自転車とスマートフォンがあれば、好きな時間と場所で配達収入を稼げるのがウーバーイーツです。対象エリアを拡大し何かと話題のウーバーイーツですが、配達収入の仕組みや税金など、副業を始める方向けの情報はまだ多いとはいえません。そこで、ウーバーイーツ配達員を始める際に知っておきたい知識を紹介します。
ウーバーイーツ配達員として副業を始める方法
ウーバーイーツ配達員の業務形態と具体的な始め方について説明します。
ウーバーイーツ配達員は個人事業主
そもそもウーバーイーツの配達業務は雇用契約でないため、給与所得ではありません。配達収入は配達件数に応じた完全出来高制であり、個人事業主となります。そのため、ウーバーイーツ配達員は毎年、確定申告をしなければなりません。
配達パートナーとして登録する
ウーバーイーツ配達員を始めるためには、配達パートナーとして事前に登録する必要があります。詳細な手順は以下の通りです。
(1)オンライン登録
①配達パートナー登録サイトを開く
次のURLにアクセスします。
https://www.uber.com/a/signup/drive/deliver
②アカウントを作成する
メールアドレス、氏名、パスワード、電話番号、配達希望都市(東京、大阪、福岡など)を入力します。また、任意で、後述する紹介コードの入力もできます。
③配達に使用する車両を選択する
自転車、原付バイク、事業用の軽自動車またはバイク(125cc超)のいずれかの車両を選択します。なお、自家用車(白地のナンバープレート)は使用できません。
④必要書類を用意する
プロフィール写真および上記③の車両に応じた次の書類を用意します。
- 自転車:身分証明書
- 原付バイク:運転免許証、ナンバープレートの写真、自賠責の証明書
- 事業用の軽自動車またはバイク(125cc超):運転免許証、車検証または軽自動車届出済証、自賠責の証明書、自動車保険または共済保険の証明書、ナンバープレートの写真
⑤必要書類をアップロードする
上記④の必要書類をアップロードし、パートナーセンターで書類の承認・不承認を確認します。
⑥銀行情報を登録する
本人名義の口座のみ登録が可能であり、ゆうちょ銀行、信用金庫および各種ネット銀行以外の銀行が選択できます。なお、ウーバーイーツでは三菱UFJ銀行と三井住友銀行を奨励しています。
⑦Uber Driver アプリをインストールする
スマートフォンに配達に使用するUber Driver アプリをインストールします。
(2)パートナーセンターで登録を完了させる
スマートフォン、キャッシュカードなどを持参の上、パートナーセンター(営業時間:午後12時~午後6時)で30~40分の説明を受けます。アカウントを有効化し、配達用バッグを受け取ると、登録が完了します。
配達開始前に事前準備をする
配達用バックのほかに、おもに次の道具が必要になります。
①交通事故抑止のためのアイテム
- ヘルメット
- 反射材用品
- LEDライト
- 明るい目立つ色の衣服
②あると便利なアイテム
- スマートフォンスタンド(車両に備え付けるタイプ)
- スマートフォン用の予備のバッテリー
- レインコート(突然の雨に)
- 配達用バッグの中に入れる注文品を固定するためのアイテム
- 配達用バッグに入れるお料理の温度を保つためのアイテム
ウーバーイーツ配達員のビジネスモデル
ビジネスモデルは隙間時間に配達収入が得られるのが特徴であり、ウーバーイーツ配達員が知っておくべき内容について説明します。
配達業務の基本的な流れ
配達業務の全体像は次の図の通りになります。
- ①配達希望エリアに到着したら、スタートする
- ②Uber Driver アプリをオンラインにする
- ③配達リクエストを受ける(または拒否する)
- ④レストランに到着する
- ⑤レストランでピックアップ(料理の受取り)を完了する
- ⑥注文者への配達を開始し、目的地(自宅など)に到着する
- ⑦注文者に料理を渡す
配達員の入金までの流れ
配達収入が配達員の手元に入金されるまでの流れは2つに区分されます。
①注文者が料理代金をクレジットカード決済した場合
週単位で未収分の配達収入を計算します。月曜日の午前4時締めで、水曜日以降に口座に振り込まれます。
②注文者が料理代金を現金払いをした場合
料理の代金と配達手数料を受け取り、本人の配達収入を差し引いた残額をウーバーイーツにクレジットカードで返金します。
③①と②が混在している場合
①の未収分の配達収入と②のウーバーイーツに返金分の差額を清算します。
配達員の配達収入の計算体系
配達収入の計算体系は次の通りになります。
①基本料金
基本料金は「受取料金+受渡料金+距離料金」になります。具体的な金額は表の通りです。
エリア | 都道府県 | 受取料金 | 受渡料金 | 距離料金 |
