JOC(日本オリンピック委員会)は3月6日に、東京国税局から収支の計上方法など税務上の誤りについて指摘されたことを発表しました。
国税局からは、およそ20億円の追徴課税を受けたとされており、すでに修正申告は行っていると説明しています。
JOC側は適切な税務管理をしていたと主張
国税庁は、JOCに対して2018〜2022年度までの5年間における法人税などの申告漏れを指摘しました。
具体的には、マーケティング収支の誤った計上などで合わせておよそ18億円の申告漏れがあるとし、ペナルティとして上乗せされた2億円ほどの「過少申告加算税」と合わせておよそ20億円の追徴課税を徴収したとのことです。
追徴課税とは、本来納めるべき税額が適切に納税されていなかった場合に、その差額を徴収することを指します。詳しくは「追徴課税とは?請求項目と払えない場合の問題点、実例を解説」をご覧ください。
また、今回受けた指摘は、収益を計上すべき年度や、損金の計上方法についての内容であることから、JOCの北野貴裕常務理事は「税務上の問題は無いと認識しており、東京国税局との見解には相違がある」などと不満を感じている発言もみられました。
東京国税局と見解に相違があると主張した理由については、JOCの税務管理は、各年度において監事および独立監査人による会計監査を受けていることや、法人税などの計算は税理士法人に委託し、収支の計上方法などについて適正な見解を得ていることからのようです。
なお、2022年度におけるJOCの決算額規模は、以下のとおりです。
∟およそ153億5,000万円
・経常費用
∟およそ134億6,000万円
・正味財産の期末残高
∟およそ106億9,000万円
・法人税などの総額
∟およそ1億8,000万円
今回の追徴課税を受けてJOCは、申告漏れが指摘されたマーケティング収益について「東京五輪とは全く関係ない」と説明し「パリ五輪などの国際大会に向けた選手強化事業が影響を受けることがないよう運営する」としています。
また、今回JOCの税務上の誤りが発覚したのは、国税庁による税務調査がきっかけでした。
税務調査は、所得税や法人税などを納めている納税者が正しく税務申告を行っているのかを調査することで、必ずしも法人だけが対象となるわけではありません。
個人事業主や副業で20万円以上の所得がある会社員も調査の対象となります。
2024年の確定申告の申請期間は2月16日(金)~3月15日(金)までです。期限を過ぎても申告はできますが、加算税が課されることがあります。期間内に適切な申告を心掛けましょう。