総務省の発表によると2023年1年間の全国消費者物価指数は変動が大きい生鮮食品を除き2022年より3.1%上昇したことが分かりました。上昇は2年連続で、1982年の第2次オイルショック以来41年ぶりの高い伸び率を記録しました。
2023年の物価上昇とその影響とは?
そもそも消費者物価指数とは、価格に幅がある商品を標準化して、その平均的な価格の値動きを数値化したものです。簡単にいうと、大きな買い物かごに様々な商品をつめ、ある時点の買い物かごにつまった価格を100(基準時)とし、基準時と比べて価格がどのように変化しているのかを数値化したのが消費者物価指数です。詳しくは「10年間で物価は上がった?下がった?直近10年間の物価変動について解説」をご覧ください。
2023年の物価上昇は、主に原材料費の高騰と円安が原因とされており、その影響で食料品や家事用品など幅広い品目で価格が上昇しました。
特に注目されるのは、生鮮食品を除く522品目のうち、約90%にあたる455品目が値上がりした点です。これは、日本経済における広範な物価上昇を示唆しています。
なかでも特に家計に大きな影響を与えたとされるのが「生鮮食料品を除く食料」の価格の上昇です。たとえば、卵の価格は28.7%、外食のハンバーガーは14.6%など前年と比較して大きく上昇しました。また、昨今のインバウンド需要増加や人手不足を背景に宿泊料やタクシー代などのサービス価格も上昇しています。
今回の消費者物価指数は日銀の金融政策に影響を与える可能性も
全国消費者物価指数は日銀の金融政策にも大きな影響を与えるとされており、この発表を受けて1月もしくは3月に開催予定の日銀金融政策決定会合で、ゼロ金利解除が行われるのではないかと見る向きもあります。ただ一方で、日銀は賃金上昇に伴う「好循環」をゼロ金利解除の条件としており、これから3月に向けて多くの企業が春闘を通じて、2023年に続き2024年度も大幅な賃上げを決めるかどうか、今後の数カ月が日本経済における重要な分岐点となります。
日銀のゼロ金利解除は為替や株価に大きな影響を与えるため、その動向にも注目が集まっています。