いよいよ秋の臨時国会が本日10月20日に開会します。岸田首相にとっては、内閣支持率が軒並み低下する中で、来年の自民党総裁選での再選、そして長期政権樹立に向けての踏ん張り所となる国会となりそうです。
会期は12月13日までの2カ月弱となる予定ですが、臨時国会での注目すべきポイントは大きく2つあるとされています。それは「経済対策」と「旧統一教会」の2つです。この2つが岸田政権の命運を左右するとされています。
減税となるのか?国民の目が厳しいなか問われる手腕
臨時国会が開会される中、注目されるのは、岸田首相が提案する経済対策とそれに付随する補正予算の審議です。
経済対策の目的として、岸田首相は「国民生活、生業を物価高から守る」と「経済の新しい息吹を継続する」ことを挙げており、これを実現するために「税制、給付、社会保障におけるさまざまな軽減措置、インフラ投資、その他あらゆる手法を動員する」と述べています。
具体的には、低所得世帯への給付措置やガソリン・電気・ガス料金の補助金継続などが検討されていますが、その給付額や低所得世帯の定義が焦点となると予測されています。また、岸田首相が強調する「税の増収分を国民に還元する」という方針に基づき、減税の具体的な扱いも議論の中心となる見込みです。税収増分の使途に関して「減税」を望む声が51.7%と多数を占めており、国民の期待が大きいことがうかがえます。
ただし、政府与党内では所得税減税を巡って迷走が続いています。岸田首相の減税への意欲にも関わらず、所得税減税が与党の提言に盛り込まれなかった背景には、党内からの異論や首相官邸側からのストップがかかったことが影響しているそうです。
岸田首相は2023年末の税制改正議論に向け、与党に対し「期限付きの所得税減税」も含めた検討を要請する方針であるとされていますが、野党からは政府与党の自作自演だとの批判も出ているようです。
一方で、野党側も経済対策に関する対案を提示しており、国会論戦の材料とする見通しです。立憲民主党は低所得層と中間層の世帯を対象に3万円の「インフレ手当」を給付するとともに、ガソリン税のトリガー条項の凍結解除を盛り込んでいます。日本維新の会も消費税の税率を一律8%にするとともに、社会保険料を軽減する案を提案しています。これらの対案が国会論戦を通じてどのように評価されるか、また岸田首相らとの議論を通じてどの対策が国民生活を支え、経済の好循環に寄与するかが注目されます。
もう一つの注目ポイントは、旧統一教会の財産隠しを防ぐための財産保全法案です。政府は旧統一教会の解散を求めていますが、現行法では解散命令が確定しない限り財産保全が難しいとされています。この問題に対応するため、立憲民主党や日本維新の会が法案を提出する方針ですが、自民党からは憲法が保障する財産権を制限することに対する慎重な意見も出ているようです。被害者救済の観点からは何らかの対応が求められており、自民党内でも対応策を検討する声が出ています。これらの法案が国会でどのように議論されるかも注目されています。
岸田首相にとって今回の臨時国会は非常に大きな節目となりそうです。経済対策を巡る議論は国民の目が厳しく、一歩間違えば政権のアキレス腱となりかねません。
過去にも、麻生政権のように経済対策が政権浮揚につながらなかった例もあります。2008年から2009年にかけて行われた定額給付金の実施は、景気浮揚や生活支援の目的が不明確であったことから、批判を浴び、結果として自民党は衆院選で大敗し、政権から転落する結果となりました。
物価高騰による生活の不安を抱える国民に対して、明確な方針を示し、政権への信頼を取り戻さなければなりません。成功すれば、年内の解散総選挙も視野に入るとの声もあります。しかし失敗すれば、来年の自民党総裁選での再選にも黄信号が灯ることになるでしょう。
国民の不安を払拭し、政権への信頼を回復することができるかどうかが試されます。