厚生労働省が5月9日に発表した3月の毎月勤労統計によると、物価の変動を反映した働く人1人あたりの「実質賃金」が前年同月と比べて2.9%減り、12カ月連続の減少となったことがわかりました。昨今の物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、目減りが続いている状況のようです。
3月の現金給与総額は29万1081円 15カ月連続の上昇に
そもそも実質賃金とは、物価変動を反映した賃金のことで、名目賃金(物価変動を考慮していない賃金=現金給与総額)からインフレ率(物価上昇率)を引いたものを指します。インフレ率が高い場合、名目賃金が増加しても実質賃金は減少することがあります。これは、物価上昇が賃金上昇を上回るため、労働者の購買力が低下することを意味します。逆に、デフレ(物価下落)が進んでいる場合、名目賃金が減少しても実質賃金は増加することがあります。実質賃金は、労働者が購買力を維持できるかどうかを示す重要な指標として用いられています。
厚生労働省によると、基本給や残業代などを合わせた働く人1人あたりの3月の現金給与総額は29万1081円でした。前年同月と比べて0.8%増え、15カ月連続の上昇となったようです。
一方、総務省が今年3月に発表した家計調査では物価上昇の影響もあり、2人以上の世帯が消費に使った金額(消費支出)は31万2758円で、前年同月と比べて1.9%減少となりました。
厚生労働省は「賃金は伸びてはいるものの、物価高に追い付いていない状況が続いている」としています。