給与所得控除ですが、これをマンション経営の節税に役立てているという友人の“サラリーマン大家さん”夫婦がいるのですが……。
マイナンバー制導入で、
給与所得控除を活用した節税が不利に!?
2015/9/29
給与所得控除ですが、これをマンション経営の節税に役立てているという友人の“サラリーマン大家さん”夫婦がいるのですが……。
おそらくそのお友だちは、奥さんを社長とする会社を作り、会社が得たマンションの家賃収入を奥さんの給与として支払っているのでしょうね。“サラリーマン大家さん”の節税策として、非常にポピュラーな方法のひとつです。
ご主人が会社勤めのかたわら個人でマンションを経営するとなると、給与と不動産所得と合わせた年間所得は相当な金額となり、所得税・住民税の負担も重くなってしまいます。
そこでマンション経営のための会社をつくり、家賃収入はその会社に入るようにして、ご主人の収入を減らすわけです。一方の会社は、社長である奥さんに家賃収入を給与として支払うのですから、夫婦としての年収は変わりません。
もちろん奥さんも、受け取った給与に応じて所得税・住民税を払う必要がありますが、ご主人の給与と不動産所得を合わせた総所得に比べれば金額ははるかに少ないので、税率をかなり抑えることができます。
しかも、奥さんの給与からは給与所得控除が差し引けるので、会社が直接法人税を支払うよりも高い節税効果が期待できるわけです。
ご主人が会社勤めのかたわら個人でマンションを経営するとなると、給与と不動産所得と合わせた年間所得は相当な金額となり、所得税・住民税の負担も重くなってしまいます。
そこでマンション経営のための会社をつくり、家賃収入はその会社に入るようにして、ご主人の収入を減らすわけです。一方の会社は、社長である奥さんに家賃収入を給与として支払うのですから、夫婦としての年収は変わりません。
もちろん奥さんも、受け取った給与に応じて所得税・住民税を払う必要がありますが、ご主人の給与と不動産所得を合わせた総所得に比べれば金額ははるかに少ないので、税率をかなり抑えることができます。
しかも、奥さんの給与からは給与所得控除が差し引けるので、会社が直接法人税を支払うよりも高い節税効果が期待できるわけです。
なるほど、そういうことだったんですね。
でも、残念ながらこの方法はもう通用しにくくなりそうです。お友だちに別のやり方を考えるように勧めたほうがいいと思いますよ。
えっ、どういうことですか?
じつはこのやり方は、会社と奥さんが社会保険を負担していない場合に限って通用する節税策なんです。たとえば会社に入る月々の家賃収入が10万円、会社から奥さんへの給与も同じ10万円だったとすれば、年間収入は120万円になります。この場合、奥さんの年収は社会保険の被扶養者のボーダーラインである130万円を下回るので、社会保険は負担しなくていいと思うかもしれませんよね。実際、“サラリーマン大家さん”が作った会社の多くは、会社も奥さんも社会保険を払っていないはずです。
ところが社会保険制度には、被扶養者であろうとなかろうと、会社の常勤役員は社会保険を負担しなければならないというルールがあります。奥さんが社長の場合、当然ながら常勤役員とみなされるので、本当は社会保険を負担しなければならないのです。
ところが社会保険制度には、被扶養者であろうとなかろうと、会社の常勤役員は社会保険を負担しなければならないというルールがあります。奥さんが社長の場合、当然ながら常勤役員とみなされるので、本当は社会保険を負担しなければならないのです。
奥さんと会社が社会保険を払うと、節税効果はどのように変わるのでしょうか?
