生活保護の申請件数が今年に入り、前年同月比で6カ月続けて増加していることがわかりました。
生活保護申請増加の背景にある課題 コロナ後の現実
この増加の背景には、新型コロナウイルスの発生から3年以上が経過し、経済活動の正常化が進む一方で、これまでコロナ禍による生活困窮者らを支えてきた特例的な生活支援の縮小が大きな要因となっていると、政府関係者は分析しています。
特に支援の柱である最大200万円の生活資金の特例貸付制度については、今年1月から返済が始まったことで、多くの家庭が経済的なプレッシャーに直面していると推測されます。
実際、家計が逼迫し、生計を立てることがますます難しくなっている多くの人々の苦境が浮き彫りとなっています。
厚生労働省の集計によれば、1月の生活保護申請件数は2万95件で、前年同月比で3.9%増加しており、2月に入ると増加率は20.5%と急増していき、3月に至ってはさらに23.7%へと拡大しました。4月と5月に入っても10%台での増加が続き、6月に入ると3.8%と鈍化したものの、いずれにせよ高水準での生活保護申請が続いています。
また厚生労働省が2023年8月2日に発表した「生活保護の被保護者調査(令和5年5月分概数)」によれば、生活保護を受給している世帯は、全国で164万8101世帯と増加しています。
こうしたデータから、コロナ禍で綱渡りの生活を送っていた人々への支援が減少し、申請件数が増加している結果がみえてきます。
そのほかにも、厚生労働省によれば、コロナ禍から続く生活苦により、生活資金を借りたにもかかわらず返済できないケースや、借り主との連絡がつかないケースも増加しているようです。
また生活保護申請の増加は、依然として多くの家庭にとって、経済的な安定が難しい現実を示していることに加えて、多くの人々が精神的なストレスや不安に直面していることが伺えます。
具体的には、失業や収入減少、健康上の不安、社会的孤立などの要因が含まれており、こうした、さまざまな要因が重なったことも生活保護申請の増加の一因と考えられます。
この状況を受けて、政府関係者はより包括的で効果的な支援策を模索する必要性が増しているといえるでしょう。
そもそも「生活保護」とは、生活保護法により、憲法で定められている健康で文化的な最低限度の生活を保証し、自立した生活を送るための手助けをする制度です。
また生活保護の申請は、国民の権利であり、住まいの地域を管轄する各自治体の福祉事務所や支庁で相談することができます。
どんな人でも生活保護が必要になる可能性があるため、いざ必要になった場合、ためらわずに自治体の窓口に相談することが大切です。
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