11月7日、大手会員制の倉庫型量販店である「コストコ」の日本法人が、国税局の税務調査を受け消費税約14億円の申告漏れを指摘されていたことが分かりました。
今回の税務調査では、2022年8月期までの5年間で消費税の申告が漏れているとされており、申告漏れによって加算される「過少申告加算税」を加えると、およそ15億円の追徴課税となる見通しです。
申告漏れの内容は「不課税取引と非課税取引の税区分混合」と「免税販売」
コストコとは米国発の会員制倉庫型量販店で、高品質や優良ブランドの商品を低価格で提供することを売りにしています。日本におけるコストコ倉庫数も33倉庫(2023年8月24日時点)と、日本でもとても人気が高い量販店です。
また、世界の会員数は1億2,790万人(2023年2月12日時点)と多く、2023年会計年度末の年間収益は2,377億ドル(およそ35兆6,550億円)と莫大な収益をあげています。
そして今回、国税庁の税務調査を受けたのが千葉県木更津市にある「コストコホールセールジャパン」です。
申告漏れと判断した内容は、「不課税取引」と「非課税取引」の税法上区分の混同、外国人に対する「免税販売」とされています。
「不課税取引」とは、給料や寄附、贈与などの事業者が事業として対価を得ない取引のことで、「非課税取引」とは、土地や有価証券、商品券の譲渡など課税対象とはされない取引や、社会政策的配慮から消費税が課税されない取引のことです。
「不課税取引」と「非課税取引」は、どちらも消費税が課税されない取引という点では同じですが、課税売上割合の計算方法が異なることから取り扱いを分ける必要があります。しかし、コストコ日本法人では一部を混同して計算して申告したとされています。
また、外国人に対する免税販売では、対象とされる商品の要件を一部満たしていないと国税庁が判断し、消費税およそ3億円の申告漏れを指摘しました。
外国人に対する免税販売の要件は、以下のとおりです。
- 通常生活に必要とされるもの(転売や国内での消費目的での販売は対象外)
- 商品の販売時には購入者のパスポートを確認する(日本に入国後6カ月以上経過した外国人は対象外)
今回のコストコホールセールジャパンの申告漏れに関しては、これらの内容を考慮した上で、ミスや税額の計算間違いなどで課せられる「過少申告加算税」で対応する見通しです。
しかし、納めるべき税金を故意に隠蔽したり、意図的に嘘の申告をしたりなどの行為が明らかになった場合には、「過少申告加算税」ではなく、よりペナルティの重い「重加算税」が課税されることになります。