それを示したのが下の表2です。たとえば会社の年間所得が300万円、奥さんの給与所得もほぼ同額だったとすると、夫婦合計の所得税・住民税の節税額は、ご主人の課税所得が330万円以上695万円未満で77万9600円、ご主人の課税所得が695万円以上900万円未満の場合は86万9600円となります。かなりの節税効果ですよね。
ところが、これに奥さんと会社の社会保険負担を加えると、ご主人の課税所得が330万円以上695万円未満の場合は25万3016円、695万円以上900万円未満の場合は16万3016円の持ち出しになってしまうのです。
表を見てもわかるように、少なくとも夫の給与所得が900万円以上、不動産所得が300万円以上ないと節税効果は得られません。
また、夫の給与所得がどんなに高くても、不動産所得が多くなればなるほど赤字になりやすい傾向があることもわかります。たとえば、夫の年収が900万円以上でも、不動産所得が1000万円あると年間39万2000円の持ち出しになってしまいます。年収1800万円以上でようやく節税効果が表れるのです。
ところが、これに奥さんと会社の社会保険負担を加えると、ご主人の課税所得が330万円以上695万円未満の場合は25万3016円、695万円以上900万円未満の場合は16万3016円の持ち出しになってしまうのです。
表を見てもわかるように、少なくとも夫の給与所得が900万円以上、不動産所得が300万円以上ないと節税効果は得られません。
また、夫の給与所得がどんなに高くても、不動産所得が多くなればなるほど赤字になりやすい傾向があることもわかります。たとえば、夫の年収が900万円以上でも、不動産所得が1000万円あると年間39万2000円の持ち出しになってしまいます。年収1800万円以上でようやく節税効果が表れるのです。
うーん、せっかく不動産投資をしても、持ち出しになってしまうのではまったく意味がありませんよね。でもなぜ、いままでは多くの会社が社会保険を負担せずに済んだのでしょうか?
ひと言で言えば、社会保険事務所が「大目に見てくれていた」からでしょうね。でも、来年1月のマイナンバー制導入によって、社会保険への加入状況が厳しくチェックされるようになることは間違いありません。奥さんが社長をしている場合は、間違いなく常勤とみなされますから、社会保険を負担せざるを得なくなると覚悟すべきでしょうね。
さらに、社会保険を負担しても、不動産経営で黒字が保てるのかどうかをしっかりシミュレーションしたほうがいいと思います。
さらに、社会保険を負担しても、不動産経営で黒字が保てるのかどうかをしっかりシミュレーションしたほうがいいと思います。
社会保険を負担せずに済む方法はまったくないのでしょうか。
よく行われている対策のひとつが、奥さんを社長ではなく取締役にする方法です。たとえば、ご主人を社長に、奥さんを取締役にして、会社からの給与は取締役である奥さんがすべて受け取るようにします。
この場合、ご主人の収入はゼロなので社会保険の負担は発生しませんし、奥さんは社長ではなく取締役なので、社会保険事務所から非常勤とみなしてもらえる場合もあります。その結果、会社もご夫婦も社会保険を負担せずに済むようになるのです。
もっとも、これが認められるかどうかは社会保険事務所の判断次第。場合によっては、取締役とはいえ、収入の大部分を給与でもらっている奥さんが常勤役員の1人とみなされ、社会保険を負担しなければならなくなることもあります。つまり、効果が表れるかどうかはケースバイケースなので、あまりお勧めはできない対策です。
いちばん手っ取り早いのは不動産所得をすべて会社に貯めておく方法です。こうすれば給与払いがまったく発生しないので、社会保険は負担せずに済みますからね。
もちろん、会社の所得にも法人税は掛かりますし、給与所得控除はなくなりますから、あまり大きな節税効果は期待できないかもしれません。
でも、法人税の実効税率は33%なので、ご主人の課税所得が695万円以上(税率33%)であれば、それなりの節税メリットが出る可能性もあります。
この場合、ご主人の収入はゼロなので社会保険の負担は発生しませんし、奥さんは社長ではなく取締役なので、社会保険事務所から非常勤とみなしてもらえる場合もあります。その結果、会社もご夫婦も社会保険を負担せずに済むようになるのです。
もっとも、これが認められるかどうかは社会保険事務所の判断次第。場合によっては、取締役とはいえ、収入の大部分を給与でもらっている奥さんが常勤役員の1人とみなされ、社会保険を負担しなければならなくなることもあります。つまり、効果が表れるかどうかはケースバイケースなので、あまりお勧めはできない対策です。
いちばん手っ取り早いのは不動産所得をすべて会社に貯めておく方法です。こうすれば給与払いがまったく発生しないので、社会保険は負担せずに済みますからね。
もちろん、会社の所得にも法人税は掛かりますし、給与所得控除はなくなりますから、あまり大きな節税効果は期待できないかもしれません。
でも、法人税の実効税率は33%なので、ご主人の課税所得が695万円以上(税率33%)であれば、それなりの節税メリットが出る可能性もあります。
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