e-sportsやメルカリで得た収入はナニ所得?所得税との関係を解説 | MONEYIZM
 

e-sportsやメルカリで得た収入はナニ所得?所得税との関係を解説

ネット社会が進化している現在、「プロe-sportsプレイヤー」「YouTuber」といった今までにない新しい職種で生計を立てている方が存在します。所得があれば納税の義務が生じますが、今回はこれら新しい職種の所得区分についてまとめ、どの所得区分で申告すればよいかについて解説します。

ネット環境の普及と新しい収入形態

今やパソコンは1人1台、スマホやタブレットにいたっては2台以上所有しているという方もいるでしょう。生活の中にネット社会が浸透している印象を受けます。

ネット環境を生かした新しい職種

通信環境の高速化やスマホやタブレットといった携帯端末の普及により、パソコンやスマホを利用した新しいビジネススタイルが登場しています。

 

2022年のアジア競技大会から正式種目となる「e-sports」では、大会で賞金を稼ぐプロのプレイヤーが活躍しています。また、フリーマーケットのインターネット版として生活用品を「メルカリ」などで売却する方も増えています。

 

所得税法上は、それを主たる生業とするかどうかは別として「もうけ」が出るところには必ず「税金」がかかってきます。

 

「金額が少ないから」「たまたま得た臨時所得だから」といって、申告が必要な収入を申告しないと所得税の脱税行為になってしまいます。

 

申告要件に当てはまるとき、個人や個人事業者の方はこの「もうけ」を確定申告で申告し、所得税を納税しなければなりません。

確定申告が必要となるケース

しかし「もうけ」が出たからといって、必ずしも確定申告をしなければならないというわけではありません。

 

最初に、確定申告が必要となる要件 を挙げてみます。

1. 給与所得者の場合

年末調整を受けた給与所得と退職所得以外の所得金額が20万円を超える方
(ただし給与収入から、年末調整で受けた基礎控除以外の所得控除を差し引いた残額が150万円以下で、かつその他の所得金額が20万円以下の場合は申告不要です)

 

2. 公的年金所得者の場合

公的年金の所得金額(雑所得)以外の所得が20万円を超える方
 

3. 1.2.以外の方

各種所得の合計額から所得控除を差し引いてなお残額がある方
 

1.や2.のように、給与や公的年金といった主たる所得のほかに副業として所得を得ているケースの場合には「所得ベースで20万円超」というのが申告の目安となります。

 

では次章以下で、職種別の所得区分について解説していきましょう。

収入形態別の所得区分について解説①

ネット環境を活用した新しいビジネススタイルのなかでも、生業として定着しつつある代表的な4つの職種について解説していきます。

e-sportsの収入はどのような所得に該当するのか?

e-sportsの場合、大会に参加し賞金を獲たり企業からのスポンサー料などで所得を得たりすることがあります。

 

例えば、もし学生やサラリーマンなどが、職業としてではなく趣味の一環として参加した大会で賞金を獲得した場合は「一時所得」で申告することになります。

 

一時所得の計算方法

(収入金額-特別控除額50万円)×1/2

学生が大会で優勝して賞金を獲得することがありますが、確定申告に年齢制限はありませんので要件に該当した場合は必ず確定申告をしましょう。

 

しかし、e-sportsを職業として企業とスポンサー契約を結び、広告収入や出場料を得ているようなケースでは「事業所得」として申告しなければなりません。

 

事業であるか否かの判断 は難しいところですが、「取引が継続して繰り返し行われるか」という点が判断基準の1つになります。スポンサー契約を結ぶということは、e-sportsを職業として継続して行うと捉えることもできるので「事業所得」に該当する可能性が高いでしょう。

 

事業所得の計算方法

収入金額-必要経費

事業所得の計算では必要経費しか控除できませんが、青色申告の承認を受ければ55万円(電子申告を利用すれば65万円)の特別控除を受けることができます。

 

