3月31日に政府が発表した「異次元の少子化対策」のたたき台に盛り込まれた“出産費用の保険適用”について2026年を目途に導入の検討をしていくことが明らかになりました。4月からの「出産育児一時金」の引き上げと2024年4月を目途に始まる医療機関ごとの出産費用を公表する制度の効果を見極めた上で導入を検討していくとしています。
妊娠・出産の費用は保険適用外
現在の制度では妊娠、出産にかかる費用は健康保険が適用されません。よって、妊婦検診や実際の出産は大きな支出が発生することになります。
出産費用は病院や入院する部屋の種類、そして分娩方法によってその額は異なってきます。正常分娩では30万〜70万円と幅が出る場合もあるようですが、平均値としては40万〜50万円とほどの費用が発生します。そして、それら費用は全額自己負担となります。
出産費用を巡っては、4月から「出産育児一時金」が42万円から50万円に増額されました。ただ出産費用に法律で決められた金額等はなく、一時金の増額に伴い、医療機関や地域での便乗値上げが相次いでいます。厚生労働省によると、2021年度の出産費用の全国平均額は45万4994円で、公的病院での出産費用は、一番高い東京都で56万5092円、一番低い鳥取県で35万7443円と、最も高い東京との差は、20万7000円と地域差がでている状況です。
特に東京を中心とする都市部では、一時金が50万円になっても足りない現状があり、代わりに保険適用とすることで、出産費用を「診療報酬」として全国一律で定め、子どもを産む負担感を少しでも和らげようという狙いもあるようです。
厚生労働省は、2024年4月より医療機関ごとの出産費用を公表する取り組みを始める予定で、その結果を踏まえたうえで、出産費用を保険適用にするかを判断していくようです。