【2019年版】中小企業の倒産原因ランキング! 会社を倒産させないための対処法 | MONEYIZM
 

【2019年版】中小企業の倒産原因ランキング!
会社を倒産させないための対処法

近年では大企業であっても倒産してしまうケースが増えてきましたが、中小企業では毎年多くの企業が倒産しています。では、実際に企業が倒産する原因にはどのようなものがあるのでしょうか? 今回は、2019年版の企業の倒産状況や原因、その対策などについて解説していきます。

2019年版! 倒産状況

倒産企業の件数の変化

まずは、近年の倒産した企業の件数の変化について見てみましょう。


表1 各年の倒産企業件数(2012年~2018年)

 

中小企業庁は、中小企業の倒産状況を把握することを目的として、株式会社東京商工リサーチの調査結果を基に統計データ「倒産の状況」を取りまとめ、ウェブサイトで公開しています。表1は、この統計データを用いて、2012年から2018年までの各年の倒産企業の件数をグラフにまとめたものです。この表を見ると、2012年時点で倒産企業の件数は約12,000件であったのに対し、それ以降は常に前年を下回る件数で推移し、2018年では約8,000件と、その数は3分の2程度にまで減少していることがわかります。
 
また、表1には示されていないものの、東京商工リサーチの統計データによると、倒産件数は2009年から10年連続で前年を下回っており、特に2018年は過去30年間で1990年の6,468件、1989年の7,234件に次いで3番目に少ない水準となっています。以上のことから、倒産する企業の数自体は年々減少傾向にあることがわかります。

企業の規模ごとの比較

表1では各年の全体の倒産件数を示しましたが、続いて、同じく「倒産の状況」に基づいて、企業の規模ごとに比較してみましょう。


表2 企業規模ごとの倒産企業構成比の推移

 

表2は、資本金によって企業をグループ分けした際の、それぞれの倒産件数の全体に対する割合を示す構成比の推移を2012年から2018年にかけてまとめたものです。この表からは、倒産件数の割合はどの時期においても、1千万円以上、1百万円以上、1百万円未満及び個人、5百万円以上、5千万円以上、1億円以上の順となっていることがわかります。
 
各グループの割合の推移を見てみると、1千万円以上の倒産企業の割合が減少傾向にある一方で、2018年では5百万円以上、1百万円以上、1百万円未満及び個人の割合が、それぞれ2012年時点よりも高くなっています。資本金が5千万円以上、1億円以上の、潤沢な資本を有している企業においては、倒産件数の割合が相対的に低い割合で推移しています。

業種別の倒産状況

続いて、業種別の倒産状況を見ていきましょう。


表3 業種別の倒産企業件数の推移

 


表4 業種別の倒産企業構成比の推移

 

2012年から2018年にかけてのデータに基づき、表3は業種別の倒産企業件数の推移を、表4は業種別の倒産企業構成比の推移を示したものです。
 
2018年の倒産企業件数の順位は、サービス業・その他(一次産業含む)、建設業、卸売業、小売業、製造業、情報通信業、不動産、運輸業、金融・保険の順となっています。これら9つの業種のうち、7業種が前年を下回っています前年を上回ったのは、サービス業・その他(一次産業含む)と小売業の2業種ですが、特に前者は前年比3.2%増であり、3年連続で増加しています。小売業に関しては前年比1.3%増で、10年ぶりに増加に転じました。東京商工リサーチによると、小売業の内訳としては、通信販売・訪問販売小売業(53件→66件)、ガソリンスタンドを含む燃料小売業(30件→41件)、食肉小売業(6件→18件)などが件数を押し上げています。
 
なお、2018年の主な倒産企業として、負債額上位の企業には株式会社ケフィア事業振興会、日本海洋掘削株式会社、株式会社エム・テックなどが挙げられます。

倒産原因ランキング

企業の倒産原因ランキング

「倒産の状況」によると、2018年における原因別の企業の倒産件数は以下の順になっています。なお、分類上「その他」となっているものは除きます。
 

  1. 販売不振
  2. 既往のしわ寄せ
  3. 放漫経営
  4. 連鎖倒産
  5. 過小資本
  6. 設備投資過大
  7. 信用性の低下
  8. 売掛金回収難
  9. 在庫状態悪化

