三菱UFJ信託銀行がNTTデータと連携して、社債の取引を小口化すると発表しました。社債の取引を小口化するとどのようなメリットがあるのでしょうか。またデメリットはないのでしょうか。この記事では社債のデジタル化のメリットとデメリットについて解説します。
社債とは?社債は安全なのか
そもそも社債とはどのようなものなのでしょうか。また社債は安全なのでしょうか。ここでは社債について解説します。
社債とは
社債とは、企業や政府が資金を調達するために発行する債券のことです。企業が新しいプロジェクトを立ち上げたり、設備を拡充したりするために資金を必要とする場合、銀行からの融資だけでなく、社債を発行することも選択肢となります。
社債は一定期間ごとに利息を支払い、最終的に元本も返済しなければなりません。債券の利息率は、債券の信用力や市場の需要と供給のバランスによって決まります。高い信用力を持つ企業や政府が発行する社債は、低い利息率で取引される傾向があります。
社債は、投資家にとっては安定した収益を得る手段です。一方で、債券の価格は金利の変動によって影響を受けるため、投資家にとってはリスクも存在します。
また社債は投資家にとっては比較的流動性の高い資産です。つまり必要な場合に比較的容易に売買できる特徴があります。
社債は、企業や政府の資金調達手段として重要な存在であり、投資家にとっても一つの選択肢となる資産です。しかし投資を行う際にはリスクや利回りなどを注意深く考慮する必要があります。
社債のリスク
社債は比較的安全な投資とされていますが、リスクも当然あります。リスクとしては、企業が倒産するなどして、債務不履行になるケースもあります。債務不履行になれば、元本も返ってきません。
そのため発行体*の信用力やリスクをしっかりと評価することが重要です。社債を購入する際には、発行体の信用力やリスクをしっかりと評価するようにしなければなりません。
このように社債は比較的安全な投資と言われていますが、リスクがないわけではありません。リスクがあることを認識したうえで、社債への投資もしていく必要があるでしょう。
社債のデジタル化の重要性
社債について先ほど説明しましたが、その社債がデジタル化されるケースが出てきています。ここでは社債のデジタル化について解説します。
NTTデータとの連携による新たな取引方法
まず社債を扱う企業の動きがあります。三菱UFJ信託銀行はNTTデータと連携して、2023年度内に1万円単位で社債を売買できるインフラを作る予定です。ブロックチェーン技術を使うことで、発行や管理に関するコストを減らすことが可能となります。
社債をデジタル化することで、100万円単位の大口取引が主体であった社債を個人でも購入しやすくなります。このインフラが実現されれば、1万円から社債が購入可能になる予定です。
社債の取引を小口化する意義とは
社債のデジタル化で個人でも社債の投資ができると述べましたが、あらためてその意義について解説します。まず社債の取引が小口化すると、個人投資家も社債に投資しやすくなります。
個人が投資をする際の選択肢が増えることは、投資目的だけでなく、老後資金を確保する手段としても活用される可能性があるはずです。また企業側にとっても、資金調達の手段が多様化するというメリットがあります。
個人で投資をする人が増える中で、少額であれば投資したいという人は多いはずです。今後、小口の投資家にも投資してもらえるように、企業側がアプローチしていく可能性は十分考えられます。
社債のデジタル化によるメリット
社債をデジタル化することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは投資家、社債を販売する側、社債を発行する企業側、それぞれのメリットについて解説します。
投資家のメリット
社債をデジタル化することで、1万円から投資できるようになり、小口での取引が可能になります。金融商品としては、株式よりも安全資産であるため、資産形成の選択肢が増えるというメリットがあります。
老後資金が2000万円必要だと言われている中で、資産形成の選択肢が増えることはリスク分散という視点でも重要です。たしかにNISAやiDeCoを活用することで、老後資金を形成することは可能ですが、これらもリスクがないわけではありません。
社債も資産形成のひとつの選択肢になることで、老後資産の形成がしやすくなるのは間違いないでしょう。
販売する側のメリット
社債をデジタル化することは、販売する側にもメリットがあります。販売する側のメリットは、発行や管理のコストを削減できることです。たしかにデジタルであれば、オンライン上で販売し管理することも可能です。
発行や管理が自動化できれば、人件費の削減につながります。また人材不足が叫ばれている中で、余剰人員ができれば別の業務を担当してもらうことが可能になります。そうした配置転換を行うことで、業務効率化にもつながるでしょう。
またネット証券など、販売側の多様化も期待できます。社債がデジタル化されれば、販売できる証券会社も増えるはずです。今まで社債を扱えなかった証券会社が扱えるようになるわけですから、メリットが大きいと言えるでしょう。
企業側のメリット
社債がデジタル化されることで、企業側にもメリットがあります。前述したように企業側のメリットとしては、資金調達の手段が増えることです。企業側としては資金を調達して、新規事業にも挑戦しやすくなるでしょう。
日本における社債のデジタル化の事例
三菱UFJ信託銀行とNTTデータの事例についてはすでに紹介しました。ただし日本における社債のデジタル化はそれだけではありません。ここでは日本における社債のデジタル化の事例について紹介します。
カゴメの事例
カゴメは2023年2月21日にデジタル社債を発行しました。今回、資金調達とファン株主*との関係性を強化するため、身近な金融商品としてのデジタル社債発行に至ったと発表しています。
カゴメのデジタル社債は社債購入代金は1口10万円で、投資家側は社債利息と特典として「つぶより野菜(野菜ジュース)15本」がもらえます。
プラットフォームとしては、みずほ銀行を利用しており、期間は1年で10億円のデジタル社債を発行するということです。オンラインで個人向け社債を発行することで、資金調達やファン株主との関係性強化だけでなく、さらなる知名度アップを狙っていると考えられます。
野村証券とLINE証券の事例
野村証券とLINE証券は、2022年5月31日に個人向けデジタル社債を手掛けると発表しました。通常100万円程度の社債を1口5万円に小口化しています。LINE証券の主要ユーザーである若者向けの商品として販売することが目的として始まりました。
発行額は10億円で、償還年限は1年、利率は2.5%です。今回、社債を発行したのはスパークス・グループで、若年層へのマーケティングが目的とのこと。個人でとくに若い層に対して、アプローチするためにはLINE証券が最適だという判断に至ったようです。
またデジタルであれば、購入者と直接つながれるという魅力もあり、投資家とコミュニケーションを図ることができるとしています。具体的には抽選で現金やプレゼントがあたるキャンペーンを実施する予定です。
資金調達だけが目的ではなく、マーケティングの手段としてもデジタル社債を利用する事例として、今後、さまざまな企業が検討することになると考えられます。
ただしLINE証券は2023年6月に証券事業から撤退しており、若者向けの投資ビジネスとしては、難しさを示した例となっています。
まとめ
ここまでデジタル社債について解説してきました。デジタル社債も従来の社債と同様、リスクがないわけではありません。ただしデジタル社債が発行されることで、個人としても企業側としてもメリットが多いのはたしかです。
今後、さらにデジタル社債を導入する企業が増えることが予想されますから、今後は安全性が高く金融商品として魅力的なデジタル社債を選んで投資する時代が来るでしょう。
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