子役やモデル、最近ではYouTube等の配信により未成年の子どもでも収入を得ることがありますが、確定申告は何歳から必要なのでしょうか。実際のところは年齢は関係なく、一定の収入があれば未成年の子どもでも確定申告が必要です。今回は確定申告が必要な条件や代理で親が手続きできるのか、など詳しく解説していきます。
確定申告とは
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得額と所得税額を計算して国に報告する手続きのことです。「収入」は自分の手元に入ってくるお金のことを指し、「所得」はその収入から経費等を差し引いて計算します。つまり、確定申告は1年間で入ってきた収入から、その年に使った経費、医療費、保険料など、さまざまな費用を差し引いて所得を計算し、報告する手続きです。
確定申告をすることにより国は申告者の所得税を、自治体は住民税を確定することができます。原則、翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告を行い、計算した所得税を申告期限と同様の3月15日までに納付します。源泉徴収などによって必要以上に税金を納めていた場合は、確定申告をすることによって納めすぎた税金が還付されることがあります。
会社員やアルバイトの人は、勤務先の会社が年末調整という形で代わりに手続きしてくれるため確定申告は不要ですが、個人事業主やフリーランスの人は自身で確定申告を行う必要があります。
しかし条件によっては会社員やアルバイトの人でも確定申告が必要な場合もありますし、個人事業主やフリーランスの人でも確定申告不要だったりします。まずは確定申告の対象者となる条件を解説していきます。
確定申告をする必要がない人
会社員やアルバイトの場合
個人事業主やフリーランスの場合
会社員やアルバイトの場合、勤務先の会社が年末調整で所得額の申告・納税してくれるため、基本的に確定申告の必要はありません。しかし副業をしている場合など、会社員やアルバイトでも例外的に確定申告が必要な人もいるので、この後詳しく解説していきます。
個人事業主やフリーランスの場合、多くの人は確定申告を個人で行う必要がありますが、年間の所得が48万円以下の人は確定申告をする必要がありません。
確定申告は所得税額を計算する際に、基礎控除額を所得から引くことができます。基礎控除はすべての納税者が無条件で所得から引くことができる控除ですが、その基礎控除の額は48万円です。つまり所得が48万円以下の場合は、基礎控除の48万円を引くと所得税額は0円になるため確定申告が不要となります。
確定申告をする必要がある人
会社員やアルバイトの場合
・給与の年収が2,000万円を超える人
・年の途中で退職し、その後転職しなかったため年末調整をしていない人
会社員以外の個人事業主やフリーランスの場合
基本的に確定申告が不要な会社員やアルバイトの人でも、上記に該当する人は確定申告が必要です。
副業を行っている場合、収入から経費や控除を差し引いた所得が20万円を超えると確定申告が必要となります。
また会社員でも年収が2,000万円を超える場合は会社で年末調整の対象にならないので、自身で確定申告をする必要があります。
年の途中で退職した場合、所属していた会社が年末調整を行うことはありません。その年内に他の会社へ転職すれば、転職先の会社が年末調整を行ってくれますが、転職しなかった場合は自分で確定申告をする必要があります。
会社員をはじめ、アルバイトなどで2カ所以上から給与をもらっている場合も確定申告が必要となることがあります。
2カ所以上で掛け持ちしていると、ほとんどの場合、勤務時間が長く給与も多い方の勤務先が年末調整をすることになります。年末調整は1カ所でしか受けることができないので、その場合、年末調整をされなかった方の所得について確定申告をする必要があります。なお、掛け持ちしていても合計年収が103万円以下の場合や、103万円超であっても、掛け持ち先の年収が20万円以下であれば確定申告の必要はありません。
また、個人事業主として所得を得ている場合は基本的に自身で確定申告を行う必要があります。
確定申告が必要な年齢
確定申告は年齢に関わらず手続きする必要があります。そのため、「確定申告をする必要がある人」に該当すれば、未成年の子どもでも確定申告をする必要があります。
例えば子どもが事務所に所属せずに個人事業主としてYouTubeやタレント活動をしている場合は、年間の所得が48万円を超えれば確定申告をする必要があります。または事務所に所属していても個人事業主として契約している場合も同様に所得が48万円を超えれば確定申告をする必要があります。
未成年の子どもの確定申告は親が代理で手続き可能
子どもが未成年の場合は、親が代理で確定申告を行うことができます。
基本的に確定申告の手続きができるのは、申告者本人か税理士のみです。しかし申告者が未成年の場合は親が子どもの財産を管理する権利があるため、親が代わりに確定申告の手続きをすることが可能となります。
子どもが確定申告をする際の注意するべき点
親が代わりに確定申告を行うことができますが、確定申告で算出された所得税は、子どもの財産から支払わなければならないという点に注意が必要です。
親が代わりに税金まで支払ってしまうと贈与税の対象となります。そのためあくまで子どもの確定申告は代理で手続きし、税金を納める際は申告者の名義本人のお金から支払うということが重要なポイントです。
子どもが確定申告をしないとどうなるのか
子どもかどうかに関わらず、確定申告をしなかった場合ペナルティを課される可能性があります。
確定申告の期間は原則として毎年2月16日~3月15日です。期間を過ぎると本来の税金に加えて「延滞税」が課されます。さらに無申告が悪質であったと判断されれば「無申告加算税」も加えられる可能性があります。
もし確定申告を忘れていたのであれば、期限を過ぎていても申告をする必要があるので、なるべく早く確定申告するようにしましょう。
延滞税
延滞税は、税金が期限内に納められなかった場合に課される税金です。
計算方法は下記です。
②納付すべき本税の額×延滞税の割合×日数(2月を経過する日の翌日から完納の日)÷365
①の金額+②の金額=延滞税の額(100円未満は切り捨て)
延滞税の割合(令和3年1月1日以後/年)
納期限の翌日から2カ月を経過する日まで | 納期限の翌日から2カ月を経過した日以後 |
---|---|
・7.3% ・延滞税特例基準割合+1% どちらか低い方 |
・14.6% ・延滞税特例基準割合+7.3% どちらか低い方 |
延滞期間が2カ月を超える部分と超えない部分でかかる税率が変わってきます。
延滞税特例基準割合とは、国が制定した銀行の新規の短期貸出約定平均金利を元にした割合で、財務大臣が各年の前年の11月30日までに告示します。令和4年1月1日~令和5年12月31日までの延滞金特例基準割合は1.4%です。
例として、納付期限:令和5年3月15日 税額:5万円 を令和5年7月31日に納付した場合で計算してみましょう。
①税額5万円×2.4%(延滞税特例基準割合+1%)×61日÷365=200.5円 端数処理により200円
②税額5万円×8.7%(延滞税特例基準割合+7.3%)×78日÷365=929.5.6円 端数処理により929円
①+②=1,129円 端数処理により1,100円
以上の計算により延滞税は1,100円となります。
無申告加算税
無申告加算税は以下の割合が、もとの納付税額に加算されます。
・50万円を超える部分は20%
ただし、期限を過ぎた場合でも次の要件に該当する場合は無申告加算税が課されません。
2.期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること
一定の条件とは、下記の(1)(2)いずれにも該当する場合です。
(2)その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重課税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
まとめ
確定申告では年齢による区別はないため、未成年の子どもでも確定申告が必要な所得があれば申告しなければいけません。未成年の場合、親が代理で手続きすることがほとんどだと思いますが、あくまで「手続きを代理で行う」という点がポイントで、申告者本人のお金で納税するという点に注意しましょう。