厚生労働省は、2023年4月より中小企業の人材確保・育成につながる取り組みを支援する「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」の対象を拡充しました。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、業務の継続を図る上で有効な手段としてテレワークが急速に広がる一方で、テレワーク環境の整備が課題となっています。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)とは
中小企業では人手不足が深刻な問題となっていますが、助成金には雇用の安定化などに取り組む企業を応援するさまざまな制度がそろっています。
人材確保等支援助成金は、労働環境の改善などにより人材の確保・定着率の向上といった雇用管理の面で一定の成果を上げた中小企業を対象とする助成金のことを指します。
9つの種類がある助成金の中でも、ここ2〜3年で注目を集めているのが「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」です。「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」とは、良質なテレワークを制度として導入し、実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主に対し助成するものです。
助成金の対象になるには、下記3つのいずれかに該当する必要があります。
- テレワークを新規で導入する
- 試験的に導入する
- 試験的に導入していた
本格的でなく試験的に導入していた場合も対象となりますが、すでに継続して実施している場合は対象外となりますので注意が必要です。
助成対象の種類は下記2種類となります。
助成の種類 | 支給の対象要件 |
---|---|
機器等導入助成 | テレワークに必要な制度や機器の導入 |
目的達成助成 | テレワーク実施後の離職率などの数値 |
機器等導入助成を受けるには、まずテレワーク実施計画を作成し、管轄の労働局に提出した後に認定を受ける必要があります。認定後、計画に基づいてテレワークに向けた機器導入などの取り組みを実施し、評価期間内にテレワークを実施しなくてはなりません。
機器等導入助成の評価期間とは、計画の認定日から6カ月を過ぎる日までの期間のうち、事業主が設定する連続3カ月の間をいいます。支給申請は、テレワーク実施後、計画認定日から7カ月以内に行う必要があります。
目標達成助成では、機器等導入助成の評価期間の初日より1年が過ぎた日から3カ月間を「目標達成助成の評価期間」としてテレワークを実施し、その後の離職率などを算定します。また終了日の翌日から1カ月以内に、支給申請を行う必要があります。
助成対象となる取り組みと経費
「機器等導入助成」「目標達成助成」のいずれも、取り組みにかかった経費の一部が支給されます。
支給対象となるのは、以下の取り組みの実施に掛かった費用となります。
【支給対象となる費用/()内支給上限】
- 労務管理担当者に対する研修(11万円)
- 労働者に対する研修(11万円)
- 外部専門家によるコンサルティング(33万円)
- 外部専門家によるコンサルティング(33万円)
【助成対象となるテレワーク用通信機器等/()内支給上限】
- ネットワーク機器(16万5千円)
- サーバ機器(55万円)
- NAS機器(11万円)
- セキュリティ機器(33万円)
- ウェブ会議関係機器(1万1千円/対象労働者1人)
- サテライトオフィス利用料(33万円)
- テレワーク用サービス利用料(初期費用5万5千円、利用料38万5千円)
- テレワーク用端末レンタル・リース費用(最大6カ月で合計77万円まで)
上記のうち、「テレワーク用端末レンタル・リース費用」が、2023年4月から新たに対象に加えられたものとなります。
またテレワーク用のサービスの利用料も助成の対象となっています。
【助成対象となるテレワーク用通信機器等】
- リモートアクセスおよびリモートデスクトップサービス
- 仮想デスクトップサービス
- クラウドPBXサービス
- web会議等に用いるコミュニケーションサービス
- ウイルス対策およびエンドポイントセキュリティサービス
またテレワークに向けた取り組みのうち、経費として計上できるのは次の条件に当てはまるものとなります。
- 計画認定日から支給申請書の提出日までに完了した取り組みにかかった費用
- 計画認定日以降、支給申請書の提出までに支払いが完了している
テレワークのために必要とした費用であっても、計画認定日より前に実施したテレワークや費用負担分については対象外となります。
手続きの流れ
人材確保等支援助成金(テレワークコース)を受給するための手続きの流れは、下記の通りです。
【人材確保等支援助成金(テレワークコース)手続きの流れ】
その他、申請に関しての詳細は厚生労働省の「人材確保等支援助成金(テレワークコース)申請マニュアル」をご確認ください。