金融庁は12月26日、独占禁止法違反として不適切な保険料調整行為(カルテル)を行ったとし、損害保険大手(以後、損保大手)4社に対して業務改善命令を出しました。
損保大手への一斉処分は、2007年に保険金の不払い問題について指摘されて以降初めてのことで、およそ16年ぶりとなります。
損保大手4社は公正取引委員会にも立ち入り調査を実施されている
今回、業務改善命令を言い渡された損保大手は、以下のとおりです。
- 東京海上日動火災保険
- 損害保険ジャパン
- 三井住友海上火災保険
- あいおいニッセイ同和損害保険
これら損保大手は、2023年6月に金融庁から複数の企業で商品の価格を取り決める「カルテル」の疑いがかけられていました。その後、12月26日に保険業法に基づき「業務改善命令」が下されたのです。
問題となったのは、損保大手4社による「共同保険」の保険料調整です。
「共同保険」とは、複数の保険会社が共同で1つの保険契約を引き受け、契約を結んだ各社が保険料を受け取り、共同で保険金を支払います。また、各社の保険料シェア率については、入札で決まる仕組みです。
しかし、損保大手4社は共同保険の入札において、事前に話し合いを実施し、「保険料の調整」や「特定の損保会社がシェアで1位になるような調整」などを行ったとされています。
損保大手4社は企業向けの保険サービスにおいて、市場シェアのおよそ9割を占めていることから、100社以上が不適切な行為を受けたとされており、被害対象者が広範囲に及ぶ極めて悪質性の高い行為と判断されました。
さらに、12月19日には、損保大手4社の「共同保険」に対して、公正取引委員会も立ち入り調査を実施しています。
公正取引委員会が調査の対象とした案件は、以下の企業(グループ含む)・自治体・団体です。
これらの企業や自治体の保険契約の入札時に、「落札する会社」や「保険料」について、事前に調整するための話し合いが行われていたとされています。これらの調査で違反行為が確認されれば、業務改善命令だけでなく、「排除措置命令」や「課徴金納付命令」などの行政処分が下されることになります。