なお、企業スポーツ選手によく見られるように、雇用契約に基づき社員として企業に所属しながら、給与収入を得ているような場合にはその収入は「給与所得」に該当します。
 

YouTuberが得る収入と所得区分

小学生が将来なりたい職業の第一位にも選ばれたこともある「YouTuber」ですが、YouTuberの収入源にはさまざまなものがあります。

 

動画再生回数に応じた広告収入やチャンネル登録料、グッズの販売や「投げ銭」と呼ばれるスーパーチャット収入まで、今までに存在しなかった方法で収入を得ているケースも多くみられます。

 

YouTuberの所得区分についても、やはりe-sports同様に「取引の継続性」が判断基準となります。趣味の一環として、週に1~2回などたまに動画をアップしているようなケースであれば「雑所得」として取り扱って差し支えありません。

 

なお、「雑所得」には「一時所得」のような特別控除額がありません。控除できるのは所得を得るために要した必要経費部分だけですので注意が必要です。

 

雑所得の計算方法

収入金額-必要経費

職業として毎日のように複数の動画を継続してアップしているような場合には、明らかに取引の継続性がありますので「事業所得」として申告が必要になります。

メルカリの出品で得た収入の所得区分は?

「生活用品をただ捨てるのは勿体ないからメルカリに出品してみた」「運動を兼ねてUber Eatsの配達員をやっている」といったように、実益を兼ねてネットビジネスを始める方も増えています。

メルカリの出品で得た収入も確定申告が必要になるケースがある

身の回りの不要品をフリーマーケット感覚で気軽に売却することができる「メルカリ」や、オークション形式で売却する「ヤフオク」など、ネットを利用した商品の売却も近年のトレンドの1つです。

 

空いた時間にネット環境を利用して24時間いつでも取引ができる利便性もあって、個人で利用する方が増えています。売却収入を確定申告する必要があるのか頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

 

家財道具や洋服といった生活用品を売却した場合には所得税が非課税となります。つまり一般的には、出品により得た所得の場合は、確定申告をする必要がありません。

 

しかし、なかには「メルカリ」や「ヤフオク」で利益を出すために商品を仕入れ、出品を繰り返す「転売ヤー」という方も存在します。この場合は明らかに営利目的ですし、繰り返し取引することから事業の継続性にも合致しますので「事業所得」に該当します。

 

なお、継続性がなくても、売却した不要品が指輪やアクセサリーといった貴金属であったり、所蔵していた書画骨董品を手放す場合には注意が必要です。貴金属や書画骨董品の価額が30万円を超える場合には非課税とはならず「譲渡所得」に区分されます。
 
譲渡所得の計算方法

収入金額-(取得費用+譲渡費用)-特別控除額50万円

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Uber Eatsと確定申告

いつでもどこでも、希望する料理を自宅に届けてもらえる利便性からUber Eatsを利用する方が増えています。利用者の増加に伴いUber Eatsの配達人「配達人パートナー」を始める方も多くなりました。

 

結論から言えば、Uber Eatsの所得区分もやはり「取引の継続性」がポイントになります。

 

生業として毎日専業しているのであれば「事業所得」に該当しますが、本業があり健康や副収入を目的として配達しているような方であれば「雑所得」として申告して差し支えないでしょう。

 

なお、Uber Eatsを営む会社に雇用され月給や時給で仕事をしているようなケースは「給与所得」になります。サラリーマンの方の場合、2ヵ所から給与を受け取ることになりますが、確定申告の要否の判断基準である「20万円以下」の判定はUber Eatsからの収入ベースで行う点に注意してください。

まとめ

副収入感覚で取引するものから、生計を立てるために本格的に行うものまで、新しい職種にチャレンジする方は今後も増加するでしょう。「もうけ」には税金がかかる、という点を忘れずに確定申告が必要なケースでは期限内に申告書を提出するようにしましょう。

奥谷佳子
Webライター/ライター
フリーランスとして様々な記事を執筆する傍ら、経理代行業なども行う。 自身のリアルな経験を活かし、税務ライターとして活動の場を広げ、実務で役立つ生きた税法の解説に努めている。 取材を通じて経営者や個人事業主と関わることも多く、経理や税務ほか、SNSを使った情報発信の悩みにも応えている。
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