にも対応してもらえる、年間を通じた節税対策が可能
  • デメリット: 初期費用が高くなる可能性がある

費用は売上規模や取引の複雑さによっても変動します。例えば、月間収益が数十万円程度の小規模なYouTuberであれば月額1~2万円程度、月間収益が100万円を超えるような場合は月額2~4万円程度が目安です。
税理士費用を抑えるポイントとしては以下が挙げられます。

  • 確定申告直前ではなく余裕を持って依頼する
  • 日々の領収書整理や基本的な記帳は自分で行う
  • オンラインでのやり取りを活用する(対面より割安なケースが多い)
  • 複数の税理士から見積もりを取り比較する

費用だけでなく、提供されるサービス内容も確認しておくことが大切です。「記帳代行も含まれているのか」「クラウド会計ソフトの利用料は別途かかるのか」といった点を事前に確認しておきましょう。

スポット契約と顧問契約の違いとは?

監修者

髙谷 武司

監修税理士からのワンポイントアドバイス

スポット契約と顧問契約の一番の違いは、継続的な相談対応や専門的なアドバイスの有無です。そのため、事業の規模や事業の複雑性をひとつの判断基準として、契約形態を選択してみてください。
事業の規模が小さい場合や事業がシンプルである場合は、スポット契約が向いています。なぜなら、相談事項が少なく、アドバイスが不要となる場合も多いからです。ただし、自分(自社)で記帳する場合は、顧問契約を検討しても良いでしょう。
一方、事業の規模が大きい場合や事業が複雑である場合は、顧問契約が向いています。この場合、様々な相談事項が発生したり、専門家でないと気付かない事項があったりするため、一年を通じて、継続的に税理士が関与した方がよいでしょう。

YouTuberに合った税理士の選び方|失敗しないためのチェックポイント

税理士に依頼する際、誰でもよいというわけではありません。特にYouTuberという特殊な業種に理解がある税理士を選ぶことが重要です。失敗しない税理士選びのチェックポイントを紹介します。

YouTuberの実績がある税理士を選ぼう

YouTuberやインフルエンサー、ネットビジネスに詳しい税理士を選ぶことで、業界特有の経費や収入形態に関する適切なアドバイスが受けられます。以下のポイントをチェックして、自分に合った税理士を見つけましょう。

1. YouTuber業界への理解度

税理士の中にはYouTuberやネットビジネスの実情を理解していない方もいます。事前相談の際に以下のような質問をしてみるとよいでしょう。

  • YouTuberのクライアントはいますか?
  • YouTube広告収入や案件報酬の税務処理について詳しいですか?
  • 動画制作に関わる経費の判断基準はどのようにお考えですか?
  • 撮影機材や編集ソフトの減価償却についてのアドバイスはありますか?

これらの質問に対し、具体例を交えて明確に回答できる税理士は、YouTuber業界への理解が深いと判断できます。「YouTuberのクライアントは数名います」といった具体的な数字や、「案件報酬は源泉徴収の有無で処理が変わります」など実務的な説明ができる税理士を選びましょう。逆に曖昧な回答や「一般的な個人事業主と同じです」といった表面的な説明しかできない場合は注意が必要です。

2. コミュニケーションの取りやすさ

長期的な関係になる可能性が高い税理士選びでは、相性も重要な要素です。初回相談で以下のポイントをチェックしましょう。

  • 質問にわかりやすく回答してくれるか
  • 専門用語を多用せず、初心者にもわかりやすく説明してくれるか
  • こちらの状況や希望をきちんと聞いてくれるか
  • レスポンスの速さや連絡手段(メール、チャット、電話など)

あなたの質問に耳を傾け、丁寧に回答してくれる税理士は長期的なパートナーとして適しています。「それは税法上〇〇条に基づく…」といった専門用語を多用する説明よりも、「簡単に言うと〇〇ということです」と噛み砕いて説明してくれる税理士の方が、初心者には心強いでしょう。また、初回相談での返答の速さは今後の対応の目安になります。24時間以上返事がない場合は、今後も同様の対応になる可能性があります。

3. サービス内容と料金体系

提供されるサービス内容と料金のバランスも重要です。以下の点を確認しておきましょう。

  • 記帳代行は含まれているか、別料金か
  • 確定申告以外の相談(経営相談など)も対応してくれるか
  • 急な質問にも対応してくれるか
  • 収入変動に応じて料金調整の余地はあるか

料金体系が明確で、何が含まれていて何が別料金なのかを具体的に説明してくれる税理士は信頼できます。「うちはこのプランで〇万円です」という単純な回答ではなく、「基本料金に含まれるのは〇〇で、△△はオプションで追加〇万円です」といった詳細な説明があると安心です。また、YouTuberは収入変動が大きいため、「売上に応じて料金を調整できます」といった柔軟性があるかどうかも重要なポイントです。

4. 税務以外のサポート体制

単に税務申告だけでなく、事業成長に合わせたアドバイスをしてくれる税理士だと頼もしいです。以下のようなサポートがあるか確認しましょう。

  • 事業規模拡大時の法人化のアドバイス
  • 資金繰りや節税対策の提案
  • 将来的な資産形成のサポート

「売上がどのくらいになったら法人化するのがお得ですか?」という質問に対して、「一般的には〇〇万円を超えたら検討してみましょう」といった具体的な数字を示してくれる税理士は頼りになります。また、「節税だけでなく、将来の事業展開や老後の資金計画も考えましょう」など、長期的な視点からアドバイスしてくれる税理士は、単なる税務代行ではなく事業パートナーとして期待できます。
このように、複数の税理士にこれらの質問をして回答を比較することで、自分に合った税理士を見つけることができます。ただし、この作業には時間と手間がかかります。効率的に税理士を探したい場合は、税理士紹介サービスの利用も検討してみてください。

まとめ

YouTuberとして活動するうえで、税金や確定申告は切り離せない重要なテーマです。正しく税務処理を行えば余計な負担を抑え、本業の動画制作に専念できます。本記事で解説したように、確定申告の基本や経費計上、税理士を選ぶ際のポイントを押さえておきましょう。

とはいえ、忙しいYouTuberにとって複数の税理士事務所を探して比較するのは大変です。そこで役立つのが、創業29年・20万件以上の相談実績を持つ「税理士紹介センタービスカス」です。あなたの状況や希望をヒアリングし、4,200以上の登録事務所の中から最適な税理士を無料でご紹介します。YouTuber特有の収入形態や経費判断も熟知したプロにお任せすることで、正確な申告と節税が可能になり、安心してクリエイティブな活動に打ち込めるでしょう。

税金の悩みを解消し、本業に打ち込むためにもぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者
髙谷公認会計士・税理士事務所
代表 髙谷 武司(税理士・公認会計士)
同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。事業会社で経営企画なども経験していることから、会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
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