燃料価格高騰を受けて、大手電力会社7社が2022年11月頃から申請している家庭向け電気料金の値上げ審査が長引いているようです。政府は、家計負担の軽減に向けて電気料金の値上げ審査を厳格化しており、7社のうち東北電力など5社が求めていた4月の値上げは2カ月以上先送りとなり、6月以降の値上げとなる見通しとなっています。なお7社のうち残る2社については、6月からの値上げで申請がされています。
電力会社7社のうち6社が値上げ幅をさらに圧縮へ
電気料金の値上げを政府に申請しているのは、中部電力・関西電力・九州電力を除く大手電力会社10社のうち7社で、東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の5社は4月からの値上げ、東京電力と北海道電力は6月からの値上げを申請しています。
しかし2月に行われた「物価・賃金・生活総合対策本部」の会合で、岸田首相が「4月という日程ありきではなく、厳格かつ丁寧な査定による審査を行ってほしい」という発言をしたことを受け、経済産業省は「厳格・丁寧な審査」をすると表明しており、値上げ幅が妥当かどうかについて、より時間をかけて評価することとし、現在の燃料価格や為替水準が値上げ申請当初の価格に比べて緩和されているとして各社に見直しを求めていました。
電力各社は、資源高や円安の値動きが止まったことを背景に、最新の燃料価格や為替水準に基づいて値上げ幅を再計算し、東京電力をはじめ6社が値上げ幅を圧縮しました。
直近の燃料代で再計算し6社が値上げ幅を圧縮(1カ月あたりの基本料金) | |||
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当初 | 再申請 | 変化幅 | |
北海道電力 | 2,838円 | 2,313円 | -525円 |
東北電力 | 2,717円 | 2,023円 | -694円 |
東京電力 | 2,611円 | 1,558円 | -1053円 |
北陸電力 | 2,696円 | 2,754円 | +58円 |
中国電力 | 2,399円 | 2,342円 | -57円 |
四国電力 | 2,205円 | 2,180円 | -25円 |
沖縄電力 | 3,473円 | 3,245円 | -228円 |
7社のうち6社は、直近の燃料価格の下落を反映させ申請中の上げ幅をいったん圧縮したとされていますが、今後の審査でさらなる対応を求められる可能性があるとしています。
大手電力会社でカルテルや顧客情報の不正閲覧といった不祥事が相次いでいることもあり、値上げの実施には経済産業省と消費者庁の協議が必要とされています。
消費者庁がこうした不祥事との関連も含めて厳しい姿勢を示していることも、値上げに時間がかかる要因となっていることもあり、電気料金の値上げは6月以降になるとの見方があるとしています。