SMBC日興証券による相場操縦事件の裁判で、東京地裁は2月13日、金融商品取引法に違反したとして罰金7億円、追徴金44億円7000万円余りの判決を言い渡しました。
相場操縦事件での罰金と追徴金の額は過去最高額に
SMBC日興証券の幹部らは、相場操縦により、株価を維持するための不正な買い支えに関与したとして、2022年3月24日に東京地検特捜部に金融商品取引法違反容疑で逮捕されました。
「相場操縦」とは、市場において相場を意識的・人為的に変動させ、その相場をあたかも自然の需給によって形成されたものであるかのように装い、他人を誤認させ、その相場の変動を利用して自己の利益を図ろうとすることを指します。これらの行為は公正な価格形成を阻害し、投資者に不測の損害を与えるとして金融商品取引法で禁止されています。
同事件では、通常の取引時間外に大株主からまとまった株を買い取り、投資家に転売する「ブロックオファー取引」を巡り、2019~2021年に計10銘柄で大量の買い注文を出したことが株価操作にあたるとしてSMBC日興証券の元幹部6人と同社が起訴されていました。一連の取引で同社は計約10億9300万円の利益を得ていたとしています。SMBC日興証券の社内システムでは、こうした不審な取引を感知した際に止める判断基準が明確でなかったようで、リスク管理体制が甘かったこともこうした事件を未然に防ぐことができなかった理由の1つであるとされています。
今回の相場操縦事件での罰金と追徴金の額は過去最高額とみられ、市場の公正さをゆがめる行為に対し、東京地裁は厳しい司法判断を示したとしています。
大手証券会社が金融商品取引法違反の容疑で刑事告発されることはきわめて異例の事態だそうです。