大阪府枚方市は7月26日に、市内の販売店で省エネ家電に買い替えた市民に補助金を出す事業を巡り、家電量販大手の「ヤマダデンキ」の枚方市の店舗が関与する不正請求があったと明らかにしました。
市内の店舗での購入が交付条件となっていましたが、対象外の市外店舗で発行したレシートを補助対象の市内店舗で手書き領収書に差し替えて市民に渡し、補助金を申請するよう誘導していたようです。
ヤマダデンキが関与した枚方市補助金不正申請、その驚きの手口とは?
ヤマダデンキは、1983年に設立された日本の家電量販店大手で全国に約800店舗を展開し、家電製品の販売だけでなく、パソコン、携帯電話、住宅設備、インテリア、金融、保険など幅広い商品を取り扱っています。
2008年にディスカウントストアのダイクマを買収し、2015年にお家騒動で世間を賑わした大塚家具を吸収合併するなど、近年は積極的なM&Aを展開しています。しかし、その裏では巧妙な手口で補助金申請の不正誘導を行っていたようです。
枚方市によると、不正請求が見つかったのは2022年度に実施した「省エネ家電買い換え促進事業補助金」。この補助金事業は物価高騰対策の一環として、枚方市民が市内の販売店でエアコン、冷蔵庫、テレビのいずれかを省エネ家電に買い替えると、購入額に応じて1万~3万円の補助金が交付されるというもので、2022年11月~2023年2月に申請を受けた約2,500件分を交付していたそうです。
しかし、ヤマダデンキは2023年2月、枚方市と隣接する高槻市などの店舗で家電を購入した枚方市民に対し「レシートを枚方市の店舗に持って行けば補助金が出る」などと説明。枚方市内の店舗は、市民が持参したレシートと、枚方市の店舗名が入った手書きの「偽造領収書」を引き換えたうえで、この領収書を添付して市に不正な申請をするように案内していたといいます。
枚方市の担当者が申請書類を確認していたところ、申請に添付された手書きの領収書には枚方市の店舗名が書かれているにも関わらず、本来は添付不要な「長期無料保証」の保証書には高槻市の店舗名が書かれている書類が交ざっていたことで不正が発覚。このほか同様の手書き領収書で計31件の不正請求が確認されました。高槻市と寝屋川市の2店舗分で15件、計44万円の補助金が交付され、残り16件は不交付にしたといいます。
担当者がヤマダデンキに確認したところ、いずれも不正請求と判明。同社は市民に不正な手続きを促したとして、第三者弁済という形で会社側から市に全額を返還するとしています。
親会社のヤマダホールディングスの清村浩一・経営企画室長は「市民に不正な手続きを促し、大変申し訳ない。一部の管理職が『近隣店舗で購入しても補助金を請求できる』と勘違いし、不正の認識はなかった。ほかの自治体では同様の事案は確認されていない」と話しています。
枚方市の担当者は「今年度も同じ事業を実施しており、より厳格な書類審査をしていく」としました。