サラリーマンの方必見!年収と手取り金額の関係や住民税について解説 | MONEYIZM
 

サラリーマンの方必見!年収と手取り金額の関係や住民税について解説

毎月の給与を受け取るとき、通帳に振り込まれた金額だけを確認する方も多いのではないでしょうか。給与明細でその月の総支給額まで見れば、自分の手取り金額が収入の何%かが分かります。今回は、年収に対する手取り金額の割合や、手取り金額を増やす方法について解説します。

年収と手取り金額の違いとは何か?

収入から控除される各種税金や保険料

給料日に通帳をみて「思ったより入金額が少ないな」と感じたことはないでしょうか。
ご自身が社会保険や税金を負担し、それが給与から天引きされていることは分かっていても、それがどれくらいの割合で控除されているのかまでは意識していないでしょう。
サラリーマンの方が給与から控除される税金や保険料は以下の通りです。
 

  • 社会保険料(健康保険、介護保険、厚生年金)
  • 雇用保険料
  • 所得税(国税)
  • 住民税(都道府県民税及び市町村民税)

 

これらの控除を給与の総支給額から差引した残りが「手取り金額」です。

総支給額 - 控除額 = 手取り金額

 

求人募集でよく「月給〇〇万円」「年収〇〇〇万円」と表記されることがありますが、ここで表記される金額は一般的に総支給額のことを指します。実際に給与を受け取ったときに「あれ?少ないな」と感じるのは、総支給額から税金や保険料といった各種控除が差し引かれているからです。

手取り金額の目安は「年収の75%~85%」

では、総支給額に対する手取り金額はどれ位の割合になるのかを、収入金額別に計算してみましょう。 

例:一般事業に勤務する東京都千代田区在住の30歳、給与収入は全額課税、人的控除については基礎控除のみ、所得控除は給与から天引きされる社会保険料控除のみに設定します。

年収300万円 年収600万円 年収1,200万円
(月収25万円) (月収50万円) (月収100万円)
健康保険料 13,000円 25,000円 49,000円
厚生年金 23,790円 45,750円 59,475円
雇用保険料 1,500円 3,000円 6,000円
所得税 5,200円 18,710円 81,560円
住民税※ 9,600円 25,500円 68,900円
毎月の手取り金額 196,910円 382,040円 735,065円
手取り金額の割合 78.7% 76.4% 73.5%
※年税額を12で除した金額(百円未満切り捨て)で計算しています。

 

この計算結果から、年収が増加するにつれ手取り金額の割合が減少することが読み取れます。なお、住んでいる地域や年齢によって社会保険料率は変わりますし、住民税の所得割・均等割も変わってきますので、全ての方が同一の計算結果になるわけではありません。しかし、手取り金額の大まかな目安として、収入金額に対する手取り金額の割合は、概ね70%~80%程度であると考えてよいでしょう。

年収に対する手取り金額の早見表

「年収の70%〜80%」とした場合の手取り金額

では、上記の計算結果である「手取り金額は年収の70%~80%」を使って、年収別の手取り金額を早見表にしてみましょう。自分のライフスタイルに合わせて、手取り金額がどれくらいあれば生活していけるか?などの目安としてください。
 

70% 80%
100万円 70万円 80万円
200万円 140万円 160万円
300万円 210万円 240万円
400万円 280万円 320万円
500万円 350万円 400万円
600万円 420万円 480万円
700万円 490万円 560万円
800万円 560万円 640万円
900万円 630万円 720万円
1,000万円 700万円 800万円
1,200万円 840万円 960万円
1,500万円 1,050万円 1,200万円
2,000万円 1,400万円 1,600万円

手取り金額の割合に10%の差がありますので、年収が増えれば増えるほど差額が大きくなりますが、例えば、年間の手取り金額を1,000万円前後にするためには、年収は1,200万円〜1,500万円以上必要になることがわかります。年収の目標値を知ることで、仕事のモチベーションアップに繋がるかもしれません。

手取り金額が変わる要素は「税金」と「社会保険料」

ここまで説明した通り、年収に対する手取り金額には70%~80%と多少の幅があります。原因としては、サラリーマンが負担する「税金」と「社会保険料」が年齢や年収に応じて変わってくることが挙げられます。社会保険料を例にすると、40歳から64歳までの方は、健康保険料に加えて「介護保険料」を負担しなければなりません。都道府県によって料率は異なりますが、東京都の場合「1.82%」の介護保険料を、健康保険料(10%)に上乗せして負担しなければなりません。結果として、30歳の方より40歳の方のほうが社会保険料の負担割合は高くなります。住民税についても、住んでいる地域によって「所得割」や「均等割」が異なります。同じ年齢であっても、住民税の負担に差が出てくることもあり得ます。

手取り金額を増やすにはどうすればよいか?

手取りを増やすには「所得控除」の活用を

転職や給与のベースアップがあれば別ですが、サラリーマンが一気に年収を増やすことはなかなか難しいことです。同じ年収で手取り金額を増やすためには、所得税法の各種特典を上手に利用することが大切です。次に、手取り金額を増やすために検討したい「各種所得控除」について解説します。

1.小規模企業共済

「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」が運用する共済制度の一つに「小規模企業共済」があります。これは、法人の役員や個人事業主の方が将来、退職金を受け取るための積立式の退職金制度です。「小規模企業共済」の掛金は240ヶ月以上の加入期間があれば、払込掛金以上になって返戻されます。積立に利息が付くようなイメージですが、なおかつ掛金は全額「所得控除」の対象となります。つまり運用益を出しつつ所得税の減税が可能となるわけですから、長い目でみれば非常にお得な制度といえます。

2.iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは私的年金制度の一つであり、掛金を拠出しそれを運用することで運用益を出し将来受け取る年金を増やしていく制度です。「元本変動型」の運用をした場合、元本割れするリスクがあるため、小規模企業共済より投機性が強い面があります。しかし、運用益は全て税法上の非課税となりますし、小規模企業共済と同じく掛金は全額「所得控除」の対象となります。上手に運用すれば運用益を出しつつ所得税を減税することが可能になります。

「住宅ローン控除」も有効な手段

小規模企業共済やiDeCoのような「所得控除」のほかにも、所得税法には「税額控除」という制度があります。簡単に説明すると、計算した所得税から税額を直接控除することができる非常にお得なものです。「税額控除」で代表的なのが「住宅借入金等特別控除」です。
 

住宅の新築工事やリフォーム工事を行った際に金融機関から借入をし、年末時点で残高が残っている場合、その残高に応じた所得税が税額控除できます。要件に応じて最大で13年間、所得税の減税を受けることができ、所得税から控除しきれなかった場合は残額を住民税から控除できます。なお「住宅借入金等特別控除」を受けるためには、入居した初年度に確定申告をしなければなりませんので注意してください。

まとめ

制度を知るのと知らないのとでは、同じ年収でも手取り金額に差が出ることはご理解いただけたかと思います。毎月の額は僅少でも、少しずつ積み重ねることで将来大きな運用益を生み出せることを覚えておきましょう。
 

奥谷佳子
Webライター/ライター フリーランスとして様々な記事を執筆する傍ら、経理代行業なども行う。 自身のリアルな経験を活かし、税務ライターとして活動の場を広げ、実務で役立つ生きた税法の解説に努めている。 取材を通じて経営者や個人事業主と関わることも多く、経理や税務ほか、SNSを使った情報発信の悩みにも応えている。
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