主婦を含むパートタイム労働者が社会保険料の負担を避けるために労働時間を制限する、いわゆる「年収の壁」の問題を解消するため、政府が雇用保険料を財源とした新たな補助金をつくる検討をしていることがわかりました。
この補助金は、パートタイム労働者の年収が指定された「壁」を超えても、収入が減らないように一定の賃上げをした企業に対して補助金を支給するとしています。
今後、制度の内容を調整し、2023年度中にも導入するとみられています。
労働時間の制限はもう不要?政府が補助金で「年収の壁」問題に切り込む
「年収の壁」とは、配偶者などに扶養される人の年収が106万円(勤務先の従業員が100人以下の場合は130万円)を超えた場合、社会保険料の負担が求められ、結果として収入が減少する問題を指します。これを回避するために、多くの人が労働時間の制限をし「壁」を越えないようにしています。
【ビスカス公式Youtubeチャンネル】4つの年収の壁とは? より
政府は、近日中にも発表予定の「こども未来戦略方針」に、年収が「106万円の壁」を越えても従業員の収入が減らないように、労働時間を延長したり賃上げをした企業に対して、必要な費用を補助する方針を盛り込む予定です。
収入の減りを防ぐためには、106万円の年収を約125万円程度増やすことが必要となります。最大3年間を目途とし、複数年で計画的に取り組む企業も補助対象となります。また社会保険料の負担分については、国から支給される補助金をもとに企業が肩代わりする見通しで、具体的な金額や財源は今後詰めていくとしています。
今回の補助金は短期的な解決策と位置づけられ、長期的な解決策は2025年を目処に次回の年金制度の見直し時にあわせて検討するとみられています。