ニューヨークの外国為替市場では、8月16日、円相場が下落し、一時的に1ドル=146円台となりました。これは、2022年11月以来、およそ9カ月ぶりの円安・ドル高の水準です。
この円安の動きは、米国でのインフレが強まっていることが背景にあります。米連邦準備理事会(FRB)が、今後も金融引き締め政策が長期化する可能性があるとの見方から、米債券市場で長期金利が上昇しました。一方の日本銀行は金融緩和策を維持しているため、日米金利差が拡大し、円売り・ドル買いが加速しています。
先週発表された米国の物価指標は、前月比での伸びが13カ月ぶりに上回り、国内のインフレが継続していることが示されました。さらに、7月25〜26日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によれば、多くの参加者が将来のインフレリスクに対して警戒感を示しており、「今後の金融引き締めが必要になる可能性がある」との見解が示されました。
中国では対ドルで人民元安が続く
中国では、国内大手不動産会社に関する経営不安を発端に、中国内の景気鈍化を巡る懸念から、16日に人民元は9カ月ぶりの安値を付けました。人民元はオンショア市場、オフショア市場ともに昨年11月以来の安値を付け、オフショア人民元は一時7.3397元まで下落しました。
オンショア市場とは、取引の当事者間の両方が国内の「内ー内取引」、もしくは一方が外国の投資家や企業等の「内ー外取引」を指します。
またオフショア市場とは、国内金融市場とは分別して行われる国際金融市場のことをいい、主に非居住者が資金調達や運用を行う市場「外ー外取引」を指します。
2つの市場は分断されており、為替レートも2つ存在します。オフショアは中国国内の規制が適用されず、自由に売買できるため、市場実態に近いレートだといわれています。
鈴木俊一財務相は16日の閣議後の記者会見で、「私たちは為替市場の動向に高い緊張感を持って注視しています。極端な動きがある場合には、適切な対応を検討したいと考えています」と述べました。ただし、円を買い、ドルを売るような為替介入に関しては、「ある一定の水準が存在して、それを超えた場合に行動するわけではない」とも強調しています。
2022年9月22日には、政府・日銀が約24年ぶりに為替介入を行った経緯があります。
その際、円相場は145円90銭となっていました。現在、円相場は昨年の介入時よりも円安方向に振れており、政府・日銀が再度、円を買い戻す可能性についての思惑も高まっています。
8月17日午前の東京外国為替市場でも1ドル=146円台と円相場の大幅下落が続いており、今後の動向に注目が集まります。
▼参照サイト
NY市場 一時 1ドル=146円台に値下がり ことし最安値を更新【NHK NEWS WEB】
外為12時 円、大幅下落 9カ月ぶり安値圏 米金利の先高観で【日本経済新聞社】
[手続名]所得税・消費税の納税管理人の届出手続【国税庁】
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