ガソリン価格がじわじわと値上がりを続けています。先週8月14日時点のガソリン価格(全国平均、レギュラー)は181.9円/リットルと前週8月7日時点の180.3円から1.6円上昇し、2008年8月4日時点の最高値185.1円/リットル目前まできています。ウクライナ情勢の緊迫化などにより原油価格が再び騰勢を強めているなかで、円安も進んでいます。今後の市況次第では200円台に突入するとの見方も出てきているようです。
政府補助金の終了によりガソリン価格はさらに上昇へ
政府が6月から石油元売り会社に支給する「ガソリン補助金」の段階的縮小に着手した影響もあり、ガソリン価格は8月14日までで13週連続で上昇をしています。ここにきて原油高と円安が進んだことで上昇ペースが加速し、8月前半の2週間で約5円値上がりしました。
政府は2022年1月から、高騰したガソリンの価格軽減策として補助金を導入しました。2022年3月末までの予定でしたが、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油高騰を受けて延長を繰り返してきました。補助金の価格抑制効果は大きく、原油価格が大幅に上昇した2023年6月には、補助金がなければ215円台を記録していたと経産省が試算しています。
2023年5月は、ガソリン1リットルあたり168円を超えた分について、25円を上限に石油元売り会社に補助金を支給していました。この補助率が、6月から2週間ごとに1割ずつ段階的に引き下げられ、9月末に補助自体が終了する見通しのため、ガソリン価格はまだまだ上がるとみられています。
そもそも補助金政策(燃料油価格激変緩和対策事業)とはガソリン、軽油、灯油、重油を対象に2022年1月から始まりました。ガソリン価格は、コロナ禍の経済対策として実施されていた石油元売りへの補助金もあり、2022年夏頃から価格の横ばいが続いています。
経済・金融情勢分析に詳しい有識者によると、国内でのガソリン価格は、海外での原油価格とドル円レートの2つの要素で決まる部分が大きいそうです。そして、後者は2週間弱程度の時間差で前者の価格に反映されていくようです。そのため、円建ての原油価格の動きを見れば、比較的近い将来のガソリン価格を予想することが可能となります。円建ての原油価格の動きは、補助金の影響で押し下げられたガソリン価格が、8月末に196円程度まで上昇することを示唆しています。 補助金がさらに削減されていく中、原油価格とドル円レートが現在の水準で横ばいとなるケースでは、補助金が完全に撤廃される9月末にガソリン価格は199円程度になることが予想されます。原油価格と為替が少し動くだけで、ガソリン価格は容易に200円台に乗る状況のようです。
ガソリンが一段と値上がりすれば、与党内で補助金継続を求める声が強まる可能性もあります。松野官房長官は8月9日の記者会見で「今後の対応は原油価格の動向を注視しながら検討する」との姿勢を示しています。
経済産業省は、10月以降も補助を続けるかどうかは原油価格の動向も踏まえ、柔軟に対応していくとしています。