確定申告を間違えた。忘れていた そんなとき、どうする? | MONEYIZM
 

確定申告を間違えた。忘れていた
そんなとき、どうする?

今年も3月に面倒な確定申告を終え、ほっと一息。ところが、仕事が忙しくてバタバタと手続きしたこともあって、今になって申告額に間違いのあることに気がついた! そんな場合には、すぐに変更の手続きをとりましょう。申告額が少なかったら、放置するのは危険。逆に多すぎたのなら、「戻して」もらうことができるのです。それぞれ、どのような手続きが必要なのか、解説します。

申告期限前なら、「訂正申告」できる

確定申告とは、その年の1月1日~12月31日までに稼いだ所得(※1)を計算し、それにかかる所得税の金額を算出したうえで、税務署に申告する手続きのこと。個人事業主はもとより、配当所得や不動産所得があった人は必要になります。サラリーマンでも給与所得が2000万円を超える人や、2ヵ所以上の会社から給与を受け取っている場合、副業をしている場合(※2)には、所得を申告しなくてはなりません。こうした個人の確定申告は、翌年の2月16日~3月15日(土日の場合は、日付を繰り延べ)と決められています。
 
このように、納税者自らが税額を計算して申告、納税を行うのが「申告納税制度」なのですが、さまざまな理由から「間違い」の起こることもあります。税務署は、いったん提出された申告書の変更は認めない、という対応はしません。間違えた場合にどうしたらいいのかは、きちんとルール化されているのです。
 
まず、誤りに気づいたのが3月15日前ならば、申告期限内に「訂正申告」することができます。誤りを正した確定申告書を新たに作成し、税務署に提出します。この場合は、普通に確定申告したのと同じ扱いになり、後で述べるようなペナルティの問題などは生じません。
 

※1個人事業主の所得
収入から業務に必要な経費=必要経費を差し引いたもの。
 
※2副業の確定申告
パートやアルバイトの副業は収入が20万円超、それ以外の内職などの場合は所得(収入-必要経費)が20万円超であれば、確定申告が必要になる。

税額が少なかったら「修正申告」を行う

では、申告期限が過ぎてしまっていたら、どうしたらいいのでしょう? まず、申告した所得が実際の稼ぎよりも少なかった場合。例えば、新しい取引先からの入金を計上し忘れた結果、税額も低く申告してしまった。このようなときには、速やかに「修正申告」を行いましょう。修正申告には、「所得税及び復興特別所得税の修正申告書」の作成が必要になります。これに、新たな税額や前の申告書からの変更事項などを記入し、税務署に提出します。
 
あらためて正しく申告し直せば、それで一件落着……ではあるのですが、この修正申告を行う場合には、「延滞税」という税金を支払わなければなりません。期限を過ぎたぶんの、いわば利子のようなもの。ですから、速く手を打ったほうが、傷は浅くて済むわけです。この延滞税は、修正申告の届け出日までに納める必要があります。
 
さらに言えば、以上は納税者が自主的に修正申告を行った場合。もし誤りに気づかずにいて、税務署の税務調査(※3)の結果、「申告した所得は、実際より少ないではないか」と指摘され、修正する羽目になったときには、今の延滞税に加えて「過少申告加算税」という税金が、別にかけられる可能性があるのです。さらに、意図的な所得隠しなど、税務署に悪質な行為があったと判断されると、さらに税率の高い「重加算税」という重いペナルティが課されることもありますから、注意しましょう。
 

※3税務調査
国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

税額が高過ぎたら「更正の請求」をする

では、反対に税金を多く申告してしまったり、還付(※4)される税金を少なく申告していたりした場合には? そのときは、税務署に「更正の請求」を行えば、税の払い過ぎを取り戻すことが可能です。手続きは、「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」に記入し、提出することで完了します。
 
ただし、注意点が1つ。この更正の請求には、「確定申告の期限から5年間」という期限があるのです。ですから、今年の確定申告の内容に関して更正の請求が行えるのは、2025年の3月15日までということになります。「過払い」に気づいたら、やはり早めに手続きを取るべきでしょう。
※2020年度用に日付変更しました。

 
付け加えれば、更正の請求は、あくまで「請求」です。税務署がその内容を審査して、妥当だと認められれば受理される、という性格のもの。場合によっては認められないこともあるということは、理解しておく必要があります。
 
なお、「修正申告書」「更正の請求書」は、税務署でもらうことができるほか、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。
 

※4還付金
納付・徴収された税金に納め過ぎや減免などがあった場合に、納税者に返される金銭。

心したい「無申告」のリスク

確定申告に間違いのあった場合について述べてきましたが、中には、「確定申告が必要なのにしていない」というケースもあるでしょう。個人事業主が申告を怠った場合、「無申告加算税」「重加算税」などのペナルティを課せられる可能性があります。中には、「何年も確定申告していない」という方がいらっしゃるかもしれませんが、「いつ税務署にバレるかわからない」とヒヤヒヤしながら事業を続けるくらいなら、税理士に相談して「滞貨一掃」の手立てを取るほうが、長い目で見たら「正解」です。確定申告することで、還付される税金のある可能性も指摘しておきましょう。
 
一方、サラリーマンの方が気をつけたいのは、「申告のし忘れ」です。「確定申告など自分には無関係」と考えがちですが、最初に説明したように、給与所得者でも申告が必要になる場合があるのです。特に注意すべきは、不動産を売った場合。簡単に言えば、売った値段が買った値段を上回っていた場合には、その差額から仲介手数料などの費用を差し引いた額を「譲渡所得」として申告し、納税しなければなりません。
 
「不動産売買に税金がかかるのか?」とお思いの方も、結構いるようです。「個々の売買なんて、税務署にはわからないだろう」というのも甘い。不動産売買の情報は、税務署に“筒抜け”ですから、黙っていると「不動産を売られましたね」というお尋ねが届きます。この場合でも、申告が遅れるほど延滞税がかさみますから、誤解に気づいたらすぐに対処するのが賢明です。

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まとめ

確定申告の数字に間違いがあったことに気づいたら、とにかく早めの手続きを心がけましょう。ただ、そこに費やす労力や時間、修正申告の場合のペナルティや税務調査のリスクを考えれば、初めから「正しい申告」を行うに越したことはありません。個人事業であっても、取引が複雑化し所得が増えてきたような場合には、日常的な会計や税務申告に税理士のサポートを頼むことも検討してはいかがでしょうか。

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