節税にもなる!今注目を集めている不動産小口化商品とは | MONEYIZM
 

節税にもなる!今注目を集めている不動産小口化商品とは

将来の資金を作るためにも、資産運用や投資は重要です。実は、資産運用や投資の対象となるものには、節税効果があるものも存在します。そのひとつが、投資家が購入しやすいことなどで、今注目を集めている不動産小口化商品です。
 

ここでは、不動産小口化商品の概要やどのように節税になるのかなどについて詳しく解説します。

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不動産小口化商品とはどんなもの?

はじめに、不動産小口化商品とはどのようなものか、その概要を見ていきましょう。
 

不動産を購入しようと思うと、多くの資金が必要となります。自己資金で足りない金額は銀行などの金融機関の融資を受ける必要がありますが、ハードルが高く、投資をあきらめる人も多いです。
 

そこで、登場するのが、不動産小口化商品です。不動産小口化商品とは、投資家が購入しやすいように購入金額を小口化した不動産商品のことです。不動産小口化商品には、次の2つの特徴があります。

・都心部などの高級不動産を対象としたものが多い
不動産小口化商品は、都心部などの高級不動産を対象としたものが多くなっています。地方の物件に比べて得られる収入が高く、また人気があるので、値下がりのリスクも低いです。
 

・あくまで不動産の購入になる
不動産小口化商品ということから、投資信託のような投資商品をイメージする人もいるかもしれません。しかし、不動産小口化商品は、あくまで不動産の購入になります。出資者全員で不動産を共有所有している状態です。少額から高額物件を共有所有できるので、人気が高いです。

不動産小口化商品は相続税の節税対策になる

不動産小口化商品は、相続税の節税対策になります。なぜなら、不動産小口化商品が不動産の購入だからです。ここでは、不動産小口化商品による節税について見ていきます。

不動産の相続税評価額の求め方

不動産小口化商品による節税を理解するためには、相続税で不動産の価値がどのように計算されるのかを知っておく必要があります。
 

相続税の対象となる不動産の価額は、不動産の売却価額とは異なります。税法で定められた一定の方法で、評価額を計算します。不動産の相続税評価額は、土地と建物に分けて、それぞれ次のように計算します。
 

・土地の相続税評価額
土地の相続税評価額の計算には「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。多くの場合、不動産小口化商品の対象となっている不動産の「路線価方式」で計算します。
 

路線価方式とは、路線価を用いて、土地の評価額を計算する方法のことです。路線価は道路に面する土地の1㎡あたりの価額で、千円単位となっています。例えば、路線価が100万円で土地面積が50㎡の場合の相続税評価額は、次のようになります。
 

相続税評価=路線価100万円×土地面積50㎡=5,000万円となります。
 

実際の相続税評価の計算では、土地の形や周囲の環境など、土地の状態によって価額に補正が入ります。路線価は、毎年公表され、国税庁のHPに掲載されます。
 

・建物の相続税評価額
建物の相続税評価額は、固定資産税評価額になります。固定資産税評価額は、各自治体(市区町村)が徴収する固定資産税を計算するために求めた評価額で、その価額をそのまま相続税の評価額にも適用します。
 

固定資産税評価額は、各自治体から毎年、固定資産税の納付書と一緒に送られてくる納税通知書(課税明細書)に記載されています。

不動産小口化商品がなぜ相続税の節税対策になるのか?

不動産の評価額は、土地は路線価で、建物は固定資産税評価額で求めます。では、不動産小口化商品がなぜ相続税の節税対策になるのでしょうか。それは、不動産の相続税評価額が、市場で売買されている不動産の時価よりも低くなるためです。
 

路線価は、不動産の時価のおおむね80%程度になるように設定されています。簡単にいうと、時価1億円の不動産では、8,000万円の相続税評価額になるということです。
 

相続開始時に、現金で1億円を所有していると1億円に相続税がかかります。しかし、現金で不動産1億円を購入し、相続開始時に不動産で1億円を所有している場合は、不動産の相続税評価額8,000万円に相続税がかかります。つまり、1億円-8,000万円=2,000万円の評価額にかかる相続税が節税になります。
 

不動産小口化商品は、不動産の共有所有 になるため、このように現金で所有しているよりも相続税評価額が低くなります。また、小規模宅地等の特例などの評価減の特例を使える場合は、さらに節税効果が高くなります。

不動産小口化商品のメリット・デメリット

不動産小口化商品は、相続税の節税効果の高い商品です。また、それ以外にも様々なメリットがある一方、デメリットもあります。
ここでは、不動産小口化商品のメリットとデメリットを見ていきましょう。

不動産小口化商品のメリット

不動産小口化商品の代表的なメリットには、次のものがあります。
 

・少ない資金で、高額な物件を共有所有できる
不動産小口化商品のメリットとして、少額で不動産を所有できることです。特に、都市部の物件の場合、アパートやマンションを1棟丸ごとを購入するとなると、大きな資金が必要になります。
しかし、不動産小口化商品の場合は高額な物件であっても、小さな資金で共有所有することができます。
 

・安定した賃貸収入や収益を期待できる
不動産小口化商品の対象となる物件は、都市部にある物件が多いです。都市部にある物件は、人気があるため需要が高い特徴があります。
そのため、入居希望者が多く、空室リスクも低いので、長期にわたり、安定した賃貸収入や収益を期待することができます。
 

・小口化のためリスクを分散できる
資産運用や投資の基本は、リスクを分散することです。リスクを分散することで、例えひとつの投資商品で損失が出ても、他の投資商品の利益で相殺することができます。
不動産小口化商品は、少ない資金で不動産が取得できるため、他の投資商品の取得にも資金を回し、リスク分散をすることができます。
また、不動産小口化商品のみを保有している場合であっても、購入した不動産の損失を、共有者全員で分けるため、リスク分散になります。

不動産小口化商品のデメリット

不動産小口化商品の代表的なデメリットには、次のものがあります。
 
・物件価格の値下がりリスクがある
不動産小口化商品の対象となっている物件は、都市部の物件が中心になっています。そのため、基本的には人気が高く、物件価格も下がりにくいです。
しかし、絶対に物件価格が下がらないかというと、そうではありません。どんな物件であっても、値下がりリスクがあります。
不動産小口化商品に投資する場合は、値下がりリスクについてもしっかりと検討しましょう。
 

・換金自由度が低い
不動産小口化商品は、換金度が低いデメリットがあります。
他の投資商品では、換金度が高いものも多くあります。例えば株式投資の場合は、証券会社を通じ、売却したいときにすぐに売却することができます。
しかし、不動産小口化商品は、あくまで不動産の所有のため、買い手が見つかるまで売却ができないこともあります。急に資金が必要になった場合に、換金がすぐにできず、資金を用意できない可能性もあるので注意しましょう。

まとめ

不動産小口化商品とは、購入金額を小口化することで、投資家が購入しやすくした不動産商品のことです。都心部などの高級不動産を対象としたものが多く、あくまで不動産の購入になるといった特徴があります。
 

また、不動産小口化商品は相続税の節税対策になります。それは、不動産の相続税評価額が、市場で売買されている不動産の時価よりも低くなるためです。
 

ただし、不動産小口化商品にはメリットだけでなくデメリットもあります。不動産小口化商品に投資する場合は、デメリットについてもしっかりと検討しましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。