今、税務調査でターゲットになる経費は
ズバリ「出張旅費」!
旅費規定を整備して、「正しい節税」を

今、税務調査でターゲットになる経費は  ズバリ「出張旅費」!  旅費規定を整備して、「正しい節税」を

2016/1/14

 
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法人税を下げるために、支出した費用はできるだけ「経費」に。それは、経営者ならば当然考えること。ただし、そのことばかりに頭が向いて、何でもかんでも経費に付けていると、税務調査で痛い目に遭ったりもします。税理士の久野豊美先生は、「今、最も目に付けられやすい経費は、出張旅費です」と指摘します。

【今回の専門家は…】税理士 久野豊美先生(税理士法人Dream24)


実は、経費の税務調査にも“時流”のようなものがあるんですよ。

どういうことですか?

一時期、企業の交際費が膨らんでマスコミなどでやり玉に挙がった時期には、そこが集中的に「狙われ」ました。今は交際費がメインターゲットとはいえませんね。中小会社(資本金が1億円以下で、資本金5億円以上の法人の100%子会社でない法人)の場合は、800万円までの交際費を経費に計上できることになりましたから、そもそも「つつく」部分が減ったという事情があります。交際費の支出に関して、企業にあまりプレッシャーをかけることは、景気の底上げという流れにそぐわない、という思惑が働いているのかもしれません。

そうすると、今“時流”に乗るのは……。

前にこのコーナーでお話ししましたが、経費についてまず税務署が疑うのは、私的な支出が会社に付けられていないか、ということです。その点で、今最も目を向けられているのは「出張旅費」といっていいでしょう。出張に関わる交通費、宿泊費、それに日当などです。

どこかの議員さんが、多額の出張費を架空請求した、というような事件もありましたね。

あれほど露骨ではなくても、ついつい水増しをやってしまうといったケースがあるんですね。当法人のお客さんではありませんが、海外に進出し、現地での“袖の下”を捻出するために、旅費や日当を嵩上げした会社がありました。出張旅費というのは、そうした時に、とりあえずお金を作りやすい「経費」なんですね。しかし、決算で急に旅費などが膨らんだら、間違いなく税務署の調査が入りますから、不正を隠し通すのは困難です。その会社も、重加算税を追徴されることになってしまいました。
その手の事件が起こるたびに、真面目に申告している大半の会社が迷惑している、という現実があるんですよ。旅費などをめぐって、税務調査でシビアなやり取りになることが、以前よりは増えました。

悪意はなくても、「日当が高いではないか」などと指摘されることがあるのかもしれません。金額的な指標みたいなものはあるのでしょうか?

これも一般論で回答するしかないのですが、日当に関して言えば、まず全社員を対象にしたものでなくてはなりません。一般社員と役員で、支給額にあまり差があるのも、問題にされることがあります。そうした点を前提に、私は「マックス役員クラスで、1日当たり国内1万円、海外2万円程度ではないでしょうか」とお話ししています。
 こうした出張旅費に関しては、社内できちんと「旅費規程」を作成する必要があります。そこで金額などを明示しそれに沿った支給を行っていれば、税務署のメインターゲットになっているからといって、心配する必要はないのです。たとえ税務署に指摘されたとしても、お客さんの申告自体を否認されたことは、私はありません。
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