フレンチから中華、定食屋さんまで。さまざまな飲食店のメニューを自宅やオフィスに届けてくれるUber Eats(ウーバーイーツ)の配達員の姿を、街中でよく目にするようになりました。そのウーバーイーツが、8月から“サブスクリプションサービス”を開始して、話題になっています。ところで、そもそもサブスクリプション(サブスク)とは? サービスを利用すれば、本当に「お得」になるのでしょうか?
コロナによる「在宅」が追い風に
飲食店のデリバリーサービスが好調です。民間の調査機関MMD研究所(東京都港区)が今年6月に行った調査(1都3県=神奈川、千葉、埼玉在住の18~49歳男女、1,144人対象)によると、インターネットを使ったデリバリーの利用経験者は、46.4%に上りました。昨年に比べ、16.5%の大幅増を記録したそうです(7月21日付「日本経済新聞電子版」)。
伸びた理由は、言うまでもなく新型コロナによる在宅勤務の拡大などで、人々が「家にいる」時間や機会が大幅に増えたことにあります。ちなみに、最も利用されているのはピザやハンバーガー店などの「自前」のデリバリー(32.8%)で、ウーバーイーツや出前館などの宅配専門サービスがこれに続く、という結果でした。
日本では2016年からサービスを展開
あらためて、ウーバーイーツのサービスについて概観しておきましょう。ルーツは、2014年に米カリフォルニア州でハイヤーの配車を手掛ける会社が、そのシステムを応用して始めたデリバリーサービスで、日本には16年に「上陸」しました(ウーバーイーツジャパン)。
ビジネスモデルの要を担うのが、専用の配達用バッグを肩に、自転車やバイクで疾走する配達員たちです。飲食店の従業員でも専門の宅配業者でもなく、「今店の近くにいて手の空いている、登録済みの人」が、その都度「配達パートナー」となる、という独特のシステムが、飲食のデリバリーに革命をもたらしました。
消費者(注文者)は、今まで敷居が高かった専門店なども含めて、いろんな店の味を自宅に居ながら堪能できる。コロナで客足が鈍った飲食店にとっては、デリバリーという新たな販路の開拓に結びつく。そして、配達員になれば、やはりコロナの影響で働き口が狭まる中、安定した収入を得ることも可能になる――というWin-Winの関係が構築されたわけです。
「定額制」導入でどう変わる?
消費者にとっての最大の関心は、「いくらで配達してくれるのか?」ということでしょう。
ウーバーイーツの加盟店は、注文ごとに、その総額の35%を手数料としてウーバーに支払う契約になっています。「通常価格」で配達に応じていたらペイするのが難しいので、いくばくかが上乗せされている可能性が大きいと考えられます。加えて、消費者は商品価格の10%のサービス料を支払う必要があります。同じ飲食物を店で消費するよりも、そもそも割高になっていることは覚悟しなくてはなりません。
配送料金が、時間帯や距離、渋滞状況、さらには店の人気度や同地域にいる配達員の数などによって変動するのも、ウーバーイーツの特徴。現在の平均的な配送料金は、300~400円程度だとみられています。
今回、新たに導入したサブスクリプション(定額制)「Eatsパス」は、税込1,200円を超える注文について、月額980円で何度でも利用できる、というサービスです。単純計算すると、月に3~4回利用すれば、「元が取れる」ことになります。ウーバーにとっては「減収」ですが、お得なサブスクによって一気に顧客を囲い込む、という狙いがあるものとみられています。
ただ、利用に当たっては、次の点に留意する必要があります。
- 日本国内のサービスエリア内の注文のみ利用可能
- 利用するためには、事前にウーバーイーツのアカウント登録(サインアップ)を完了している必要がある
- 10%の「サービス料」を除く、税込1,200円超の注文にのみ適用される
- 「サービス料」は引き続きかかる→定額制の特典には含まれない
- 有効期限は購入から1ヵ月間で、消費者が解約しない限り自動更新される→解約は、アプリ内の「自動更新」ボタンをオフにすることで、いつでも可能
サブスクと定額制は違う!?
ところで、サブスクリプション(定額制)と書きましたが、厳密にはサブスクリプション=定額制ではありません。定額制は、サブスクの重要ではあるけれど、あくまで1つの側面に過ぎないのです。
例えば、新聞や雑誌の定期購読も、広い意味でのサブスクリプションと捉えられています。ただ、それらで提供されるサービスは、基本的に利用する消費者すべてに共通、一律です。それに対して、動画や音楽配信は、一定の料金を支払えば、消費者が好みによってコンテンツを取捨選択することができます。サービスを提供する側が、個々のニーズなどに合わせて、中身や料金体系まで、自在にアップデートすることもできるのです。
このように、消費者のニーズを正確に把握できるのがサブスクリプションの特徴で、そこにサービスを提供する側のメリットもあるわけです。ウーバーイーツの今回の試みにも、単にユーザーの囲い込みを超えた戦略が、隠されているのかもしれません。
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まとめ
ウーバーイーツが始めたサブスクリプションサービス。月に3~4回利用すれば、お得にさまざまなグルメが楽しめそうです。ただし、引き続き「サービス料」がかかることなどには、注意しましょう。