従業員が育児休業を取得したら利用したい!働くパパママ育休取得応援奨励金 | MONEYIZM
 

従業員が育児休業を取得したら利用したい!働くパパママ育休取得応援奨励金

国や自治体では、企業が従業員に育児休暇をとらせるための施策を行っています。そのひとつが、東京都が行っている「働くパパママ育休取得応援奨励金」です。
 

働くパパママ育休取得応援奨励金は、従業員が育児休業を取得した企業に奨励金を支給するというものです。ここでは、働くパパママ育休取得応援奨励金について解説します。

働くパパママ育休取得応援奨励金とは

「働くパパママ育休取得応援奨励金」は、2つのコースに分かれています。ここでは、各コースの詳細を見ていく前に、働くパパママ育休取得応援奨励金の概要について解説します。

働くパパママ育休取得応援奨励金の概要

働くパパママ育休取得応援奨励金とは、簡単にいうと、従業員が育児休暇を取得した場合に、企業が受け取れるもので、東京都と東京しごと財団が連携して運営している奨励金の制度です。「働くママコース」と「働くパパコース」の2つがあります。
 

東京しごと財団とは、シルバー人材センター事業など雇用や就業を支援、東京の産業の振興に必要な人材の育成などを行っている公益財団法人です。
 

働くパパママ育休取得応援奨励金は、税金を用いた奨励金であるため、単純に従業員に育児休暇を取らせたら受給されるというものではなく、働くママコースと働くパパコースそれぞれで、一定の要件が設けられています。

働くパパママ育休取得応援奨励金受給の流れ

働くパパママ育休取得応援奨励金は、従業員が育児休暇を取得した場合に受け取れる奨励金ですが、企業がこの奨励金を受け取るためにはどうしたらよいのでしょうか。

働くパパママ育休取得応援奨励金の受給までの流れは、次のようになります。

1.育児休業(休暇)取得
まずは、従業員が育児休業(休暇)を取得します。働くパパママ育休取得応援奨励金の対象となる育児休業(休暇)の日数は、働くママコースと働くパパコースで異なります。
 

2.現職復帰
働くパパママ育休取得応援奨励金の受給を受けるためには、育児休業を取得した従業員が、現職復帰しておく必要があります。
 

3.申請
育児休業を取得した従業員が3か月間現職復帰したら、2か月以内に働くパパママ育休取得応援奨励金を申し込みます。申請は、東京しごと財団に行いますが、郵送のみの受付となっています。
 

4.審査・決定
申請された書類に基づき、審査が行われます。問題なければ、働くパパママ育休取得応援奨励金の支給決定がされます。審査から支給決定通知までは、約1か月かかります。
 

5.請求書の提出
働くパパママ育休取得応援奨励金の支給が決定したら、奨励金請求書兼口座振替依頼書を提出します。
 

6.振込
提出した請求書に問題がなければ、指定口座に働くパパママ育休取得応援奨励金が振り込まれます。
 

働くパパママ育休取得応援奨励金には、働くママコースと働くパパコースの2つのコースがありますが、受給までの流れは同じです。

働くパパママ育休取得応援奨励金の働くママコースとは

ここからは、働くママコースと働くパパコースの2つのコースについて詳しく見ていきましょう。まずは、働くママコースです。
&

働くママコースの概要

働くママコースは、女性従業員に育児休業を取得させ、職場環境を整備した場合にその企業や団体などに奨励金を支給するというものです。あくまで、女性従業員に育児休業を取得させた企業が対象です。
 
働くママコースの概要は次の通りです。
1.要件
働くママコースでは、子供の年齢や育児休業の期間などに次の要件があります。
・子が1歳に達するまでに育児休業を開始
・育児休業を1年以上取得した後、復帰したママを3か月間以上引き続き雇用していること

また、職場環境の整備も必要です。
 
2.支給額
奨励金支給額は、125万円(1回のみ)となっています。
 

3.申請受付期間
毎年、申請受付期間が決まっています。例えば、令和4年では「令和4年4月1日~令和5年3月31日、または復帰後3か月が経過した日の翌日から2カ月以内のどちらか早い日までの期間」まで です。ただし、申請が予算額を超えた場合は、終了日前に申請受付を終了するので、注意が必要です。
 

