年金手帳はひとつしかないはずですが、中には複数の年金手帳を持っている人がいます。年金手帳を複数持っているとどのような問題があるのでしょうか。
またそもそもなぜ年金手帳が複数手元にあるのでしょうか。この記事では年金手帳が複数手元にある理由とその対処法について解説します。
年金手帳の種類
複数の年金手帳があることが問題かどうか判断する前に、年金手帳の種類について解説しておきます。
青色の年金手帳
1997年1月以後に被保険者資格の取得手続きを行った人は青色の年金手帳を持っているはずです。それ以降、現在まで年金手帳の色は青色に統一されています。
発行者が「日本年金機構」の場合、2010年1月以後に発行された年金手帳、発行者が「社会保険庁」なら1997年1月から2009年12月に発行されています。
オレンジ色の年金手帳
1974年11月から1996年12月までに被保険者資格取得のための手続きを行った人は、オレンジ色の年金手帳を持っています。発行者は社会保険庁です。私は2024年時点で48歳なので、オレンジ色の年金手帳を持っています。
それ以外の年金手帳
他にも茶色・水色・薄橙色の年金手帳があります。1960年10月から1974年10月の間に被保険者取得手続きを行った人が、これらの色の年金手帳に該当します。年金手帳が5年おきに刷新されているので、水色や薄橙色の年金手帳を持っている人もいるはずです。
年金手帳は2022年4月に廃止
年金手帳は2022年4月に廃止され、マイナンバーに紐づけられています。そのため個人の年金情報はマイナンバーカードやインターネットを通じて確認できるようになります。
マイナンバーカードは、個人の基本情報や年金情報を一元管理するためのカードです。インターネットを利用する場合は、専用のウェブサイトやアプリを通じて年金情報を確認できます。
マイナンバーカードがあれば、年金手帳がなくても年金に関する情報を確認できます。そのため年金手帳は廃止されているわけです。2022年4月以降は年金手帳ではなく、「基礎年金番号通知書」が発行されます。そのため現在は年金手帳の再発行はできません。
年金手帳が手元に複数ある理由
年金手帳が複数あるのには理由があります。ここではその理由を2つ解説します。
年金手帳を再交付したあとに以前の年金手帳が見つかった
年金手帳は、私たちが年金を受け取るための大切な書類です。しかし時には年金手帳を紛失してしまったり、なくしてしまったりすることがあります。その場合、今までは再交付を受けられました。
再交付とは、紛失した年金手帳の代わりに新しい年金手帳を発行してもらうことです。再交付を受ける際には、身分証明書や居住地の証明書などの書類が必要となります。
しかし再交付を受けた後に、以前の年金手帳が見つかることもあります。これは再交付の手続きを進めている最中に見つからずに新しい年金手帳を発行してしまったり、再交付手続きを終えた後になって以前の年金手帳が見つかったりすることです。
その結果、手元には複数の年金手帳が存在することになります。同じ色の年金手帳がある場合は、ほとんどがこのケースです。
ただし複数の年金手帳を持っていても、実際には1つの年金手帳しか使用することはできません。再交付を受けた後に前の年金手帳が見つかった場合でも、新しい年金手帳を使用する必要があります。
異なる年金制度に加入していた
年金手帳が手元に複数ある理由には、異なる年金制度に加入していたためというケースがあります。日本では、国民年金や厚生年金、共済年金など、複数の年金制度が存在します。
これらの年金制度は、それぞれ異なる組織や団体が運営しており、加入条件や手続きなども異なっているわけです。以前はこれらの年金制度は、別の年金制度として管理されていました。そのため別の年金番号を用いて管理し、区別されていました。
以前は年金制度が区別されていたので、複数の年金手帳を持っている可能性はあります。違う色の年金手帳を持っている人のほとんどはこのケースだと言えるでしょう。この場合は大きな問題になる可能性があります。
年金手帳が複数ある人は注意が必要
年金手帳が複数ある人は注意が必要です。年金手帳が複数ある場合は、「基礎年金番号」「記号番号」を確認する必要があります。
「基礎年金番号」「記号番号」が同じ場合
青色の年金手帳の場合は「基礎年金番号」、オレンジ色の手帳の場合は「記号番号」という表記があります。同じ色の手帳を持っていて、番号が同じである場合はとくに問題ありません。
どちらか一方を処分すれば問題なく、年金手帳を活用できます。ただしそのまま捨てるのはNGです。再利用できないようにした状態で処分しましょう。
「基礎年金番号」「記号番号」が違う場合
基礎年金番号と記号番号が複数の年金手帳で異なる場合、対応が必要です。基礎年金番号とは、国民年金や厚生年金などの基礎年金制度において、個人を識別するための番号になります。一方、記号番号は、各年金事務所が個々の年金手帳を管理するために付けられる番号です。
基礎年金番号と記号番号が異なる場合、年金制度の運用において情報の不整合が生じる可能性があります。たとえば基礎年金番号が異なると、年金の受給手続きや年金の支給額の計算に影響が出ることもあるかもしれません。
記号番号が異なると、年金手帳の管理や年金事務所との連絡において混乱が生じる可能性があります。そのため基礎年金番号と記号番号が違う場合は、対処が必要となります。
年金手帳が複数ある場合の対処法
実際に年金手帳が複数ある場合は対処が必要です。ここでは年金手帳が複数ある場合で、対処が必要なケースについて解説します。
名字が違う年金手帳が複数ある場合
名字が違う年金手帳が複数ある場合、対応が必要です。年金手帳は、日本の社会保険制度において重要な書類であり、将来の年金受給に関わるものです。しかし、結婚や離婚、改姓などの理由で、名字が変わることがあります。その結果、同じ人物が複数の年金手帳を持ってしまうことがあります。
もし、名字が違う年金手帳が複数ある場合は、勤務先や年金事務所に相談することが重要です。とくに年金事務所では、名字の変更に関する手続きや、複数の年金手帳の統合についてのアドバイスをしてくれます。
通常、名字が変わった場合は、旧姓の年金手帳を新しい名字に変更する手続きが必要です。これにより、将来の年金受給において混乱が生じることを防げます。
また、複数の年金手帳を統合する場合は、勤務先や年金事務所に手続きを依頼する必要があります。年金事務所では、適切な手続きを案内してくれますので、まずは相談してみましょう。
名字が違う年金手帳を持っている場合は、早めに対応することが重要です。年金受給において問題が生じないよう、勤務先や年金事務所の指示に従って手続きを進めましょう。
「基礎年金番号」「記号番号」が違う場合
基礎年金番号と記号番号が異なる場合は、対応が必要になります。厚生年金加入者の場合は勤務先の社会保険担当に問い合わせましょう。
それ以外の場合は、年金事務所に連絡して対応する必要があります。年金事務所では、正確な情報をもとに年金手帳の情報を修正し、適切な年金の受給手続きや支給額の計算が行われるようにします。
基礎年金番号と記号番号は、個人の年金制度における重要な情報です。異なる場合には、早めに年金事務所に連絡して対応することが大切です。また手続きが終了したとしても、念のため、年金手帳は廃棄しないで持っている方がいい。
まとめ
ここまで年金手帳が複数ある場合の説明と、その中で問題となるケースについて解説してきました。年金手帳が複数ある場合で問題になるケースに当てはまる方は、早めに対処するようにしましょう。