9月25日に岸田総理は、物価高や低賃金などへの対応として、10月中に新たな経済対策をまとめ、検討を本格化することを発表しました。
岸田総理は「コロナ禍で苦しかった3年間を乗り越え、今度は物価高に苦しんでいる。今こそ成長の成果である税収増などを国民に適切に還元する」と述べています。
今回の経済対策では「5つの柱」が重視されている
「5つの柱」とは、以下のとおりです。
1.足元の急激な物価高から、国民生活を守るための対策
∟ガソリンや電気、都市ガスの価格抑制策など
2.地方、中堅・中小企業を含めた持続的な賃上げ、所得向上と地方の成長の実現
∟賃上げに取り組む企業への減税措置強化、年収の壁の緩和など
3.成長力の強化・高度化に資する国内投資の促進
∟半導体やバイオ関連の国内生産コストの軽減など
4.人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革の起動と推進
∟デジタル技術を活用した自治体業務の効率化など
5.国土強靱(きょうじん)化、防災・減災など、国民の安心・安全の確保
∟デジタルなどの新技術の活用、地域における防災力の強化など
参照:経済対策についての会見|首相官邸
具体策としては、賃上げに取り組む企業への減税措置強化や戦略分野の国内投資を促す新たな減税、電気・ガス料金の来年以降の補助制度継続などが検討されています。
戦略分野の国内投資においては、半導体や蓄電池、バイオ関連を対象に、初期投資だけでなく、5~10年単位で企業の国内生産コストを軽減するための税制措置です。
しかし、5つの経済政策の裏付けとなる補正予算案については、国会に提出する時期は明言しておらず、与野党の中では「この秋の衆議院解散を考えているのではないか」という声も挙がっています。
また、今回の経済対策について、自民党の世耕参議院幹事長は、投資を後押しする施策や低所得者への支援策など、「15兆円から20兆円規模の対策を講じるべきだ」と述べています。
一方で、経済財政政策に詳しいBNPパリバ証券の河野龍太郎氏は、「円安インフレの影響が長期化しているのは、日本の需給ギャップがすでにタイト化していることが理由にある。よかれと思って政府が大規模財政を行うとそれが需給ギャップをさらにタイト化させ、高いインフレを長期化させることになりかねない」と指摘しました。
これらの意見から、今後の政策検討においては、政策を実行するにあたっての対策や実効性などに注目していくべきだと考えられています。
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- 岸田総理が経済対策の「5つの柱」を発表!10月中に方針をまとめる見通し