領収書はどのように保管したら良いのか、いつまで取っておけば良いのか、またレシートは領収書として機能するのかなど、領収書に関する疑問はたくさんあると思います。領収書は経費を税務署に証明するための重要なものですのでこの機会に詳しくなりましょう。
個人事業主も領収書の保管は義務
領収書は証憑書類と呼ばれ、サービスや商品の代金の受け渡しが行われたことの証明となります。証憑書類は保存期間が決まっているので、勝手に処分することはできません。
個人事業主は確定申告をする義務があり、確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。白色申告の場合には所得に関わらず申告期限から5年間、青色申告の場合には一昨年の所得が300万円以下の場合は5年間、それ以上の場合には7年間、領収書の保管義務が所得税法によって定められています。
領収書の受け取るポイント
宛名
宛名が空欄や上様と書かれているものはあまり好ましくなく、宛名をきちんと書いて貰う必要があります。しかし、宛名が空欄の場合無理に書く必要はありません。税務上は実際にその支払が行われたか、が重要なポイントなので、経費の支払いが事実であれば大きな問題ではありません。
但し書き
「品代」だけでなく、具体的な商品名やサービス名を書いてもらってください。経費の支払いが適切かどうかを判断するために、何に使ったのかを明確にする必要があります。
レシート
レシートを受け取った場合でも領収書として認められます。しかし、感熱紙のレシートの場合、時間が経つとインクが消えてしまうこともあるので、少なくとも7年間保管できるように、なるべく熱や光がない場所に保存する必要があります。
印紙
収入印紙を貼ってない領収書でも領収書として有効です。領収書に収入印紙を貼る義務があるのはお店側であるため、領収書を受け取った側には問題ありません。
しかし、領収書の記載金額が5万円を超えている場合は、お店側は収入印紙を貼らなければなりません。ただし、領収書に消費税額が記載されている場合、消費税を抜いた金額が5万円未満であれば収入印紙が貼らなくても良いということになっています。
事業とプライベートの分け方
商品を買ったときに支払金額の一部にのみ領収書を発行してもらうことは可能です。そのため、事業用とプライベートの支払いが一緒になったレシートを経費の根拠資料として利用することも可能です。この場合はレシートに記載されている項目と金額のうち、プライベートで購入したものをペンで消し、事業用で購入したものの合計金額をペンで記入するなど、事業用とプライベートとを区分できるようにします。
領収書がない場合
公共交通機関や町の小さなお店などでは領収書を発行してもらえない場合がありますが、領収書がない場合でも、税務署に対して客観的な証拠になるものがあれば問題ありません。このような場合出金伝票を利用します。出金伝票は100円ショップでも購入できます。
記載すべき必要事項は、
・領収した人の氏名や名称
・日付
・商品やサービスの内容
・金額
・支払った人の氏名や名称
です。また、銀行振込による取引における振込明細書や、オンライン取引における確認メールや確認画面の画像などは、領収書がない場合に経費の証拠になります。
しかし、出金伝票ばかり使ってしまうと、反面調査が行われ、取引先に内容を確認されるなど相手に迷惑をかけてしまうこともありますので、あくまでも例外処理として用いることをおすすめします。
きちんと領収書を保管し、記帳業務などは税理士に任せた方が安心です。
クレジット払いをした際の管理方法
クレジットカード決済はモノを売ったお店側はお金の受領を証明する書類を交付することができません。領収書とは現金を受け取ったという証拠であるためです。
クレジット払いをする際にはご利用明細を交付してもらうようにしましょう。また、仮にクレジット販売の場合に領収書と書かれたものを受け取っても、その領収書は領収書としての効力を持ちません。
領収書の管理方法
前述の通り、領収書は5年間または7年間保管しなければなりません。領収書を保管することで自分が見返すことにも使えますが、最大の目的は税務調査が入った場合、税務署に提示することです。このことを踏まえると、領収書はきちんと保管する必要はありますが、きれいに保管するために時間を割く必要はありません。
ここでは領収書の管理方法を3つ紹介します。
①A4サイズの用紙に貼る
領収書を日付順にA4サイズの用紙に貼りつけ、バインダーなどを用いてその用紙を保管します。
領収書の大きさはバラバラですが、A4サイズの用紙に様々な大きさの領収書を貼ることで書類のサイズを統一でき、また日付順に並んでいるので後から探しやすいというメリットがあります。しかし、手作業が多いため少々手間がかかります。
②月ごとのファイルに入れる
1ヶ月につき1枚クリアファイルを用意し、領収書を入れて保管します。
この管理方法のメリットは、領収書の整理に時間がかからず比較的後から探しやすいことです。しかし、7年分となると大量のファイルが必要になり保管するスペースの確保も必要です。
③クラウドで管理する
スキャナーやスマートフォンで撮影し、インターネット上で領収書を管理します。
整理する紙の量を減らし、会計管理が楽になるというメリットがあります。この保管方法の場合でも、紙の領収書を捨ててはいけません。
税理士の重要性
個人事業主においても、税務申告が正しいかどうかを税務署が調査しにやってきて、その時に領収書も必要となります。税務調査では、調査を受けた会社・個人のうち7割近くが何かしらの誤りを指摘されるといわれています。誤りがあった場合には計算をやり直して不足した税金を納め、さらに罰金を支払わなければなりません。また、この罰金は経費に含むことができません。
このようなことを避けるためには、確かな税務の知識を持ち、確定申告や消費税の申告を行わなければなりませんが、個人事業主の方は本業としている仕事があり、会計・税務に手間暇をかけるだけの時間を確保することは困難です。
きちんと領収書の管理をした上で、記帳業務などは税理士に任せてみてはどうでしょうか。税理士に税務を任せることである程度のリスクを回避することができ、本業に集中することができます。