---|---|---|---|---|
関東 | 東京都 | 265円 | 125円 | 60円/km |
神奈川県 | 250円 | 120円 | ||
埼玉県 | 265円 | 125円 | ||
千葉県 | 265円 | 125円 | ||
中部 | 愛知県 | 215円 | 105円 | |
近畿 | 大阪府 | 215円 | 105円 | |
京都府 | 215円 | 105円 | ||
兵庫県 | 215円 | 105円 | ||
九州 | 福岡県 | 215円 | 105円 |
②サービス手数料
ウーバーイーツに支払う「サービス手数料=①基本料金×10%」が差し引かれます。
ここで、配達収入の具体例を見ていきましょう。
例)東京都で料理の注文を受けて、レストランから2km先の目的地に1件配達した場合
- 基本料金:受取料金265円+受渡料金125円×1件+距離料金60円×2km=510円
- サービス手数料:基本料金510円×10%=51円
- 配達収入:基本料金510円-サービス手数料51円=459円
③インセンティブ
インセンティブは3種類あります。
- ブースト:注文の多い時間や場所において、基本料金に一定の倍率(1.1倍、1.4倍など)で増額する仕組み
- クエスト:配達件数に応じて追加で報酬が支払われるインセンティブ
- オンライン時間インセンティブ:指定時間の「基本料金-サービス手数料+ブースト」の金額が一定額に満たなかった場合の差額分
配達員が効率よく稼ぐ方法
インセンティブの獲得が効率よく稼ぐポイントになります。ブーストとクエストはアプリ内で事前に確認可能です。
特にクエストは配達収入を増やすのに役立ちます。たとえば、「4回配達完了で400円を獲得、8回配達完了で1,000円を獲得、12回配達完了で1,600円」というクエストがあるとします。追加報酬は配達完了4回で400円、8回で600円追加(累計1,000円)、12回で600円追加(累計1,600円)になります。
紹介キャンペーンを利用する方法もある
紹介キャンペーンにより知り合いをウーバーイーツ配達員に紹介すると特別報酬が稼げます。条件は次の通りです。
- 知り合いがウェブサイトから登録する際に、紹介者の紹介コードを入力する
- 知り合いがアカウント作成開始日から30日以内に初回配達を完了する
ウーバーイーツ配達員の税金の計算方法
「事業所得」または「雑所得」になる
ウーバーイーツの配達収入は事業所得または雑所得になり、「総収入金額-必要経費」で計算します。配達員の仕事が本業や生活費を稼ぐ目的の場合、事業所得になる可能性は高くなります。一方、配達収入が小遣い稼ぎなどの位置づけの場合、雑所得になります。
総収入金額の計算方法
配達収入が総収入金額となり、配達完了時点で計上します。ただし、注文者の現金払いによる現金受取額のうち、ウーバーイーツへの返金分は収入金額に含めません。たとえば、配達員が現金で1,200円受け取ったとします。配達収入が500円の場合、収入金額は同額(500円)であり、返金分700円はウーバーイーツから預かっているお金になります。
また、配達用バックの支給に伴う保証金4,000円が差し引かれて入金されますが、あくまでも収入金額は差し引かれる前の配達収入になります。
必要経費の範囲と計算方法
配達業務に使用する費用が必要経費になります。おもな項目は次の通りです。
- 自転車や原付バイクの購入費用
- ガソリン代
- スマートフォン代
- 通信費
- 保冷バッグなどの消耗品
- 自転車や原付バイクのレンタル料
※配達員バックの保証金4,000円は必要経費になりません。
必要経費の計算方法で注意点は2つあります。
- (1) 10万円以上の消耗品は全額必要経費に計上できない
原付バイクや電動自転車が10万円以上の場合、購入費用を複数年にわたって必要経費に計上する必要があります。あくまでも購入費用が全額必要経費に計上できるのは購入費用が10万円未満です。ただし、事業所得として青色申告をする場合、全額必要経費に計上できる範囲が30万円未満まで拡大されています。 - (2) 事業割合を求める
事業割合はプライベートを含めた使用した全体のうち、事業用に使用した割合です。ガソリン代や通信費などのプライベート兼用費用のうち、事業割合に応じた金額が必要経費になります。
まとめ
ウーバーイーツ配達員を始める前に知っておきたい知識は配達収入の仕組みと税金の計算方法になります。いずれもお金と直接関係があるからです。配達員の仕事を本業と上手に組み合わせて、隙間時間を有効活用しましょう。
▼参考URL
- 税理士・税理士事務所紹介のビスカス
- マネーイズム
- 税務/会計
- 個人事業主がウーバーイーツで副業をしたら? 配達員の収入と税金について