「特例措置」の適用は9月30日まで あなたの会社は、 「雇用調整助成金」の対象ではありませんか? | MONEYIZM
 

「特例措置」の適用は9月30日まで あなたの会社は、
「雇用調整助成金」の対象ではありませんか?

新型コロナによる業績悪化などに対応して、国や自治体から各種助成金の給付が行われています。ところが、申請のサポートに携わるある社会保険労務士(社労士)の先生にうかがったところ、「いまだに『雇用調整助成金』を知らない経営者が、案外います」とのこと。助成の対象となる休業期間によっては、申請の締め切りが迫っています。自分が該当しないのか、もう一度チェックしてみる必要がありそうです。

「雇用調整助成金の特例措置」とは?

「雇用調整助成金」とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、「雇用調整(休業)」を行った場合、その間、従業員に支払う休業手当に要した費用の一部を国が助成する制度です。今回、新型コロウイルス感染症の影響により休業した事業主に対して、この制度を拡充し、申請を簡素化した「特例措置」を期間限定で設けているわけです。

 

特例措置の対象となるのは、2020年4月1日~9月30日(「緊急対応期間」)に支払われた休業手当です。この間は、「平時」の助成金に比べて、受給の要件が緩和され、助成率や日額上限が引き上げられるなど、後述するような内容で給付を受けることができます。

最大1日15,000円を支給

では、特例措置の中身をみていきましょう。

支給対象となる事業主

以下の要件を満たすすべての業種の事業主が対象です。

 

  • ①新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
  • ②最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
  • ③労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

助成対象となる労働者

事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当などが、助成対象です。ただし、特例措置では、学生アルバイトなど雇用保険被保険者以外に対する休業手当も対象となります。その場合は、「緊急雇用安定助成金」の助成対象となりますが、助成の内容や申請先などは、雇用調整助成金と同様です。

助成額と助成率、支給限度日数

助成金支給額は、

(平均賃金額×休業手当等の支払率)×以下の助成率

【中小企業】
A:新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主=4/5
B:解雇をしていないなどの上乗せの要件を満たす事業主=10/10

 

【大企業】
A=2/3
B=3/4

 

なお、【中小企業】とは、以下の要件に該当する企業を言います。

 

  • 小売業(飲食店を含む):資本金5,000 万円以下または従業員 50 人以下
  • サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
  • その他の業種:資本金3億円以下または従業員300人以下

 

ただし、いずれの場合にも、1人1日当たり15,000円が上限となっています。

 

雇用調整助成金の支給限度日数は、原則として1年間で100日分、3年で150日分ですが、特例措置については、この限度日数とは別に支給を受けることができます。

支給までの流れ

特例措置では、「計画届」の提出は不要とされています。

 

引用:厚生労働省

追加支給の申請について

6月12日付の特例措置の実施により、「助成金の上限の引き上げ」と「助成率の拡充」が、20年4月1日にさかのぼって適用されることになりました。すでに、以前の条件で支給決定を受けている事業主などに対しても、追加分が支給されます。受給のために新たな手続きが必要かどうかは、次のようになっています。

 

  • ①支給申請済みだが、まだ支給決定されていない事業主→追加支給の手続きは「不要」。基本的に差額も含めて支給
  • ②すでに支給決定された事業主→やはり手続きは「不要」。差額を後日支給
  • ③支給申請が済んでいるが、過去の休業手当を見直し(増額)し、従業員に対し、追加で休業手当の増額分を支給した事業主→追加支給の手続きが「必要」。2020年9月30日までに、「再申請書(様式)」、「支給要件確認申立書(様式)」、「支給決定通知書の写し」、「増額した休業手当・賃金の額がわかる書類」、「休業させた日や時間がわかる書類(対象労働者を増やした場合)」を提出する

申請手続について

雇用調整助成金の申請手続は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークで受け付けています。また、郵送での申請も可能ですが、申請期限までに到着している必要がありますので、注意してください。

 

申請期限は「支給対象期間の最終日の翌日から起算して2か月以内」ですが、支給対象期間の初日が1月24日~5月31日までの休業については、特例により2020年8月31日までとなっています。提出した書類は、支給決定されたときから5年間保存しなければなりません。

 

申請に必要な書類などについては、以下を参照してください。

厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html#abstract

「期限」に注意が必要

多くの企業は、大なり小なり新型コロナの影響を受けているはず。もらえる助成金はしっかり受給して、事業の維持・継続の糧とする必要があります。雇用調整助成金の特例措置に関しては、申請などの期限にも注意が必要です。あらためて、次の2点を確認してください。

2020/8/31追記

雇用調整助成金の特例措置は2020年12月31日まで延長されます。

◆支給対象期間は、「9月30日まで」

説明してきた特例が適用されるのは、この期間に実施された休業(それに対応して支払われた休業手当)です。今年10月1日以降については、もらえるのは通常の雇用調整助成金ということになります。

◆申請期限が「8月31日まで」のケースも

助成金の申請は、「支給対象期間の最終日の翌日から2ヵ月以内」に行わなくてはなりません。また、支給対象期間の初日が今年5月31日以前の場合には、特例で延びたのですが、申請期限は8月31日までとなっています。

まとめ

雇用調整助成金の対象になっていないか、申請漏れはないか、もう一度チェックを。不明な点は、すぐに社労士、税理士などの専門家に問い合わせるようにしましょう。

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