リップルは、国際送金を安く、速くできる仮想通貨として人気があります。
魅力的な特徴がある一方、実は2020年12月に米証券取引委員会(SEC)から訴訟を起こされており、裁判を行なっている最中でした。もしリップル側が敗訴した場合、価格の大幅な下落が不安視されていたのです。
そんな中、2023年7月13日に注目の裁判結果が公表されました。本記事では、リップルとSECの裁判結果について解説しつつ、リップルの今後について考察します。
※記事の内容は記載当時の情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
リップルと米証券取引委員会(SEC)との裁判結果はリップルが一部勝訴
リップルとSECの裁判結果は、機関投資家向けに販売したものについては有価証券にあたるとして、違法な証券販売であると結論付けた一方、リップルの個人向け販売は有価証券にあたらないとの判決が出ました。
元々、2020年12月にSECがリップルに対して、連邦証券法において未登録のまま販売をしているとして提訴していたのです。しかし、個人向けの販売は有価証券にあたらないと判断されたため、違法な販売はしていないという結論となり、リップル側の一部勝訴となりました。
裁判結果の決め手は、リップルを買う側が、リップル社自身の努力で利益を得られるか否かを知っていたかという点にあります。知っていた場合、購入者は値上がり益を期待して買うため、証券の要素があると判断されるのです。
一方、個人が買う場合は、仮想通貨の交換所を経由するので、売り手がリップル社であることを知らずに買ったと考えられるため、リップル社の努力で値上がりを期待できるかどうかは知る由もありません。よって、個人向けの販売は、有価証券にあたらないと判決が出たのです。
米証券取引委員会(SEC)との裁判直後のリップルの値動き
今回の裁判結果は好材料となり、一時的にリップル(XRP)の価格は前日比約2倍の1XRP112.24円となりました。その後、急騰の反動で100円代を下回りましたが、7月19日には高値の114.49円にまで上がるという値動きです。現在は価格が落ち着き、1XRP90円前後を推移しています。
ちなみに、リップルの取引を停止していたコインベース・グローバルが再開すると発表した結果、同社の株価が前日比で24%上昇しています。それほど裁判結果の影響が広く及んでいることが分かります。
リップルの3つの長所
リップルという仮想通貨には、主に次の3つの長所があります。
- 国際送金のスピードが早く手数料も安い
- ブリッジ通貨としての機能がある
- アジア圏内で普及しつつある
投資対象としてだけではなく、実用的な通貨として普及していくことが期待できる長所があるのです。それぞれ詳しく説明します。
国際送金のスピードが早く手数料も安い
リップルなら、国際送金を安い手数料で非常に早く行えます。そのため、実用化しやすい仮想通貨として注目されているのです。
具体的には、1回の取引あたり3.3秒で送金が完了し、手数料はわずか約0.0004ドルに抑えられます。
安い手数料で早い送金スピードを実現できる理由は、ブロックチェーン技術が使われていない点にあるのです。リップルの場合、リップル社が認めた「バリデータ(Validator)」という少数の企業だけが取引の記録を付けられます。結果、取引履歴の承認作業がスムーズとなり、安くて高速な送金が実現できているのです。
ブリッジ通貨としての機能がある
リップルはブリッジ通貨として、ドルや円などに換えることができます。これによって、スムーズな国際送金が可能となるのです。
→異なる通貨の橋渡しの機能を持つ通貨
通常、国際送金を行う場合、銀行間でやり取りする必要があり、その手続きで費用と時間がかかります。しかし、通貨をリップルに一度換えてから相手に送れば、わざわざ銀行を介さずに送金できるのです。相手はリップルのまま保有するか、自国通貨に換えるか選べます。
このようにリップルは、国際送金に適しているのです。
アジア圏内で普及しつつある
リップル社はアジア圏を中心に、実用的な通貨として普及しつつあり、更なる拡大が期待されています。
2016年5月、リップル社はSBIホールディングスと共同で、SBI Ripple Asia社を設立しました。同社の取り組みによって、タイやカンボジアなどではすでにリップルを活用した国際送金サービスが提供されています。
また、2020年12月には、アメリカの大手銀行であるバンク・オブ・アメリカも、リップルの決済ネットワークに参加しているのです。
2022年末時点では、55ヶ国以上の法定通貨に対応し、300社以上の金融機関と企業が決済ネットワークに参加しています。このようにリップルはアジア圏を中心に、世界中へ普及しつつあるのです。普及が進めば、リスクが低くなり、実用化がさらに進むでしょう。
リップルの2つの短所
ただし、リップルには主に次の2つの短所があります。
- 価格変動が激しい
- 中央集権型なので不正操作のリスクがある
実用化されつつあるものの、まだ安定・安心とはいいきれません。それぞれ詳しく説明します。
価格変動が激しい
リップルに限らずではありますが、仮想通貨は価格変動が激しくリスクがあります。
例えば、直近1年間だと、最安値と最高値では約3倍ほどの開きがあるのです。2017〜2018年の仮想通貨バブルの時期に至っては、1年間で約10倍もの値動きがありました。
実用的な通貨として使うには、まだリスクが高いといえます。
中央集権型なので不正操作のリスクがある
リップルは他の仮想通貨と違い、リップル社が承認した少数の企業で取引履歴の管理をしているため、不正操作が行われるリスクが少なからずあります。このように実質的に1社のみが管理している仕組みを、中央集権型といいます。
代表的な仮想通貨であるビットコインは、複数の企業や個人が互いを監視しながら取引履歴を管理しているため、不正が行われればすぐ気づけるのです。しかし、リップルは実質リップル社のみが取引履歴の管理をしているため、不正操作があっても気づけません。
リップルの将来に関わる重要な2つの要因
リップルの今後は、主に次の2つの要因で大きく変わると考えられます。
- さらなる金融機関との提携
- 仮想通貨に対する規制緩和
投資対象としてではなく、通貨として使われるようになっていけば、より価格も安定していくでしょう。それぞれ詳しく説明します。
さらなる金融機関との提携
リップルと世界各国の金融機関との提携がもっと広がったら、国際送金に使える通貨として、さらに普及するでしょう。そして、利用者が増えれば、価格は次第に安定していきます。
現在は、日本の3大メガバンクとも提携しており、日本での更なる実用化も遠くないでしょう。
仮想通貨に対する規制緩和
今後、仮想通貨に対する規制緩和がされていけば、よりリップルの価格も安定しやすくなるでしょう。
今回のような裁判が再度起きれば、価格はまた乱高下してしまいます。価格変動が激しい状態では、日常的に使う通貨として利用するのはなかなか難しいです。
規制が緩和されていけば、利用者が増え、リスクが減っていくでしょう。
まとめ
リップルとSECとの裁判は、リップル側の一部勝訴となり、価格は一時的に高騰しました。
リップルは国際送金に使える実用化しやすい仮想通貨として、依然として注目を集めています。世界中の銀行との提携も進んでいるため、これからさらに普及していくことが期待できる通貨です。
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