法人が使う会計ソフトには、さまざまな種類があります。その中の1つがTKCの会計ソフトです。TKCの会計ソフトは、法人にとって有用な機能が多く備わっているのですが、使ったことがないという人も少なくないでしょう。そこで、ここではTKCの会計ソフトはどのようなものか、その特徴や入手方法などを解説します。
TKCの会計ソフトで何ができる?
株式会社TKCは、昭和41年10月に創業した情報サービスやソフトウェアの提供などを行っている会社です。基本的には、税理士事務所や地方公共団体を主な顧客として事業を展開しています。会計ソフトとしては、大きく分けて税理士事務所用のものと、税理士の顧問先である法人用のものに分かれます。
しかし、家電量販店などで、TKCの法人用の会計ソフトを見たことがないという人も多いでしょう。原則、TKCの法人用の会計ソフトは市販されていません。法人は、TKCに加入している税理士から購入(レンタル)することで、手に入れることができます。税理士向けの会計(税務)ソフトを開発しているTKCのソフトなので、自由度が高く、かつ使いやすく、正確性の担保があるソフトになっています。
TKCのソフトでスタンダードなものがFXシリーズです。FXシリーズは、日々の取引の入力や試算表や貸借対照表、損益計算書などの財務諸表の作成だけでなく、自社の業績を見える化し、企業の黒字化を支援することを目的として作られています。
TKCのソフトの特徴は、税理士から購入(レンタル)することですが、これは、税理士と企業がしっかりとコミュニケーションをとり、共同でその企業の黒字化や成長を目指していくためのツールとしてソフトを位置付けているためです。
TKCの会計ソフトの種類と機能
TKCの会計ソフトの種類と機能
TKCの会計ソフトは、1種類ではありません。企業の規模や経理担当者の簿記知識、搭載している機能などの違いによって数種類の会計ソフトがあります。TKCの主な会計ソフトのラインナップは次のものになります。
製品名 | 機能・特徴 |
---|---|
e21まいスター | ・小規模法人向け ・システム立ち上げから導入までを税理士が支援 ・直感的に分かりやすいメニュー構成 ・日々の業績を確認可能 |
FX2 | ・中小企業向け ・仕訳の入力担当者が迷わない入力画面設計 ・365変動損益計算書や業績評価機能などで、企業の現状を分かりやすく把握できる ・部門管理可能 |
FX4クラウド | ・中堅企業向け ・クラウド型会計ソフト ・各種データとの連携・取り込みによる自動仕訳作成可能 ・変動損益計算書で粗利益がすぐにつかめる ・店舗・商品・部門管理可能 |
FX5 | ・上場企業向け ・グループ管理や連結決算の効率化を実現 ・グループ統一会計の実現 |
eCA-DRIVER | ・連結会計用 ・クラウド型会計ソフト ・日本語、英語、中国語(簡体字)に対応 |
どのTKCのソフトを選ぶべき?
上述したとおり、TKCの会計ソフトには、さまざまなものがあります。この中で、多くの企業が導入するのが、「e21まいスター」「FX2」「FX4クラウド」の3つです。では、TKCの会計ソフトの導入を考えた場合に、どれを選べばよいのでしょうか。原則、どの会計ソフトを選ぶかは顧問税理士と相談になります。しかし、顧問税理士と相談する前に、あらかじめどれを選びたいかを決めておいた方が、スムーズに話が進むでしょう。
専任の経理担当者がいない、例えば家族で経営しているような法人であれば、「e21まいスター」がおすすめです。e21まいスターは、会計事務所の支援を受けながら、経理事務を覚えていくことができる会計ソフトです。もちろん、日々の最新の業績も確認できるので便利です。
仕訳の入力ができる専任の経理担当者がおり、日々や月ごとの業績の確認に重点を置きたい場合には、「FX2」もしくは「FX4クラウド」を選びます。どちらも最新の業績を確認できたり、与信管理ができたりと、より細かい経営分析が可能です。大きな違いとしては、FX4クラウドがインターネット上で動くクラウドソフトということです。そのため、クラウドを使って複数拠点などで同時入力が可能です。経営者がクラウドに抵抗がある場合はFX2を、そうでない場合はFX4クラウドを選択するという考え方もあるでしょう。
それぞれのソフトの価格は、会計事務所ごとで異なることがあるため、公開されていません。価格面も合わせて顧問会計事務所としっかり導入前の打ち合わせが重要です。
TKC会計ソフトのメリットとデメリット
TKCの会計ソフトの導入を検討する際には、メリットとデメリットをしっかり把握しておく必要があります。そこで、TKC会計ソフトのメリットとデメリットを見ていきましょう。
TKC会計ソフトのメリット
TKCの会計ソフトのメリットには、次のようなものがあります。
①法令順守
経理業務において大変なのが、法令順守です。特に、税法については毎年のように改正があり、改正を見逃すと間違った処理をしてしまう可能性があります。株式会社TKCは、税理士向けの会計(税務)ソフトを開発している法人のため、特に法令順守に力を入れており、正確な処理を行うことができます。
②経営分析の機能が豊富
TKCの会計ソフトと他の会計ソフトの大きな違いとして、経営分析の機能が豊富という点が挙げられます。これは、TKCの会計ソフトが、企業を税理士事務所が支援することが前提として作られたものであることも大きいです。専門知識のある税理士が経営者と一緒に経営分析を行い、現状の把握と今後の方針を一緒に考えることができます。また、同業他社の平均的な売上高や利益、各経費の金額なども確認することができるので、経営の目安になります。
③バージョンアップ時の追加費用がいらない
TKCの会計ソフトは、税理士事務所からのレンタルという形態をとっているため、バージョンアップ時の追加費用がかからず、コスト面でメリットがあります。
④対外的な信頼が高い財務諸表を作成できる
TKCの会計ソフトは毎月一度、締め作業を行う必要があります。また、一度締め作業を行った月は、後からその月に遡って修正や追加を行うことができません。間違いや抜け落ちが分かった月に、修正・追加仕訳を入力します。遡及処理ができないことは、例えば、決算時の利益の金額に応じて、後から不正な経理処理を行うことなどができないことを意味します。そのため、金融機関や税務署など対外的な信頼が高くなります。
TKC会計ソフトのデメリット
TKCの会計ソフトのデメリットには、次のようなものがあります。
①機能を十分に使いこなせない
TKCの会計ソフトには、多くの機能が備わっています。そのため、すべての機能を十分に使いこなすことが難しく、逆に、経理処理を難しく感じさせる結果になることがあります。その機能がどのようなものなのか、どの機能を使った方が良いのかを、税理士としっかりと打合せしておく必要があるでしょう。
②他社の会計ソフトと異なる部分が多い
TKCの会計ソフトは、市販の会計ソフトと異なる部分が多いです。入力関係でいえば、消費税に関する入力や、独自の勘定科目などが異なる場合があります。そのため、他社のソフトから乗り換えした当初は、使いにくく感じることがあります。
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まとめ
TKCの会計ソフトは、日々の取引の入力や決算のための財務諸表の作成だけでなく、会社の黒字化を目的とした、経営分析の機能が付いている、会社の成長のために必要なソフトです。また、税理士事務所を通じて購入(レンタル)するため、TKC会員税理士の支援を受けることが前提となっています。税理士とコミュニケーションをとり、TKCの会計ソフトを使いこなすことで、多くのメリットを得ることができるでしょう。
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