財務省は7月3日に、2022年度の国の税収(一般会計)が71兆1373億円で、3年連続で過去最高額を更新したことを明らかにしました。国の税収は、前年度より約4兆円増え、70兆円台に達するのは初めてとのことです。税収が増えている背景には、上がり続ける「国民負担率」があるといいます。
国民負担率とは?税収増加の裏に潜む重要な指標とは?
国民負担率とは、国民の所得に占める税金や社会保障費などの負担割合のことを指します。国民負担率は、国や社会の安定を維持するために必要な財源を確保するため、重要な指標となります。
今年2月に、財務省が2023年度には国民負担率が46.8%になる見通しだと発表し、大きな話題となりました。つまり、国民所得の半分近くが税金や社会保障費となっているといえます。
日本における国民負担率は、近年上昇傾向にあります。2022年度の国民負担率は47.5%で、2002年度の35%から約12.5ポイント上昇しています。この上昇は、少子高齢化に伴う社会保障費の増加や、景気悪化による収入の減少などが主な要因といわれています。
社会保障に詳しい関東学院大学経済学部の島澤諭教授によると、「国民所得を財務省試算のとおり421.4兆円、少子化対策の費用を3.5兆円とすると、国民負担率は0.8%押し上げられます。今年2月に発表された財務省の見通しよりさらに高く47.6%に達する可能性もあり、近年中に50%を超えるのもほぼ間違いない」としています。
国民負担率が高くなると、国民の生活水準に影響を与える可能性があります。例えば、税負担が重くなると消費が減少し、経済成長が鈍化する傾向があるとされています。また、社会保障費の負担が重くなると、その分手取り額が低下することになります。
<同じ年収でも減り続ける手取り額>
国民負担率 | 年収(給与) | 社会保険料 税(所得税+住民税) |
手取り額 |
---|---|---|---|
(1995年)35.7% | 500万円 | 47万5160円 18万2800円 |
434万2040円 |
(2000年)35.6% | 500万円 | 50万6660円 16万2700円 |
433万640円 |
(2005年)36.2% | 500万円 | 62万3955円 19万9300円 |
417万6745円 |
(2015年)42.3% | 500万円 | 74万7699円 24万9000円 |
408万4201円 |
(2020年)48.0% | 500万円 | 75万2016円 24万9000円 |
399万8984円 |
(2022年)47.5% | 500万円 | 74万9350円 24万9600円 |
400万1050円 |
現に国民負担率が47.5%となった2022年の手取り額は400万1050円にまで減っています。同じ年収500万円でも、20年あまりで約33万円も手取りが少なくなっていることになります。給料がずっと変わらなかったとしても、「手取り」が減っているということは、「引かれるお金」が増え続けているということです。さらにここ最近の消費税増税などで、この「手取り」を消費したときに払う税金も増えることになります。
引き続き動向を注視しましょう。