2023年4月1日から新年度がはじまります。4月にはいくつかの法改正が行われ、私たちの生活に影響する重要な制度改正も行われます。そこで今回は、4月から変わる制度改正、法律についてまとめます。
4月からの暮らし なにが変わる?
労働基準法改正|月60時間超の時間外労働の割増賃金率が引き上げ
4月から中小企業における時間外労働の割増賃金率が引き上げられます。
割増賃金率の引き上げは、2010年に労働基準法が改正され、月に60時間を超える時間外労働に大企業は50%、中小企業は25%の割増賃金率が課せられていました。ただし、このときには事業者に大きな影響を与えかねないとし、時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ適用は、大企業のみでした。
猶予期間が設けられていた中小企業ですが、2018年の労働基準法改正により、猶予措置が廃止されることが決定しました。2023年4月からは中小企業も、月60時間以上の割増賃金率が50%に統一されます。
労働基準法改正|デジタルマネーによる賃金の支払いが解禁
2023年4月から給与のデジタル払いも解禁されます。労働基準法の一部改正により、給与をスマートフォンの決済アプリや電子マネーで振り込むことができるようになり、今まで銀行など金融機関に振り込んでいた給与のデジタル払いが可能となります。
厚生労働省は2022年10月に労働政策審議会分科会にて、電子マネー・決済アプリなど資金移動サービス業者(資金移動業者)への支払いを可能とする省令改正案を了承し、2023年4月から法を改正します。
またデジタル給与を銀行口座に戻して「現金」として引き出すことも可能で、3月31日時点で、PayPayが「デジタル給与」事業に参入することが明らかになっており、早ければ4月上旬にも厚生労働大臣に指定申請する方針のようです。
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デジタル給与払いで何が変わるの?ソフトバンクはPayPayで支給も?2023年スタート予定【3分かんたん確定申告・税金チャンネル】
育児・介護休業法改正|育児休業の取得状況の公表を義務付け
男性の育児休業取得率の公表義務化についても、2023年4月1日からスタートします。対象となる企業は年に1回公表しなければなりません。育児休業取得率等の公表義務化の対象となるのは、常時雇用する労働者が1000人を超える企業です。常時雇用する労働者は、雇用の実態を見て判断され、期限なく雇われている場合は、常時雇用する労働者になります。そのためアルバイトやパート従業員も対象となります。
公表内容など詳しい情報については「男性の育児休業取得率の公表義務化!公表すべき内容と注意点について解説」をご覧ください。
健康保険法改正|出産育児一時金増額
【ビスカス公式YouTubeチャンネル】2023最新版!出産で受け取れるお金より
出産育児一時金は、子供を出産すると1児につき42万円が支給される手当金です。協会けんぽや国民健康保険など、加入している健康保険より支給されます。そのため、出産育児一時金は会社員、個人事業主、フリーランスなど働き方に問わず、誰でも受け取ることができます。
出産育児一時金については、2023年4月以降の出産に対し、給付額が42万円から50万円へ増額改定されることが決まっています。多胎出産(双子、三つ子など)の場合は、多児数に応じて支給額が決定されますので、2023年4月より、双子の場合は「50万円×2=100万円」となります。
相続土地国庫帰属法施行|相続土地国庫帰属制度が開始
2023年4月27日に、相続土地国庫帰属法という新法が施行される予定です。相続などで土地を取得した相続人が、条件を満たした場合に、その土地を国に引き継ぐことができる制度です。
【対象になる条件】
・相続又は遺贈で所有した土地(購入した土地は対象外)
・建物が無い更地
上記以外にも「崖がない」「隣地との境界が明らかでない」「住宅ローンなどの担保になっていない」など、細かい条件をクリアする必要があります。
これまでは、優良な資産を相続し要らない土地だけを手放すには、土地を譲り受けてくれる人を自分で探さなければなりませんでした。しかし、相続土地国庫帰属法の施行により、国の審査に合格した土地については、負担金を納付することで国に引き取ってもらえるようになります。
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【2023年4月スタート】「相続土地国庫帰属制度」で不要になった土地を手放せる?【3分かんたん確定申告・税金チャンネル】
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