政府が水産事業者に対して207億円の追加拠出!総額1,007億円に | MONEYIZM
 

政府が水産事業者に対して207億円の追加拠出!総額1,007億円に

9月4日、岸田首相は水産事業者に対して新たに「207億円」を予備費から拠出する考えを発表しました。政府は、中国が実施した日本産水産物の輸入全面停止を受け、すでに800億円の基金を用意していたのに加え、今回207億円を追加拠出することで、総額で1,007億円を支援する見通しです。

中国による水産物輸入の全面停止には、ALPS処理水の海洋放出が関係

前述したとおり、今回、政府が水産事業者に対して総額1,007億円の支援対策を実施する背景には、中国による日本産水産物の輸入全面停止があります。その理由に、「東京電力福島第一原子力発電所によるALPS処理水の海洋放出」が挙げられます。
 

ALPS処理水とは、東京電力内にある放射性物質を含む水を、トリチウム以外の放射性物質を対象に安全基準を満たすまで浄化した水のことです。また、トリチウムとは、水素の仲間で水道水や雨水など自然界に広く存在する放射性物質のことで、トリチウムについても処分する前に大量の海水で薄め、国の定めた安全基準の40分の1未満(WHO飲料水基準の約7分の1未満)にしています。
 

しかし、中国ではそんなALPS処理水のことを「核汚染水」と表現し、中国政府は「中国の消費者の健康と輸入食品の安全を確保するため」として、日本からの水産物輸入を全面停止したのです。
 

農林水産省の統計によると、2022年における日本の水産物の輸出総額は3,873億円であり、なかでも中国への輸出額は871億円と、水産物輸出総額において最も多い輸出先であることがわかります。

そのため、中国が日本の水産物輸入を全面停止することは、日本の水産事業者にとって大きなダメージであることがわかります。
 

そして今回、岸田首相は、中国による輸入の全面停止で受ける水産事業者への影響に対し、「特定国依存の分散のための支援策を含めて総額1,007億円、5本柱の政策パッケージをとりまとめた」と漁業者支援策を表明したのです。
 

5本柱の政策パッケージとは、以下のことを指します。
 

国内消費拡大・生産持続対策
∟国内消費のPRや燃油コスト削減など
風評影響に対する内外での対応
∟具体的なデータ・数字を含めた説明を中国を含む国際社会に対して実施するなど
輸出先の転換対策
∟新規海外市場への思い切った販売や流通支援など
国内加工体制の強化対策
∟殻むき機の導入支援や人員確保対策など
迅速かつ丁寧な賠償
∟東電に対して迅速な賠償の呼びかけなど
 

今回の支援策では、中国への輸出が多いホタテなどを一時的に買い取って保管する制度や、国内の加工体制の整備、新たな輸出先の開拓などを実施する方針です。

澤田泰弥
神奈川横浜市を中心に活動しているWebライターの澤田です。2023年3月にFP3級を取得、2023年7月にFP2級を取得しました。新しく身につけた専門知識を活かし、あなたの悩みを解決できるわかりやすい記事を目指しています。
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