政府はガソリンや灯油など燃油価格の高騰を抑えるための補助金について、期限を迎える4月末以降も継続する方向で検討していることが2月16日に分かりました。延長の期間は夏ごろまでを視野に調整するとしており、食品をはじめ物価全般の上昇が続いていることから家計支援を継続する必要があると判断したとしています。
補助金なしでは200円超え間近?どうなるガソリン代
2022年1月に開始されたガソリン補助金制度は、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油価格の高騰を背景に導入されました。この政策の主な目的は、ガソリン価格の急激な上昇を緩和し、家計への負担を軽減することにあります。政府はこれまでに6回にわたり、制度の延長を決定してきました。その結果、レギュラーガソリンの全国平均価格は、補助金の助けを借りて1リットル当たり175円程度に抑えられています。
経済産業省によると、2月13日時点でのレギュラーガソリン価格(全国平均)は1リットル当たり174.4円であり、補助金がなければその価格は194.6円に達していたとされており、約20.2円分の価格抑制が行われています。補助金制度は、物価高と実質賃金の低下に直面する国民の負担を軽減し、経済的な安定を図る上で重要な役割を果たしています。
しかし、この補助金制度には複数の問題が存在します。まず、政府の財政負担が増大しており、既に合計6.4兆円に達していることです。さらに、ガソリン価格の抑制は市場の価格メカニズムを歪め、脱炭素政策に逆行する可能性があるとされています。ガソリン補助金制度の延長は、一時的な措置として始まったものが恒久化するリスクをはらんでおり、政府が進める脱炭素政策との整合性を欠くことに繋がります。
政府は、ガソリン補助金制度の出口戦略として、ガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除を行うことで、補助金制度の終了後もガソリン価格の急激に上昇しないように引き続き検討していくとしています。しかし、この凍結解除には法改正が必要であり、時間を要する問題です。
ガソリン補助金制度の延長は、一時的な経済支援策としての価値がありながらも、長期的な財政健全性や環境政策との兼ね合いを考慮する必要があります。政府は、補助金制度の段階的な縮小や終了に向けた明確な計画を立てることが求められます。