金融庁は2023年10月、非上場のスタートアップ企業が株式投資型クラウドファンディング(以降、CF)をする際に、個人投資家の投資上限を年収や資産に応じて50万円から100万円以上に拡大することや、株式発行総額上限を1億円から5億円に拡充することなどを検討し、2024年末までに結論を出す方針であることを示しました。
スタートアップ投資上限額の見直しで個人投資家の投資選択肢が拡大
そもそも「スタートアップ企業」とは、新しいビジネスモデルを確立し、これから社会に対して変革をもたらすであろう企業のことを指します。
スタートアップ企業の主な特徴は、以下のとおりです。
- 新しいビジネスモデルで社会に変革をもたらす
- 高い成長力がある
- M&A(企業の合併買収)やIPO(新規公開株式)を短期的に目指せる
また、スタートアップ企業と似ている言葉として「ベンチャー企業」があります。ベンチャー企業とは、新しく起業する会社全般を指す言葉であるため、スタートアップ企業とは異なります。
そして今回、株式投資型CFにおける非上場のスタートアップ企業に対して、「個人の投資上限額」と「企業の調達資金上限額」を大幅に緩和し、成長が見込まれる企業の後押しをする動きが出ているのです。
株式投資型CFとは、個人投資家と非上場のスタートアップ企業の間にエンジェルナビやイークラウド、ユニコーンなどの仲介事業者をはさみ、インターネットや電子メールを通じて個人投資家からスタートアップ企業への投資を促す仕組みのことです。
なお、今回検討されているスタートアップ投資の変更内容は、以下のとおりです。
●個人投資家
∟1社あたりの投資上限額50万円→年収や資産に応じて上限額100万円以上も可能
●非上場のスタートアップ企業が調達できる資金上限
∟株式発行総額上限額1億円→5億円
現在、日本と他国を比較すると投資上限額や株式発行上限額に大きな差があり、限度額が拡大されると、日本と他国との差が縮まることになります。
他国の投資型CFでの投資上限額と年間発行総額の上限は、以下のとおりです。
●年間発行総額の上限
∟米国が500万ドル(およそ7.5億円)、欧州が500万ユーロ(およそ8億円)
●個人投資家の投資上限額
∟年収や純資産に応じて規定
個人投資家は、株式投資型CFを通じてスタートアップ企業に投資することで、投資先企業が上場したり第三者に売却されたりすると、投資額以上のリターンに期待できることや、配当や株主優待による利益を得られる可能性があります。
今回、金融庁が非上場のスタートアップ企業への投資額拡大を検討している背景には、個人投資家にとっての投資先の選択肢拡大や、スタートアップ企業の資金調達ニーズの増加が関係していると言われています。
▼参照サイト
スタートアップ投資、個人の上限拡大 1社に100万円超も【日本経済新聞社】
大和ハウス、24年からスタートアップ投資 最大300億円【日本経済新聞社】
第1回金融審議会資産運用に関するタスクフォース 事務局説明資料【金融庁】
株式投資型クラウドファンディング【日本証券業協会】
- 税理士・税理士事務所紹介のビスカス
- マネーイズム
- トピックス, 投資
- スタートアップ投資の上限が50万円から100万円以上になる見通し