相続税対策のために、現金を銀行に預けず自宅に置く「タンス預金」をされている方は注意が必要です。自分自身が現金を管理しているため、銀行や税務署はその場所と金額がわからず課税されないと考えているかもしれません。しかし、実はほぼ間違いなくバレてしまいます。
タンス預金は相続税対策にならない!罰則で税金が高くなる可能性も
税務署はプロですので、タンス預金のような安易な税金対策は通用しません。仮に棚の奥深くに隠したとしても、高確率で税務調査時に発覚します。
国税庁には、全国524の税務署と12の国税局が持つ納税者に関するすべての情報を管理している「KSKシステム(国税総合管理システム)」があります。このシステムに保管されている確定申告や源泉徴収票の内容から、収入や所得は把握されているのです。
また、税務調査時には被相続人(故人)だけでなく、相続人やその家族の預金通帳も10年分遡って確認します。もし普段はない多額のお金が引き出されていた履歴があれば、タンス預金に移したと疑われてしまいます。他にも、税務官が自宅まで来て金庫や引き出しの中をチェックされたり、支払調書から退職金や保険金、配当金などをタンス預金に移した事実を知られたりするケースもあります。
もしバレてしまうと、相続税額を不当に少なく申告したとして過少申告加算税(10〜15%)や、申告期限より遅れて支払ったとして延滞税(原則7.3%〜14.6%)が追加で課税される可能性があります。さらに、相続財産をわざと隠ぺいしたと判断されれば、過少申告加算税の代わりに、より負担の大きい重加算税(35〜40%)が課税されます。
なお、遺産を相続したら、必ずしも確定申告が必要とは限りません。相続税の申告は、遺産の総額が基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合に必要です。
また、相続に際した所得税の確定申告は原則不要ですので安心してください。ただし、相続人自身が別の理由で確定申告をしなければいけなかったり、被相続人の代わりに確定申告(準確定申告)をしたりする場合は、相続財産もあわせて申告する必要があります。