 


表5 原因別の倒産企業構成比の推移

 

表5は、2012年から2018年にかけての原因別の倒産企業構成比の推移を示したものです。どの年度においても、販売不振が倒産原因のトップとなっており、70%以上の高い割合で推移しています。全体的に各原因の構成比にはあまり変化がありませんが、2012年から2018年にかけて、販売不振は一度減少したのち再び増加、既往のしわ寄せは一度増加したのち再び減少しています。また、連鎖倒産は減少傾向にあることがわかります。

それぞれの倒産原因の対策について

最後に、上記のランキングで挙げられた倒産原因について、各原因への対策をまとめます。
 

  • 販売不振
    販売不振は、外部要因と内部要因とに分けて考えることが必要です。外部要因として自社の商圏および業界の置かれている環境を理解すると同時に、内部要因についても、売り上げを細分化し、どの部分がボトルネックになっているかを考えるようにしましょう。
  • 既往のしわ寄せ
    既往のしわ寄せとは、長期的に業績が悪化しているにもかかわらず、それを把握できていないために倒産してしまうことを指します。このような状況を避けるために、適切な経営指標を利用して業績やキャッシュフローを把握することが大切です。
  • 放漫経営
    放漫経営は、経営者の経営能力不足やずさんな管理体制が原因となって発生します。経営者だけでなく、その周囲の従業員も高い経営意識を持って経営の意思決定に関わっていくことが必要になります。
  • 連鎖倒産
    連鎖倒産とは、大口の取引先など他社の倒産に巻き込まれて自社も倒産してしまうことを指しており、不況の際などには特に発生しやすい倒産原因です。これへの対策としては、販売先や仕入先を特定の取引先に依存するのではなく多様化させることで、経営リスクの分散を図ることが必要となります。
  • 過小資本
    過小資本とはその名の通り、資本金の少なさが原因となって倒産することを指します。株式会社は資本金1,000万円以上、有限会社は資本金300万円以上という最低資本金制度が撤廃されて以来、過小資本により倒産するケースが増えています。過小資本の状態に陥らないために、新たな投資を行うだけでなく、内部留保により体力を蓄えておくことが求められます。
  • 設備投資過大
    過大な設備投資によって資金繰りが悪化し倒産に追い込まれてしまうこともあります。設備投資を行った場合には、しばらくの間は設備投資費の返済で資金繰りが圧迫されることになります。「固定資産÷(純資産+固定負債)」という計算式で求められる固定長期適合率などの指標を用いて、設備投資を管理すると良いでしょう。
  • 信用性の低下
    当然と言えば当然のことですが、企業の信用性が低下すると、融資が受けにくくなったり売り上げが減少したりと様々な弊害が発生します。日頃から周囲と適切な関係を築くように努めることが大切です。
  • 売掛金回収難
    売掛金の回収に対する意識が低く、倒産に至ってしまう中小企業も少なくありません。対策としては、売り上げ目標や売掛金回収のルールを定め、常に回収率を高めることを意識すると良いでしょう。
  • 在庫状態悪化
    在庫を過剰に抱えることで、会計上は黒字であってもキャッシュが尽きてしまう可能性も考えられます。在庫数を適切に管理し、必要な時に必要なだけ在庫を抱えることを理想として掲げることが必要です。

 

☆ヒント
倒産する企業の大半を中小企業が占めています。倒産を未然に防ぐためには、前項で解説したように様々な観点から適切な経営を行うことが必要ですが、自社のリソースだけではなかなか難しいというケースも多いのではないでしょうか。業界に詳しい税理士であれば、それぞれの企業の特徴に合わせ、適切なアドバイスを用いて経営をサポートすることができます。

まとめ

今回は2019年版の企業の倒産状況や原因、その対策などについて解説してきました。この機会に自社の経営について見直すべき点がないか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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