中国で固定資産税が導入されようとしています。実は、中国で固定資産税が導入される影響は、中国だけでなく日本にもでています。
そもそも固定資産税とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、中国で固定資産税が導入されることの日本への影響や、そもそもの固定資産税の計算方法などを解説します。
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中国の固定資産税導入の影響で日本の不動産が買われる?
2021年の下旬ごろから、中国で日本の固定資産税にあたる不動産税の導入が検討されているというニュースが世界に報じられました。そもそも2000年代前半から、中国でも固定資産税にあたる不動産税を導入しようと考えられていました。しかし、不動産市場への影響や地方政府の財政悪化などが考慮されて、導入は見送られていました。
しかし、ここ数年、中国では不動産の価格が上昇を続け、バブルではないかと指摘される声も多くありました。そこで、中国政府では、投機的な不動産の売買を抑え込むなど、市場全他の安定化を図る施策を次々と行っています。
中国の固定資産税にあたる不動産税の導入は、不動産市場の需要管理を強化し、価格の上昇を抑えるなどの市場全体の安定化を図るためのものです。また、投機的売買を抑え込む施策のひとつでもあります。
まずは、試験的に不動産税の導入を行うことが予想されていますが、具体的な話はこれからになりそうです。現在、日本への影響は限定的と見られますが、すでに中国の投資家などは、中国よりも価格の低い日本の不動産に投資目的の資金が流れているとも噂されており、これからどのような影響が出るのか注視していく必要があるでしょう。
土地や建物にかかる固定資産税とは
中国で導入が検討されている不動産税ですが、日本では、昔から固定資産税の制度があります。そこで、この機会に日本における土地や建物の固定資産税の制度について見ていきましょう。
固定資産税とは保有している固定資産にかかる税金
固定資産税とは、その名のとおり、土地や建物など保有している固定資産税にかかる税金のことです。一般的に固定資産税というと、土地や建物などの不動産に対する税金のことを指すことが多いです。そこで、ここでは土地や建物などにかかる固定資産税について見ていきます。
固定資産税は、市町村(東京23区は東京都)に対して支払う地方税になります。納税義務者は、1月1日時点で土地や建物を所有している人になります。そのため、1月2日以降に、土地や建物を購入した人は、翌年分から固定資産税が課されます。
固定資産税は、土地や建物の価格(課税標準額)に対してかかる税金ですが、課税標準額は市区町村が所有する固定資産課税台帳に登録されている価格になります。毎年、納付書と一緒に市町村などから送られてくる固定資産税納税通知書にも記載されて、3年に一度見直されます。
固定資産税の税率は原則、1.4%です。また、都市計画事業や土地区画整理事業を行ている市町村などでは、固定資産税とは別に、0.3%以下の都市計画税も課されます。固定資産税は原則、すべての土地・建物に課されますが、課税標準額が土地30万円、建物20万円未満の場合は、免税となります。
土地や建物にかかる固定資産税
課税先 | 市町村(東京23区は東京都) |
---|---|
納税義務者 | 1月1日時点で土地や建物を所有している人 |
課税標準額 | 固定資産課税台帳に登録されている価格 |
税率 | 標準税率1.4% |
免税点 | 土地:30万円、家屋:20万円 |
納付期限 | 年4回(自治体によって異なる) 東京都の場合は、6月、9月、12月、2月 |
また、住宅については、課税標準の特例措置や納付税額の控除が設けられています。例えば、令和3年度では、固定資産税において小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの部分)は1/6、それ以外の一般住宅用地は1/3の課税標準になります、また、一定の新築住宅においても、固定資産税が1/2に減額されます。
固定資産税の具体的な計算例
次に、固定資産税の具体的な計算例を見てみましょう。
土地の固定資産税
・課税標準額
3,000万円×1/6(小規模住宅用地)=500万円
・税額
500万円×1.4%=7万円
建物の固定資産税
・課税標準額
500万円
・税額500万円×1.4%×1/2=3.5万円
固定資産税合計
土地7万円+建物3.5万円=10.5万円
固定資産税は、所得税のように、自分で税額を計算し申告するものではありません。自治体が税額を計算し、金額を通知してきます。しかし、極稀に行政が固定資産税の計算を間違うこともあります。そのため、できるだけ課税通知書で用途や面積などを確認し、計算がおかしくないか確かめておいたほうが良いでしょう。
償却資産にも税金がかかる
固定資産税というと、土地や建物にかかる税金を指すことが多いですが、事業をしている人にとっては、土地や建物以外に償却資産にも税金がかかります。一般に、償却資産税と呼ばれていますが、実は、これも固定資産税のひとつです。
そこで、ここでは償却資産税について見ていきましょう。
そもそも償却資産税とは
償却資産税とは、償却資産にかかる税金のことです。償却資産とは、土地や建物以外の事業用の資産で、おおむね減価償却の対象となる資産のことです。1月1日に所有している資産に課されます。法人だけでなく、個人事業主も償却資産税の対象となります。具体的には、次の資産が償却資産になります。
種類 | 内容 |
---|---|
構築物 | 舗装路面、門・塀、看板、その他建築設備など |
機械装置 | 製造設備等の機械や装置、建設機械など |
船舶 | ボート、釣船、漁船など |
航空機 | 飛行機、ヘリコプターなど |
車両運搬具 | 大型特殊自動車(一般自動車は除く)など |
工具、器具及び備品 | パソコン、陳列ケース、医療機器、測定工具など |
償却資産税も固定資産税のひとつであるため、税率は課税標準額の1.4%になります。課税標準額は、申告や調査に基づいて決定されます。課税標準額の合計額が、150万円未満の場合は、免税になります。
償却資産の申告から納税までのながれ
土地や建物に対する固定資産税は、納税者が自ら申告をする必要はありません。しかし、償却資産の場合は毎年、自治体に償却資産税の申告が必要になります。償却資産の申告から納税までのながれは、次のようになります。
申告書の提出
毎年1月31日までに、市税事務所や都税事務所などに償却資産税の申告を行います。一度申告をすると、申告書は、市税事務所や都税事務所から毎年、送付されてきます。
価格の決定
償却資産税の課税標準額は、申告した金額や自治体の調査によって決まります。
課税台帳への登録とその旨の公示
課税標準額が決定すれば、課税台帳に登録され、その旨が公示されます。課税台帳は、納税者が閲覧することができるので、不服がある場合は、納税通知書を受け取った日から3か月以内に固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることもできます。
納税通知書の送付
課税台帳への登録が終われば、納税者に納付書と納税通知書が送付されます。
納税
納付書が届けば、税金を納付します。納期は固定資産税と同じく年4回です。
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まとめ
中国で日本の固定資産税にあたる不動産税の導入が検討されているというニュースが、報じられています。これは、中国の不動産市場の安定を図る目的がありますが、日本の不動産市場に、中国資金が流入する可能性があるなど、影響も注目されます。
また、それとは別に、日本の固定資産税の制度についても理解しておく必要があります。それは、しばしば自治体による固定資産税の計算間違いのニュースがあったり、事業者にとっては、償却資産税の申告が必要であったりするためです。正しく税金を納めるためにも、固定資産税のしくみをよく理解しておきましょう。