2023年10月、経済対策の補助金などに使われる国の基金に対して、休眠状態である事業数や管理費などが明らかになりました。
その結果、国の基金のうち29事業が休眠状態となっており、2022年度全体で管理費におよそ5億8,000万円をかけていることが分かりました。
国の基金に対する管理費問題は2023年が初めてのことではない
国の基金とは、補助金などで必要とされる額が想定できない場合に国が積み立てる資金のことを指します。
2014年10月17日には、国の基金について「補助金等適正化法施行令」の一部が改正され、基金の扱い方についての方針が決められています。
国の基金は、リーマン・ショックの影響で世界的に起こった金融危機をはじめ東日本大震災などをきっかけに急増し、現在では200件ほどの基金があります。
そして、2022年末時点で休眠状態となっている基金は29事業あり、基金全体の15%を占めていることが分かりました。
2022年末時点での休眠状態にある基金事業の残高は1.4兆円ほどで、2022年度では5億8,000万円ほどの管理費(人件費・事務費など)がかかっています。
2022年度に事業費がゼロであった主な基金と管理費・基金残高は、以下のとおりです。
事業内容 | 管理費 | 基金残高 |
---|---|---|
中小住宅事業者の住宅瑕疵担保保険への加入支援 | 3億円 | 99億円 |
創薬ベンチャーへの支援 | 1億円 | 3,498億円 |
企業がリースを活用して最先端設備を導入することを促進 | 900万円 | 46億円 |
EV向け充電設備費等を補助 | 900万円 | 3,200万円 |
エネルギー効率交渉など生産性を高める先端設備投資への補助 | 500万円 | 8,200万円 |
また、朝日新聞が調査した所管省庁別の休眠事業のデータによると、13府省庁のうち経済産業省が17事業と、全体のおよそ6割の休眠状態事業を占めていることがわかりました。なお、2番目に多いのがそれぞれ4事業で、農林水産省と文部科学省です。
国の基金を休眠状態でも存続させている理由については、経済産業省の担当者曰く、「補助事業が終わっても、数年間の間は成果把握や補助金の事後手続きなどが発生するから」とのことです。
問題視されている国の基金に対する管理費問題は、今回が初めてのことではなく、2021年度にも休眠基金の管理費用について話題になっています。
また2021年度の休眠基金は27事業で、12億円以上の管理費が投じられたとされています。