働くママコースを申請するための要件

ここでは、働くママコースを申請するための要件を詳しく見ていきます。
 
働くママコースを申請するための要件には、「対象企業要件」「従業員要件」「環境整備要件」の3つがあります。各要件は細かく設定されていますが、ここでは重要なものを列挙します。
1.対象企業要件

  • ・都内で事業を営んでいる中小企業または個人事業主であること
  • ・常時雇用する従業員の数が 300 人以下であること
  • ・都内に勤務し、常時雇用している従業員を2名以上かつ6か月以上継続して雇用していること
  • ・都税の未納付がないこと
  • ・過去5年以内に重大な法令違反がないこと

 
2.奨励金の対象となる従業員要件

  • ・産前休業前に6か月以上雇用されている従業員であること
  • ・都内の事業所に所属・勤務していること
  • ・女性従業員が子供が1歳になるまでに育児休業を開始し、1年以上を取得、職場に復帰していること

 
3.環境整備要件

  • ・女性従業員が育児休業中に、復帰支援として面談を1回以上行い、かつ復帰に向けた社内情報の提供を定期的に行ったこと
  • ・就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていること
  • ・令和4年4月1日以降、育介法に定める制度を上回る取組について就業規則に整備したこと

働くパパママ育休取得応援奨励金の働くパパコースとは

次に、働くパパコースについて見ていきましょう。

働くパパコースの概要

働くパパコースは、男性従業員に育児休業を取得させ、職場環境を整備した場合にその企業や団体などに奨励金を支給するというものです。あくまで、男性従業員に育児休業を取得させた企業が対象です。
 

働くパパコースの概要は次の通りです。
1.要件
働くパパコースでは、子供の年齢や育児休業の期間などに次の要件があります。

  • ・子が2歳に達するまでに育児休業を開始
  • ・育児休業を15日以上取得した後、復帰したパパを3か月間以上引き続き 雇用していること

また、職場環境の整備も必要です。
 
2.支給額
奨励金支給額は、25万円~300万円(育児休業の日数により異なる、1回のみ)となっています。

※中小企業等には特例あり

3.申請受付期間
毎年、申請受付期間が決まっています。例えば、令和4年では「令和4年4月1日~令和5年3月31日 、または復帰後3か月が経過した日の翌日から2カ月以内のどちらか早い日までの期間」までです。ただし、申請が予算額を超えた場合は、終了日前に申請受付を終了するので、注意が必要です。

働くパパコースを申請するための要件

ここでは、働くパパコースを申請するための要件を詳しく見ていきます。
 

働くパパコースを申請するための要件には、「対象企業要件」「従業員要件」「環境整備要件」の3つがあります。各要件は細かく設定されていますが、ここでは重要なものを列挙します。
1.対象企業要件

  • ・都内で事業を営んでいる企業または個人事業主であること(中小企業に限らない)
  • ・都内に勤務し、常時雇用している従業員を2名以上かつ6か月以上継続して雇用していること
  • ・都税の未納付がないこと
  • ・過去5年以内に重大な法令違反がないこと

 
2.奨励金の対象となる従業員要件

  • ・産前休業前に6か月以上雇用されている従業員であること
  • ・都内の事業所に所属・勤務していること
  • ・男性従業員が子供が2歳になるまでに育児休業を開始し、15日以上を取得、職場に復帰していること

 
3.環境整備要件

  • ・研修や相談体制の整備など育児休業を取得しやすい雇用環境整備をしていること
  • ・就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていること

 
また、常時雇用する従業員数が300名以下の中小企業等には、奨励金の特例措置があります。この特例は、子の出生後8週までの間に30日以上の育児休業を取得した場合は、奨励金に一律20万円を加算するというものです。

まとめ

働くパパママ育休取得応援奨励金とは、従業員が育児休暇を取得した場合に、企業が受け取れる奨励金のことです。働くママコースと働くパパコースの2つがあります。
 

ただし、働くママコースと働くパパコースそれぞれで、一定の要件が設けられており、その要件を満たさないと、奨励金は受給できません。
 

働くパパママ育休取得応援奨励金は、働くママコースで125万円、働くパパコースで最高300万円(特例あり)と大きな金額になっています。要件を満たす場合は、忘れずに申請するようにしましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
「労務」カテゴリの最新記事